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幻のEOS Kiss 7を探して

新しいフィルムカメラが欲しい。

その熱病に侵されたのはつい2週間ほど前のことだった。

初めは「ちょっと気になる」程度だったそのカメラ。在庫や情報を検索をしているうちに結構な時間を費やしていることに気づき「これなら早く買って試した方がいいぞ」になった。

そのカメラはCanon EOS Kiss 7。発売は2004年。

同シリーズ初のデジタル機 EOS Kiss Digitalの登場が2003年だから、Kiss 7は記録メディアの端境期に生を受けたカメラと言っていいだろう。

そもそも、なぜKiss 7が欲しいのか?

どうしてこのカメラが欲しいのか?これには少し説明が必要になりそうだ。だって、他に何台もカメラを所有しているから。

EOS-1V・Leica M3・Hasselblad 500C/M。ここにデジタルのEOS 5D mark IIIを加えた4台が僕が持つカメラのすべて。我ながら豪華なパーティである。

フィーリングやボディの質感、歴史。どこを取っても語れる要素のあるカメラばかり。ライカやハッセルブラッドには伝説は。EOS-1Vにはフラッグシップとしてのスペック、シャッター音、信頼性。

「男の趣味」みたいな切り口でフィルムを楽しむならこの3台に勝るものは少なく、完璧な布陣だと思っていた。


ほんの少し前までは...


気楽に持ち出せるカメラが欲しい

それでもEOS Kiss 7が欲しいのは、ラフに持ち出せるカメラが欲しくなったからに他ならない。軽装で出かけるシーンが多くなる夏。重いカメラでアマチュアがひーこらやるのはスマートじゃない。

先に紹介した所有カメラを振り返ると、そのどれもが見事に重量級である。

EOS-1V:945g
Hasselblad 500C/M:1.5kg(Planar 2.8/80込み)
Leica M3:595g

1Vと500C/Mはレンズを合わせて1kg超え。一見軽量なM3も高級品・貴重品であることに変わりはなく、いつでも気軽にとはいかないだろう。露出計が必要な点もフットワークをスポイルしている。


そこでEOS Kiss 7だ。

普及機として作られたこのカメラの重量はたったの365g。わずかiPhone2台分の軽さで、僕がよく使うEF35mm F2 IS USMと合わせても700gに収まる。

性能もポイントで、このカメラが発売された2004年はフィルムカメラの最終盤。そのためEOS Kiss 7には普及機の枠をはみ出したスペックが搭載されている。シャッタースピードは最速1/4000秒。測光・AF性能もフィルムとしては申し分ないレベル。

個人的にはEFマウントである点も見逃せず、EOSユーザーであればレンズ資産が活きる。

こんなカメラが、非常に安く売られている。

Kiss 7を始めとしたフィルムのEOS Kissシリーズは昨今のブームに乗れず、ショップの定位置はジャンクカゴ。状態の良い個体ですら3000円もあればほぼ手に入る。

たしかにデザインは微妙である。今っぽくないけど昔っぽくもない。レコードはカッコいいけどカセットテープはどうにも...。そんな状況に似ている。

それにAF一眼は自分で操作する喜びも小さいし、プラスチックの外装はモノとしての魅力にも欠ける。

つまり。

見た目の古さやチープささえ我慢すれば、超軽量な高性能一眼レフを格安で使うことが出来る。これが令和元年にEOS Kiss 7を使うメリットだ。

もちろん信頼性は普及機なりだろう。でもいいんだ、そんなこと。

もしかしたら「フィルムは大事なカメラで丁寧に...」みたいな価値観に触れ過ぎたのかもしれない。今はウンチクは横に置き、とにかく気軽に撮りたい気分なんだ。

捜索!EOS Kiss 7 〜1日目〜

そんなきっかけで始まったEOS Kiss 7探し。見出しで察した方もいるかもしれないが、これがとにかく難航した。

というのも、Kiss 7には不条理なトレードオフが存在しているのをご存知だろうか?

ポジティブな部分は前述の通り、最新のフィルム機だけに高性能。Kiss 7以前のカメラから様々な技術を受け継ぎ、ブラッシュアップしている。1/4000のSSなどはその最たる例だろう。

一方のネガは玉数の少なさ。Kiss 7が出たころはすでにデジカメが出回っており、当時のユーザーにはそちらも選択肢に入りつつある時期。フィルムカメラだけが覇権を握った一党体制に、野党としてのデジタルカメラが参入してきてしまったのだ。

そんな時代のアオリをモロに受けたKiss 7の販売は好調とは言えず、「高性能でありながら数は売れなかった機種」というレッテルが貼られることとなった。

それに普及機だから修理しながら代々受け継がれる、なんてこともなかっただろう。壊れて捨てられるか、不用品として廃棄されるのが大多数なのは容易に想像がつく。

もともと少なかった玉が日を追うごとに減っていく。

こうしてEOS Kiss 7は幻のカメラとなった。


前置きはこれくらいにして、いよいよ捜索をスタートしよう。東京在住としてまず向かうのは、やはりあの街になるだろう。

そう、新宿だ。

大小様々なショップが軒を連ねる新宿はフィルムカメラの聖地。在庫数という点で新宿に勝る街はない。まずはこの街でKiss 7を探すことにした。

以下に今回僕が訪問したお店を並べてみた。

1.中古カメラ市場
2.中古カメラBOX
3.レモン社 新宿店
4.カメラのキタムラ 中古買取センター
5.カメラのキタムラ 新宿大ガード店
6.カメラのアルプス堂
7.ミヤマ商会

まわりにまわって7店舗。新宿を知る人ならこのルートでどれだけのカメラを見られたかは想像に難くないはずだ。


でも、ないのである。


これだけのお店を見ておきながら、僕はEOS Kiss 7の影すら踏むことが出来なかった。

目についたものといえば、Kiss 7よりも古く野暮ったい初期〜中期EOSばかり。たまにKissが見つかってもそのほとんどは初代Kissや2代目のNew EOS Kiss、それにEOS Kiss III。これらは事前の予想通り、ワンコインに近い価格でジャンクカゴに山積みにされていた。

そんなフィルムKissシリーズにあって、ジャンクより少しだけ良い扱いをされていたカメラがあった。EOS Kiss 5である。

Kiss 7より2年早く登場したカメラで、7との一番の違いはシャッタースピード。Kiss 7の最速1/4000秒に対してKiss 5のMAXは1/2000秒。この1/2000秒の差をどう捉えるかで5に妥協出来るかが決まってくる。

普段ライカやハッセルを使う身として、SSは1/2000でOKと言えなくもない。しかし一度探し始めた手前、ある程度やりきってみたくもある。

それにKiss 5はこの日の新宿だけで数台の在庫を確認していて。相場は3000〜4000円といったところで、シフトダウンはいつだって出来そうに思えた。

まずはこのままKiss 7を探し、それでも見つからなかったときはKiss 5を落とし所にすることにした。

(この時代のEOS KissについてはCanonがオフィシャルで比較をしてくれている。気になる人はチェックしてみてほしい)


新宿では他にも、Kiss 7と同世代のEOS中級機「EOS 7」もチラホラ見かけた。

こちらの相場は1万円前後。

実はもともとEOS 7もターゲットだったのだが、中級機だけにやや重く本体重量は580g。手持ち機材と比較したときのポジションが中途半端で、すでに持っている1Vとのメリハリを付けるならKissで思いっきり軽量化すべきだと判断していた。

またEOS 7 とKiss 7ではデートの対応年月も違っていて、EOS 7が2019年までなのに対しKiss 7は2099年までに対応。デート好き人間としてはこの差はデカイ(ちなみに2019年までのものはEPSONの汎用モジュールを使っていると聞いたことがある)

フィルムカメラのデート機能と2019年問題

とはいえ一度購入候補から外したカメラが出てくるのはやや辛い。

後ろ髪を引かれつつ、今回幻のKiss 7探しに専念していこう。

捜索!EOS Kiss 7 〜2日目〜

新宿でその姿を捉えることの出来なかったEOS Kiss 7。セオリーであれば続いて向かうのは銀座ということになる。なにしろ新宿に次ぐショップ数を誇る街だ。

だけど、ちょっと待て。

銀座にEOS Kissがあるか?あの高級ブランドひしめく銀座に?

ライカを始めレアなカメラを探すなら銀座で間違いない。だが今回のターゲットは大衆機のEOS Kissだ。これが銀座にあるイメージはどうも湧かない。

やみにくもにカメラ店をまわるのでなく、もっと戦略的に行動しなければなるまい。

というわけで2日目に向かったのは家の最寄駅。そこに時間を忘れてしまったような写真店があったはずだ。

そうそう、ここ。現像やプリントがメインに見えるけど、細々とフィルムやカメラの販売もされている様子。こんなお店にひょっこりあるカメラこそEOS Kissだ。

小さくない期待を胸に、棚をのぞきこむ。

それっぽさはあるものの、EOS Kissの姿はない。それによく見ると商品ラベルとカメラが全然違っている。Nikon FE、F2、F3Tはラベルだけが残っているいるけど買われたってことだろうか?

そして気になるのは下段のキューピー人形だ。写真に映る範囲はまだまだ氷山の一角で、この倍くらいの数が棚に置かれていた。これだけの数をコレクションするのはカメラ探しよりも大変だろうと思う。

続いては近所のリサイクルショップ。EOS Kissならこういうところに素っ気なく置いてある様子も想像できる。


が、ここにもなし。

ここはそもそもフィルムカメラの取り扱いが少なかった。在庫としては5台もなかったと思う。ただ、そのうちの1台がFED。ロシアンカメラだった。まさかこんなところで目にするなんて。当時のFED工場で働く人は想像すらしかなっただろう。


それにしても先ほどの写真店しかり、この街には僕以外にもフィルムカメラ好きが暮らしているのだろうか。

「スタンド使いは惹かれ合う」

漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の名言が頭の中に駆け巡った。

2日目のフィナーレを飾るのはこの骨董品店である。

たまにお店の前を通るのだけど、お客さんが入っているのを見たことがない。店主のおじいさんはよくお店の前を掃除している。こんなところで探し物が見つかったらドラマだろう。

いきなり入店するのは気が引けるので、まずは通行人を装いお店の前を数度往復してみる。横目で棚を確認すると、時計や万年筆に混じりカメラが埋もれているのが見えた。

よし。どれもパッと見はフィルムカメラだ。

少しずつ歩くスピード落としていくと、Canonのロゴがハッキリと見えた。

EOS..........650...!

1987年3月1日、キヤノン創立50周年の日に発売されたEOS1号機。骨董品店にあったのはそんなメモリアルカメラだった。

それにしてもこのEOSはいつからここに置かれているのだろう。

残念ながらこのEOS 650は僕には救うことが出来ない。これがいつか再び人の手に渡り活躍することを願うばかりだ。

そういえばCanonにはEOSの開発エピソードが紹介されているページがある。これがなかなか熱くて良い。

AF一眼レフの開発というと手仕事感が薄く、オールドカメラにあるような職人の存在は感じづらい。ことEOSとなれば特にだろう。

それでも、こうして熱意を持って開発にあたる社員さんはたくさんいる。このページを読むと、そんな当たり前のことを再認識させられるのだった。EOS 650で最新のレンズが動くことも誇らしげに語られている。

ここに30年前のカメラと最新のレンズの組み合わせを持って来ました。EOS 650ですが、ほら、遜色なく動きます。それができるように通信の拡張性を持たせてあるからです。2016年に発売されたEF70-300mm F4-5.6 IS II USMは、AF駆動系に新開発の小型モーター「ナノUSM」を搭載しています。撮影距離や焦点距離、カメラやレンズの揺れ量などのさまざまな撮影に関する情報を表示する液晶画面もあります。もちろんIS(手ブレ補正)もあります。開発当初の思想がすべて受け継がれていて、これらがEOS 650でも全部動くのです。EOSシステムは懐が深いですよね。

なにはともあれ、2日目はここでおしまい。

捜索!EOS Kiss 7 〜3日目〜

EOS Kiss 7探しは3日目に入った。家を出る前にテレビを見ると、海の向こうで田中将大が並み居る強打者を打ち取り、大谷翔平は豪快なホームランを打ちまくっていた。

それを見ている自分はたった数千円のEOSを探す日々。家を出ようとテレビを消した瞬間、ブラックアウトした画面に情けない顔が反射した。

...いかんいかん。この気持ちをエネルギーに変えなければ。これまでの労力が水の泡になってしまう。

再び電車に乗り込んだ。向かったのは東京・中野。

中野には1938年から操業しているフジヤカメラというショップがある。ここもフィルムカメラの在庫が豊富だし、メインの店舗以外にジャンク専門店舗であるジャンク館というのもある。

ちなみにジャンク感があるのはあの中野ブロードウェイの一角。東南アジアの路地裏さながらの怪しさに包まれながら、僕はEOS Kiss 7が見つかるのを願った。


しかし、見つからなかった。


収穫といえばフジヤカメラに4台ものEOS-1Vがあったこと。箱のありなしなど、状態別で選べて贅沢極まりない品揃え。1Vを探している人はぜひフジヤカメラを訪ねてほしい。

捜索!EOS Kiss 7 〜番外編〜

ここまで読んでくださった方には、当然のようにある1つの疑問が浮かんでいることだろう。

「ネットで買えばいいんじゃないの?」と。

もちろんそれは考えた。

キタムラのネット中古にメルカリ、ヤフオク。しかし、そのどこにもEOS Kiss 7の姿はなかった。

いや正確に言うと、ないことはない。だけど、少なくとも僕が求めるEOS Kiss 7ではないのだ。

例えばヤフオク。

ここに出ているKiss 7は、単体での販売が少なく「十数台のジャンクカメラを1円から!」の中の1台というパターンばかり。電池を入れても動かない可能性があるし、不要なカメラを何台も引き取るのは手間でしかない。

それに何台ものカメラが家に送られてきたら奥さんの目も注意しなければならない。お金の浪費度合いについて奥さんは質より量で判断しているはずで「またこんなに買ったの!?」となれば今後のカメラライフにも影響を与えかねない。

一方メルカリにはタイムリーな出品がなかった。

過去の落札に遡れば程度、価格ともに納得のKiss 7の姿は確認出来た。しかもそれらは転売業者ではなく、家の不用品を処分したい一般人からの出品のように見えた。ベストではないが、これがベターなチョイスであることはたしかだった。

しかしこればかりは運次第。いかに自分が買いたくとも出品者がいなければ取引は成立しないのだ。

複数の中古カメラショップの在庫を横断で検索出来る「カメラファン」も当然試した。しかしこちらに紹介されるのはある程度の人気や利ざやが担保されたカメラだけ。フィルム時代のEOS Kissなんてほとんど掲載されていなかった。

これらのサービスも並行して捜索しつつ、やはり最後は自分の足で稼ぐ必要がありそうだ。EOS Kiss 7はやはり幻のカメラなのだろうか。

捜索!EOS Kiss 7 〜4日目〜

予想に反し厳しいチャレンジとなった今回のEOS Kiss 7探し。

だが結論から言おう。この4日目が、EOS Kiss 7探しの最終日となる。

この日ぼくは自転車を走らせていた。電車・徒歩圏内が中心だった搜索網を自転車圏内にまで広げたからだ。

自転車なら、あの郊外型リサイクルショップに手が届く。

そう、ハードオフである。

楽器から家具家電まで、幅広い商材を手がけるハードオフはもちろんカメラも取り扱う。ことカメラに関しては専門店より甘い値付けも多いようで「あのカメラが激安で手に入った!」というツイートも散見される。

Kissシリーズについて調べているときも「ハードオフで救出した」という画像付きの投稿を相当数、目にしてきた。

EOS Kiss IIIが540円。うむ、安い。この安さはハードオフ最大の魅力だ。

僕は自宅から30分の場所にあるハードオフに入店した。目指すカメラコーナーは、ゲーム機やギターを掻き分けた先にあった。

規模が大きい。ショーケースは縦6段ほどのものが6台連なる構成。その半分はデジタルカメラで、もう半分がフィルムカメラ。

「これだけの数があれば...」

表情には出さないが、鼓動が高鳴っていた。

ショーケースに目をやると、上段にはNikon F4やFUJIFILM TIARA 2などがあるのがわかった。さすが人気カメラ、自然と視線がいく位置にディスプレイされている。

見落としがないように1台1台ゆっくりとカメラを眺め、また下の段に視線を移す。

3段ほど下がったところだっただろうか。ショーケースの中断に探し求めたシルバーボディが飛び込んできた。

それも、4台横並びだ。


カメラは左から、EOS Kiss 5





EOS Kiss 5






EOS Kiss 5






EOS Kiss 5。


まさかのEOS Kiss 5 × 4。ここまでくると脱力である。

「お前は7ではなく5を買うべきだ」

これはEOSの神様の声だろうか。

4日もカメラ探しに費やしてきた。こっちの気力体力もそろそろ限界を迎えている。目の前に4台ものKiss 5があるならこれはきっと運命なのだろう。

この瞬間、僕はKiss 7の1/4000シャッターを諦めた。Kiss 5を買おう。



そうと決まればカメラのチェック。いくらKissとはいえ、どうせなら少しでも状態の良いもの手に入れたい。

ここに、当時ハードオフにあった4台の値札を記載しよう。

1.EOS Kiss 5:2700円(元箱・取説・10日の保証付き)
2.EOS Kiss 5:3780円(3ヶ月保証付き)
3.EOS Kiss 5:2160円(保証なし)
4.EOS Kiss 5:3240円(元箱、10日保証付き)

さぁ、あなたならどれを選ぶだろうか?状態はどれも似たようなものだ。

付属品の揃った1か?

少し高いけど3ヶ月保証の付く2か?

保証なしの3はギャンブルで、4はちょうど中間の選択肢。中途半端とも捉えられる。

ショーケースからカメラを出してもらうとき、店員さんに値段の違いについて訪ねてみた。


***


僕:値段の違いってやっぱり状態ですか?

店:いや、そんなことないっスよ。出した時期っスかね。

僕:!?

僕:え、でも状態とか付属品とかそういう...

店:いや、多分出した時期っスね。

僕:(マジか...)ちなみに2160円のは保証がないから安いんですかね?

店:いや、そんなことないと思います。
  値札に書いてないだけで10日の保証は全部付いてるんで。

僕:. . .


***


最安のKiss 5にも10日の保証はついていた。となると、1や4との違いは元箱の有無ということになる。

幸か不幸か、この日カメラを買うと思っていなかった僕はバックパックを持っておらず、小さなショルダーバッグを肩に掛けているだけ。元箱はそのバッグに入りそうもなかった。

かといって、元箱ごとビニール袋に入れて自転車のハンドルに下げるのも抵抗があった。ゴミの削減には少しでも協力したい。

僕は2160円のEOS Kissを手に取った。

「これにします」


この瞬間、長い旅が終わりを告げた。

EOS Kiss 7の捜索を終えて

かくしてEOS Kiss 5は我が家にやってきた。結局、EOS Kiss 7は幻のままだ。

でも今となれば、なぜあれだけKiss 7に執着していたのかがわからない。レアカメラを探すこと自体が目的にすり替わっていたのかもしれない。

もしも、初日の新宿でKiss 5を買っていれば...

そう思わなくもないが、もう終わったことだ。使えるKissが2160円で手に入ったことを素直に喜ぼう。

肝心のKiss 5は、試写を見る限り状態良好。AFも自分としては十分なスピードだと思う。購入の決め手となったデートも画面右下に元気に写っている。

シャッターフィールや剛性感などは1Vと比べるべくもないが、これはこれ。Kissならではの使い方で写真を撮っていきたいと思う。

きっと、家族写真が増えるのだろう。



***

自分としては珍しく長めのnoteになりました。しかも題材がEOS Kiss 7って...笑

今どきこのカメラを探す人がどれだけいるかはわかりませんが、少しでもタメになったなら幸いです。

引き続きKiss 7はゆるく探しています。この手のカメラは寿命もそう長くないでしょうから、良いものはいくつかストックしておく計画です。Kiss 7の目撃情報があったらぜひぜひお寄せください。

ここまで8640字。最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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