2020-01-29 石井食品の攻守両輪:デザインスプリントとカイゼン #DevLOVE
2020/01/29 に開催された 石井食品の攻守両輪:デザインスプリントとカイゼン のイベントレポートです。
●イベント概要
会社組織では新商品開発と組織内カイゼンを同時に推進していかなければなりません。
いわば、攻めと守りの経営が必要になります。
石井食品はイシイのおべんとくん ミートボールでおなじみの創業73年の食品会社です。
2017年より新しい経営体制の元、第4創業期の立ち上げを掲げ、ビジネスモデルと組織のフルモデルチェンジを行っており、創業70年ベンチャーと自称し、変えるべきところは変え、古き良きところは残しながら、21世紀型大家族組織を目指しているそうです。
今回は、石井食品での下記の攻めと守りに焦点をあてたいと思います。
攻め:デザインスプリントで新商品開発
守り:組織をチームでカイゼン
フィードバックサイクルを回しながら、経験を学びに変えるプロセスはエンジニア会社ではなくても適用可能です。仮説検証やアジャイルプラクティスの本質をつきながら、IT業界とは異なる食品業界の中で、どのように取り組んだのか深掘りします。
現場の社員の方にも登壇していただき、現場でのマインドの変化や成果までの行動変容など、どんなビフォーアフターがあったのかを語っていただく予定です。
また、株式会社エナジャイルのアトツギ支援事業の一旦を垣間見てみましょう。
■業務改善しながら顧客に向き合う課題解決チーム
池田真里さん[石井食品]
新井剛さん[エナジャイル]
photo by @hiromoriJP
※途中から参加
●現場での悩み
1. マネージャーになって、周りのメンバーはどう思っているんだろう?
メンバーはキツイ?
依頼するのも気を使う
年上のメンバーも居るし
すごい販売員がいっぱい
2. プレイングマネージャーはどうしたら良い?
どっちを優先すれば
進捗報告は?
報連相は?
3. 会議が多い
チーム内の週1ふりかえり、全体でもやる?
意見を外に向けて発言しても良いもの?
●対策
1. マネージャーになって、周りのメンバーはどう思っているんだろう?
意思疎通をはかっていこう
期待マネジメント、権限移譲
2. プレイングマネージャーはどうしたら良い?
アドホックに動こう
ふりかえって課題整理とバックログ化
3. 会議が多い
定例->全体作戦の司令塔基地会議
バックログ、見える化
ホワイトボードで大作戦会議
●実践
1. 期待マネジメント、権限移譲
デリゲーションポーカー
気づき
どこまでやるか、成功するかが不安
最初は期待がバラバラ、意見を交わすうちに一つに
カイゼン
目的を共有
役割を明確に
いつでもSOSを送れるように
2. ふりかえって課題整理とバックログ化
ふりかえり
反省会ではない
身体は前進している、顔だけちらっと後ろを見ている
KPTでも、他でもOK
アクションプランを4象限に分ける
実行性/実効性
発生頻度/影響度
緊急度/重要度
バックログ化
アクションの深堀り
サインアップ・役割の明確化
マイルストーン化
気づき
メンバー全員でやるから当事者意識が増す、視野が広がった
効果が高い、簡単なもの に絞って短期間でカイゼン
カイゼン
役割分担
さらに明確化
3. 共有会議から大作戦会議体
年末催事予定の共有
沢山のデパート
1週間くらい
だれがどこに行く?
売り場によって
コンセプトや推しが異なる
目的
困ったときの基準にする
前向きにチャレンジ
背景を共有して自分事化する
分解作戦
共通したコンセプト
個別のスローガン、プロダクト、策
担当
フォーメーション
期間、難易度、リード役、AM/PM/フォロー
意思決定の重要性
沢山の催事でどんどん意思決定が必要
上司からお咎め受けるかな?をなくす
ときには強権も必要
異論はいっても良い
グレーゾーンなら決めてしまう
もやもやは残るので非常口を用意
不安露出作戦
教育がおろそかに
成長できなくなる
自分の作業ができなくなる
-> 不安解消担当者
不安はどこからくる?
自分
はじめて
-> 周りのフォロー
心身の健康
-> 自分と周りでフォロー
他人
高い期待で失敗できない
-> 全力でやってます宣言
叱責や避難
-> お互いを認め合う
各不安に対してフォロー役をつけていった
気づき
不安の原因、その共有で安心
相談する相手が見つかった
-> 小さい失敗していいんだ!
新しいことに取り組んだ証拠だよね!
予想外の問題が多発
成功とは言えない、、、
でも、誰かのせいにするのではなく
カイゼン策を考えられた
失敗をカイゼンするために、年始にふりかえり
-> 笑い話にできるように
●伝えたかったこと
・業界に関係なく悩みは同じ
・他業種でも社員の力でカイゼンできる
優先順で仕事の整理
断絶は期待を揃える
コミュニケーションロスで重複や手戻りをすり合わせる
多忙なヒトがより多忙になることを表出化
・アジャイルを導入したいわけではない
現場の課題を解決したい
プラクティスの要素を活用する
一緒にどうするかを考える
第三者目線として活用
・アジャイルでやってきたことは活きる
期待マネジメント、チームビルディング
見える化
ふりかえりで課題露出
バックログ化
4事象で整理
タスクの分解
など
●Before/After
・メンバーがどう思っているか不安
-> メンバーも不安
それを共有
・自分にまとめることができるだろうか?
-> 弱みを見せていい
・共有会議が多いな
-> 小さい共有はslack、メール、電話
前向きな会議に変えていった
・メンバーへの信頼度が増した
このメンバーならすごいことができる気がする!
■イシイスプリント(デザインスプリント)で新商品開発した話
市谷聡啓さん[エナジャイル]
photo by @hiromoriJP
●テーマ
・食品メーカーの新商品開発をデザインスプリントする
●DESIGN SPRINT
・Google提唱の問題解決のフレームワーク
・内容
Day1 理解
何を解決するの
Day2 発散
アイデアを生み出す
Day3 決定
どれを検証する
Day4 試作
プロトタイプ
Day5 検証
検証する
・特徴
5日間に集中
アウトプットの質を高める
5日目には何らかの結果が出る
そこから更に進めることもできる
●われわれはなぜここにいるのか
・口に入れる商品としての新商品
短期間で販売可能なレベルの試作品
品質管理保証の基準を通す
旬の食材、新商品のテーマが時期によって異なる
・新商品開発の型を身につけたい
誰でも商品開発できるように
アジャイルの感覚を身につける
●デジタルプロダクトと食品の違い
・通用するところ
目的は、美味しいものを探す 以上に お客様の問題解決をすること
美味しいのは前提
お客様の置かれている状況から、課題を定義、新商品で解決する
・食品ならではの前提
品管理基準、下ごしらえの時間
試作でもそれなりに量産が必要
->制約をプロセスに織り込む
●仮説検証型アジャイル開発が適用できる
・どんなユーザで
・どんな課題を持ち
・どう解決できるか
・つくるものを決め
・形になったものから学んでいく
●ISHII SPRINT
・ポイント
業務の都合から3日間
試作検証を中心に
Day0でチームビルド、アイデア準備
・内容
Day0
テーマ発表
チームビルド
アイデアを練る
Day1 理解・発散・決定
キャンバス
チーム間フィードバック
アイデアスケッチ
試作準備
Day2 試作
試作 & 販売計画
つくっては食べ
チーム内ふりかえり
テスト準備
20〜30人前
加熱殺菌での変化も考慮
Day3 検証
試食・展開テスト
観察、評価
ふりかえり
成果発表、ジャッジ
・生き残ったのは
そうめん to you
●詳細
・Day1
ニーズを満たす ※美味しいは前提
夏の時期、さっぱりした食事
お昼ごはん、簡単に
冷蔵庫にある食材で
飽き気味のそうめんがパスタ風に!
キャンバス
リーンキャンバスを食品寄りに
代替品とどう戦うか
アイデアスケッチ
ものづくりがあるから絵でフィードバックを得る
どうやって検証するか?
検証項目の整理
誰から
何がわかれば良い
どこを検証すれば良い
どのように検証する
何を聴くのか
アンケートを用意
・Day2
試作
ミートボールバー
美味しかったけど、マッチする状況が弱い
そうめん to you
鶏肉、ごぼう、しいたけ->茶色
夏にはつらい
諦めていたトマトでつくった
・Day3
検証
通り過ぎる人を呼び止めて試食してもらう
判断基準
まじめ力で加工食品のイメージを覆す
お客さんが「あっ」と言ってくれるか、驚きか感動があるか?
Day3 試食で検証
ターゲットとなるお客様とチャネル
販売予測と生産可能性が合致しているか
商売として成り立つか?
Day2 販売計画
自分の家族、友人に自慢できるか?
●学び
1. 短期集中で、とにかく結果が出る強さ
できていればカイゼンできる
製品販売まではブラッシュアップが必要
2. 美味しいかどうか だけでなく どんな問題を解決するのか
顧客の問題解決のためのマインドと技を醸成できる
3. サイロを越えられる
民主化された3日間
開発部、品質部、営業、IT...
「良いものを作る」この1点に全員で集中
-> 考えるより作る時間が大切
・クリティカル・メイキング
十分に考えてからモノづくりではなく
つくる体験の中から、自分の方法論を生む
ともに作る -> ともに考えられる
役職、部署を越えた協働
メンバーの得意分野がわかるようになる
別の機会でも「あいつ、これが得意だったから来てもらおう」
な関係が生まれる
■パネルディスカッション
池田真里さん[石井食品]
市谷聡啓さん[エナジャイル]
新井剛さん[エナジャイル]
photo by @hiromoriJP
●社風
・池田さん
社長が子供をだっこして出社
営業会議にもそのまま参加
地域のみんなが集まってイベントできる施設
お客さんも含めて和気あいあい
・市谷さん
漫画みたいな事ができているのは珍しい
智康さんの人柄
●社会課題
・池田さん
無添加調理、アレルギーへの配慮
直営店を管理栄養士がやる
食育イベントを月2回くらい
造り手がいない食材がなくならないように守る
●デザインスプリント
・池田さん
チームでやったのは、乾燥野菜を使って、1分で料亭の味
工場と営業で部署間の壁はあったが、3日間でさくさく進んだ
料亭の味の敷居が高かった
これで料亭の味でいいんだっけ?
・新井さん
ピンポン玉くらいのラップに包んで配っていた
料亭の味と印象が合わなかった
デパートで釜から出していたら違かったかも
仮説検証は、検証の状況も大切
●年末催事大作戦
・池田さん
情報伝達が難しかった
翌日は店舗を移動していたり
売上目標に届かなかったり
出店場所が人通りが少ない場所
この催事でお客様に何を伝えたいのか
もっと共有できていればよかった
工場と催事でヒトの取り合いが発生していた
・市谷さん
工場と店舗のやりとりって難しそう
どう乗り越えていけば良いのだろう?
・池田さん
リーダーを立てたことで、動きがスムーズになった
・新宿高島屋に ISHII SHOKUHIN 365 ができました!
●QA
・Day0でのチームビルディングは何をした?
初回はチームに任せたら、チームによってむらが出てしまった
長めに関わる期間を用意して、コミュニケーションを促す予定
・デザインスプリントするって、社員からはどう見えていた?
先に石井さんが社員を集めてOSTした
OSTで 商品開発やりたい という意見が出ていた
-> デザインスプリントへ
・お客様の置かれている状況をどうやって把握した?
チームに営業さんが入っている
チームの中で対象とする状況を恣意的に組み上げていた
プロダクトアウトなところはあって
検証して進めるアプローチも持っている
・発散でどのくらいのアイデアが出た?
たくさん出て絞って2つにした
・デザインスプリントの参加人数は?
20人弱
1チーム 3〜4人 x 3チーム
+ 番人
・Day0, 1で気をつけたことは?
美味しい に偏ってしまう
ヒトに届いていくためには問題解決が必要
口に入れなければ美味しくても価値が生まれない
キャンバスで破綻していないかをチェック
F1層などのセグメンテーションでは雑すぎる
利用の状況を想定してキャンバスを描く
■次回予告
スポンサー募集中です。
参加者と交流できるようにセッション間の休憩を長めにとってあります!
■感想
小さい失敗していいんだ!
新しいことに取り組んだ証拠だよね!
この活動で、メンバーへの信頼度が増しました。
このメンバーならすごいことができる気がする!
すてきですね!この気づきがチームで働く醍醐味ですね!!
・短期間に結果が出来る強さ
・デザインスプリントでサイロを越える
・プロダクトアウトの発想に問題解決の観点を足す
これなら大企業が変革するきっかけを作れるかもしれませんね!
登壇者の皆さん、運営の皆さん、ありがとうございました!
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いつも応援していただいている皆さん支えられています。