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口腔アセスメントを知っていますか?(歯科医療者以外が簡便に使用できる口腔評価ツール)

1. 口腔ケア、口腔アセスメントの目的

近年、口腔ケアは、口腔機能の改善のみならず感染症の予防や栄養摂取、その他様々な効果が認められ、患者の回復過程やQOL向上において大切なもののひとつとなっています。そのため、歯科医療者のいない病院や施設においても、看護師や介護士などによる口腔ケアが重要となります。

口腔内細菌と内科疾患との関連性、咀嚼の機能と老化・認知症との関連性など、口腔環境が高齢者の全身の健康と密接に関連していることが、近年明らかになってきました。口の中の細菌が誤嚥されると、誤嚥性肺炎など高齢者にとって致死的な感染症が引き起こされやすくなります。この予防策としては、「誤嚥を生じにくくする」ことも大切ですが、たとえ誤嚥しても誤嚥性肺炎に移行しないように、口の中の細菌を取り除いて清潔にしておく、つまり口腔ケアを行うことが重要です。

健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ha-kokushikkan/kokucare-hitsuyosei.html

口腔ケアは,重要な感染対策の1つとして認識されるようになりました。口腔ケアのポイントは,術者によるムラを減らすための標準化です。しかし,口腔ケアの回数や内容は,口腔内の汚染状況やADLの自立度などによって変化します。そこで,口腔ケアの標準化のためには,口腔内の評価(口腔アセスメント)がカギとなります。
口腔アセスメントにより口腔内の状況を数値化してケアプロトコルを作成することで,口腔ケアの手技や介入回数の統一を図れます。また,スコアによって歯科に依頼できるパスも作成できます。アセスメントで,義歯の不適合やう蝕なども発見できれば,口腔機能の回復にもつながります。

東京医科歯科大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野
https://www.ohcw-tmd.com/research/ohat.html

2. 口腔アセスメントツール

口腔アセスメントツールの使用は以下のような利点が挙げられます。
・歯科医療者以外(看護師や介護士等)が簡便に口腔の状態を評価できる
・口腔の状態を数値化・言語化でき、スタッフ間の情報共有に活用できる
・患者個人の口腔状態に合った標準化された口腔ケアが実施できる
・医科歯科連携や歯科医療への橋渡しに活用できる

3. 口腔ケアアセスメントシート

信頼性・妥当性が検証されている口腔ケアのアセスメントシートはいくつかあります。ここでは2つ紹介します。

3-1. 日本語版Oral Health Assessment Tool(OHAT-J)

OHAT-Jは、Chalmersらによって開発された口腔評価ツールを松尾浩一郎先生らが日本語版にしたもので、多くの施設で利用されています。在宅や施設入所者の高齢者の口腔内評価のために開発されたもので、う蝕や義歯状況に関しても評価できます。

https://www.ohcw-tmd.com/research

3-2. Eilers Oral Assessment Guide(OAG)

Eilersらによって開発された口腔評価ツールです。こちらも多くの施設で利用されており、看護領域では一般的な評価ツールです。OAGは、もともとがん化学療法患者の口腔内評価用紙として開発されたものであるため、口腔粘膜障害などの評価に優れたツールになっています。

https://www.comfort-tk.co.jp/library/口腔アセスメントガイド(oag)/

4. 資料

安全で効果的な口腔ケアを目指して【口腔アセスメント(OHAT)・口腔ケアプロトコール(ケアプラン作成、ケア方法)】

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