読書感想:何者

先日読んだ「正欲」が神面白かったので、自分の中で朝井リョウのプチブーム到来。
プチブームを機に、初めて読んだ朝井リョウ作品である「何者」を7〜8年ぶり?に再読。

以前読んだ記憶としては、就活してる主人公達とほぼ同じくらいのタイミングで、漠然と面白かったなぁ、、くらい。

改めて読み返すと、超絶面白かった。
特に後半は怒涛で、一気に読んだ。

朝井リョウの天才なところ。
人のカッコ悪い部分、矮小な部分、狡い部分、、普段は無意識に、直視するのを避けている感情、これらを言語化して、読者に突きつけてくる。
作中の登場人物の挙動や感情が、すごいちょうどいい塩梅で、圧倒的に共感できる。できてしまう。

太宰治「人間失格」、夏目漱石「こころ」、又吉大吉「花火」「劇場」「人間」、、
私が読んだここら辺の登場人物は、圧倒的に不器用、クズすぎて、ガチ共感部分はあまり多くない(それがいい悪いではなく。それはそれで別の見所がある)

対して、朝井リョウ作品の登場人物は、ほぼ全ての日本人に、共感させる力を持っているのではないかと思う。
ぜーんぶストライク。
共感したくないけど、あーわかるわコレ、的なのだらけ。
エロメガネで身体を見られてるくらいの恥ずかしさを体感できる(なんそれ)。

朝井リョウは「自分の中のダサさを再確認させるのが死ぬほど上手い」言ってもいいかもしれない。
ドSなんすか?笑

人間って都合悪いこと、自分のダサい部分は直視できず、往々にしてフタをして生きてると思う。
なので、もし自分がそこを言語化しようとしても、うまくできない。
が、朝井リョウ作品を読む事で、エグいくらい確認させられる。
どうやってこんなに上手く言語化できるのか、不思議でしょうがない。



さて、ここからはネタバレも多分に含まれますので、ご注意ください。




「何者」登場人物の狡い部分で、自分も身に覚えがあること。
読んだ勢いで、ぶっちゃけ記載してみる。

・SNSで「私こんなこと頑張ってます」的な必要以上アピール。薄っぺらい自分を隠すため。
(作中では就活学生がサークル代表とか、うっすい肩書きを並べた名刺を一丁前に作り、主人公達が裏で馬鹿にしてるってのがあった)

・他人のSNSで「私こんなこと頑張ってます」的な発言に、心の中やTwitter裏アカで批判。
批判することで自分が何者かになったような気になり、ちょっと安心する。
が、何も動いていないで、一丁前に人の批判だけして安心して、、そんな自分が一番ダサい

・自分は他人と違う、クリエイティブでその他大勢ではないんだぜ、な振る舞い。
(作中では、クリエイティブ風で右ならえで就活してる主人公達を批判している鼻につく男が、実は裏で大手企業をしっかり受験してた、的なのがあった)

・友達が内定もらった企業の、嫌なところを探す。
2ちゃんで「〇〇会社、ブラック」で検索とか、一般職だから給与低いとか、中小だとか、斜陽産業だとか。



ごめんなさい。

ぜーんぶ私です。

覚えがあります。

なんとまぁ、私は小さな人間なのか。


、、けど、おそらく皆あるやつですよね?

作中の「あー、これあるわ」を挙げればキリがない。
若者特有の自己顕示欲、新卒の就活時期の切羽詰まり具合(内定=神、不採用=価値ゼロ全否定みたいな感じ)、友達とSNSアピール(建前)と本音の探り合い、、、

ズギュウウウン!(ジョジョ)
でございます。

主人公達とほぼ同じ時期に新卒の就活してたので、よくわかる。
全てが刺さる。

この言い当てられてる感、朝井リョウ的な快感、癖になります(、、ドM?)

以上、おわり。


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