森

ここは京都市北区にある占いの館

毎月やって来てはコントを披露して行く面白い母娘が今月も来た。

私はそれを眺めてるだけ。
眺めてるだけなんやけどいつも2人で解決して帰って行く。

「薄焼先生ーーーーー！！！
も～だめぇぇーーーー私っ私っ、涙が止まらなくて。森探して森の中で泣いてくるぅぅぅぅっ。」

「うーわっ。また泣いてるっ。ひくわぁ。あ、この人毎月こんな事言ってるんで、先生無視していいですよ。ほらっ、ママ帰るでっっ！！」

「モリアちゃんっっ！なんて事言うんや。ママはあんたのパパの事が大好きやのにっ。
やのにパパはっ、パパはママの事をずっと騙してっ。うっ、、、、うっ、、、、、こんなショックな事ある？ずっとずっと信じて大好きやったのにーーーー。」

「はぁ？！それがもうこっちとしてはびっくりなんですけど。まだ好きやったん？あんな人の事。」

「ほらっ、またそんな言い方する。もう、私立ち直れへん。先生、先生どないしたらいいんでしょうか。いつも先生のお言葉は胸に刻んでます。本当です。どうかっ、どーかありがたき一言を私にも下さい。」

「もー、先生忙しいねんからママ帰るでっ。徳島からオニオカラ10袋届いたから食べようって言ってたやんー。薄焼先生お騒がせしました。あっ！これ1つおすそ分けです。」

「そんなっ、モーちゃん待って。」

「ママ今日のライブ配信まだやろ？ママは人気者やから皆が待ってるんやろ？
私はママが元気で毎日楽しく過ごしてくれたらそれでいいって言ってんのに。。。それでもやりたいんやろ？」

「、、、、、、、、、うん。
そーやった！私はこんな事で泣いてる暇ぁ無いんやった。去年の私なら直ぐにパパの元へ飛んで行ってたと思うけど今の私はそんなことせーへんっ！
画面越しに待ってくれている私のファンがいっぱいおる。
自分ビジネスやるって決めたんやった。
モーちゃんありがとう。まだまだ胸は苦しくなるけどっ、やりたい事に集中する。
旅行の事考えるだけでワクワクするからその楽しさ人に伝えて行くっ！そーやん！
私がする事はそれやん！！！！
あーなんかスッキリした。
薄焼先生、お礼に歌わせてください。私声楽やってるので、是非2曲歌わせていただきます！」

「もー！ママ帰るでっっ！！！｣

かわるがわる展3 短編集
2020.06.28【森】より