見出し画像

【読書録】予告殺人 / アガサ・クリスティ

画像1

2021年11月14日 読了

老婦人探偵 ミス・マープルシリーズ。クリスティ作品の中でもかなり評価が高いということで手に取ってみた。公式ファンクラブの人気投票でも「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」「オリエント急行」に並ぶほどの人気らしい。実際、ミステリーとしてかなりクオリティが高く、面白かった。

新聞広告に殺人が予告され、その時刻に停電の中で人が殺されるシーンが劇的で印象深い。ミス・マープルが人の良さでお茶会の中から情報を巧みに聞き出す展開も面白く、その中で巻き起こるミスリード、伏線が、ラストの真相に一気につながっていくのはさすがのクリスティ作品という感じ。

しかしミステリーとしての質の高さ以外の魅力は正直薄く、ミステリー好き以外でも楽しめる他クリスティ作品と比べるとオススメしづらい。真犯人も、露骨に意外な人物なので逆に意外性が無く予想しやすい(実際、犯人が予想できたという感想を多く見かけたし、自分もなんとなくそうじゃないかなと思っていた人物がやはり犯人だった)。
犯行の動機やトリックなどの推理要素は面白いので、真犯人予想は抜きにしてミステリーの本質的なクオリティを求める人にはオススメできそう。話の作り方はやはり非常に上手い。

余談だが、この小説を読み始めたのは10月29日(金)で、この作品内で事件が起こる日も偶然10月29日(金)だったことにびっくり。70年も前の作品で曜日まで一緒なんてことある……?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?