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125 医師が覗き見る「日本社会のイマ」

今回の参議院選挙の争点はインフレへの対応、対処、であろう。
野党の多くは消費税を槍玉に上げている。
しかし、日銀の金融政策には言及がない様だ。
日銀は10年債の金利を0.25%上限で抑えている。この政策は変更するつもりは無い。与野党共にその方針に沿っている。
政策金利を上げて、イールドカーブコントロールを撤廃すれば、金利上昇とともに、インフレは抑えられるはずだ。しかし、超低金利にどっぷりと浸かり、変更はないと信じて、70%の方々が住宅ローンにおいて変動を選択している。豈図らんや、政策基金りを切り上げると、金利上昇と共に多くは住宅ローンを返済できない事になる。国民目線からすると、それは避けて欲しいわけだ。
経済学者も現状の金融政策を維持することに賛成している。
国民の財産を倍増すると主張する新しい資本主義では、2000兆円とも言われる個人の貯蓄を投資に向けて欲しいわけである。2%程度のインフレでも、これが続けば貯金する事は、目減りするリスクを示唆する。よって、投資に舵を切る国民が増えるとはずで、これこそ、経済学者も岸田政権も好ましい新気運と捉えているはずだ。
卸売物価が原材料の高騰から、上昇しているのだが、消費者物価に転嫁できないようなデフレマインドのままでは、企業の経営を圧迫する。しかし、現在程度のインフレが続くならその転嫁もしやすくなる。
要するに中小企業への優しいインフレレベルであり、従業員の給料アップにも繋がると言う絵も描ける。

しかし、今回のインフレ率2%達成は、日本経済が自力で成長軌道に乗っての結論ではない。海外の年率8%にも達するインフレの余波が日本にも押し寄せているだけなのだ。

この海外のインフレは供給制約によるコストプッシュ型インフレである。

これはコロナによる経済危機を支えるべく世界中の中央銀行がお金を印刷、低金利にする事により、経済を再生させようとした皮肉なアウトプットと捉えられる。

この様な超低金利政策は日本における平成バブル、米国のITバブル、住宅クレジットバブルを引き起こし、あげくの果て、バブルの崩壊に陥った。
今回も同じ轍を踏むのだろうか?
コロナバブルの副作用のインフレが、世界中に及び、プーチンの侵略で更にそれが顕著となっている事から、そうかも知れないと言う気分にもなる。

しかしながら、このコロナのバブルは他のバブルとは一風違った趣を呈している。今までにバブルの崩壊へのベクトルでは、景気の加速に合わせて中央銀行が金利を上昇させている。金融引き締めが効いて、景気の過熱がピークに達して、バブルの崩壊となっている。ところが、今回のコロナバブルでは、すでに崩壊している最中に大多数の中央銀行は金利を大幅に上げている。
バブルの崩壊を見届ると金利を下げているのが今までの常だったのだが、この引き締めは真逆である。

そんなわけで、この様な金利の上昇を長期に続ける訳には行かない。少なくとも、各国の金融当局は利上げを今まで以上に慎重に実施しているはずだ。平衡感覚を欠いて、続けると、深刻なリセションが待ち受けているからだ。
よって、今までより早期に政策金利の切り上げはストップする可能性がある。
とすると、他のバブルのように奈落には落ちる事なく、経済が短期で回復するかも知れない。ウクライナの侵略が消耗戦のあげくに終焉すれば更にその時期は早まるはずだ。

そうすると日本がまたデフレ軌道に陥る可能性がある。
そうなる前に、岸田政権が掲げる構造改革が鹿島立ちすると、日本経済にも浮かぶ瀬もあるのかの知れない。その為には、今回の選挙で、与党が安定多数を確保する必要がある。

一方で、インフレ2%は経済的弱者に取り救済が必要となる。
確かに弱者の財布を直撃する逆進性の強い消費税は軽減すべきなのかも知れない。

政権は消費税は社会福祉の重要な原資と言っているのだが、医療に関しては、消費増税のアップに反比例して、インフレを織り込むと実質的には削減されているのだ。
本当に社会福祉の財源化がなされているのだろうか?どの程度、消費税の財源がそこに投入されているのかは甚だ疑問だ。
お金に消費税とは刷り込まれていないのだから、その金が他に使われても知る由はないのだ。
そろそろ、財務省の主張を無視する姿勢が肝要かも知れない。

コロナに密着して行きます。


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