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本日は、お日柄もよく。

もう一度体験したいことの中に、結婚式があるのは、とても幸運なことだと思う。

憧れの教会。
抜群の料理。
シンプルなウエディングドレス。

どれも最高。
でも、友人からのスピーチに勝る喜びはない。贈られた言葉は今もずっと覚えてる。

「きっと好きだよ」と薦められた一冊。

『本日は、お日柄もよく』
原田マハ


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読むなら正月だよねと、装丁が訴えてきたので、帰省のお供に持参。


長年片思いだった幼なじみの披露宴にて、眠気を誘うスピーチにノックアウト。スープ皿に顔を突っ込んだ主人公のこと葉。

その睡眠薬ばりのスピーチとは対照的な、目の覚める「言葉のプロフェッショナル」こと、久遠久美からのスピーチに導かれるように、スピーチライターとしての道を進んでいく。

スピーチライターという、言葉を操る仕事の話なので、あちこちに心に響く言葉たちが潜んでいる。きらきらした魔物のように。

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時には励まし、時には傷つけてしまう言葉という魔物をどう操るか。

きらきらとした見た目に騙されると、使い方を間違ってしまうかもしれない。

そんな風に言葉の強さと弱さを知ること。
だけど言葉が出てこないときは、何も言わなくていいんじゃないかと思う。


「ほんとうに弱ってる人には、誰かがただそばにいて抱きしめるだけで幾千の言葉の代わりになる。そして、ほんとうに歩き出そうとしてる人には、誰かにかけてもらった言葉が何よりの励みになるんだなぁって」

これを読んで思い出したことがある。

下の娘の産後1ヶ月を過ぎた頃、友人が手作り弁当を持ってきてくれたことがある。
恐縮するわたしに、彼女はこんな風に言ってくれた。

「わたしね、四人目産んですごいしんどかった時があったの。そんな時に友達がおかずをたくさん作って持ってきてくれて。それがとっても嬉しかったの。だから同じようにしてあげたかった。産後って本当にたいへんだから。わたしにお礼とかじゃなくて、また誰かにしてあげて」

自分がされて嬉しかったこと
励まされた言葉を
おくる。オクル。送る。贈る。


素直に、相手を思い遣って、
ワダカマリを残さないように
ことの葉を紡ぎたい。

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