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「旅する」リレーコラム③川口 ゆり

こんにちは、ディレクターのゆりです。私にとっての「旅」。今日は、過去の経験とともに、今後のこともここに綴ります。

365日間、まいにち、旅のことだけ、考えた。

旅行会社で働いていた時期がある。新卒から3年間、旅行の手配とプランニングがメインの仕事だった。時には添乗員としてツアーの引率もあった。国内の個人・法人旅行から、海外へ行く団体(企業旅行、教育旅行、MICE関連)の旅行など、様々な方の、様々な形の旅行を作っていた。おかげさまで全国の地域や世界の国々、文化や観光、交通網、現地のホテルなどに関しては随分と詳しくなった。相手を想って旅行を計画する時間は、たとえ仕事とはいえ、いつだってワクワクした。

本当に、まいにちまいにち、旅のことを考えた。現代はいくらでもインターネットで全てを検索出来る時代だ。旅行のプロとして、ただの交通や宿泊の手配をするだけでは、少し物足りないといつも思っていた。ガイドブックの情報以上に、とっておきの情報を伝えられないかとアンテナをたくさん張り巡らせ、オンの時間もオフの時間も、旅のことばかりを考えていた。

旅のことだけを考えていたら、遠距離恋愛という旅がはじまった

そんな生活をしていた時にお付き合いしていた男性がいる。彼とは遠距離恋愛だった。学生時代、住み慣れた街を離れていた時に遠方の街で出会った彼とは、お互いなかなか会えないだろうな、ということを認識しながらも、社会人になってから改めて互いの魅力に触れ、恋に落ちた。

飛行機で会いに行くしかないほどだったので今思えば結構な距離だったが、会う時はいつもふたりで念密に計画を立てた。知らない街で現地集合をしたり、旅を通して新しい景色をたくさん見た。経験自体もとても尊いし、触れたものも同じくらい尊い。

「旅をした」という物語が、自分を形成する物語「そのもの」

旅行会社にいながら、プライベートでは毎回が旅行気分の遠距離恋愛をしていた私は、気づけば「旅」なくしては自分の人生を語れなくなった。それだけ、旅の経験を通して美しい景色に触れたり、知らなかった世界で感動して感情が揺れ動いたこと、好きな人に会いに行くまでの景色の数々は、自然と自分の世界観を彩ってくれた。

結局、その彼とは、その後お別れをすることになってしまった。今思えば、お金と時間、どちらも随分と旅には使ったと思う。おそらく今までの人生で一番、だ。



旅自体は有形ではないから、現在はその当時の写真の数々と自分の心の中に残っているだけだ。それでも、その経験を1ミリとして後悔をしていないのは、こうして旅を通して感じたことの数々が、それぞれ一つの物語として心に小さく残り続けているからなのかと思う。

旅という物語を思い出す時、きっと私はいつも少しだけ弱くなる。そして、物語を読み終わった後は、少しだけ強くなれる気がする


いつかあの物語の扉を開く時、当時見た優しい空も、降り注ぐ雨々も、海の匂いも、風の音も、一つずつそっと思い出すのだろう。一緒に旅をして、一緒に色んなことを考えてくれた当時の彼は、その時の旅を今どう思っているのかは分からないが、私はとても感謝している。

忘れられない、伝えたい景色がここにあるから、企画した。それが「SUSONOキャンプ」

そんなこんなでオンでは生業として、オフでは儚い恋のスパイスとして(?)旅を経験してきたひとりの旅好き女子は、これらの経験を思わぬ場所で生かす時がやってきた。

ひょんなことから、なんとSUSONOでツアーを企画することになった。

自分が生まれ育った北海道に、会員さんたちを呼ぶことになった。確かにツアーの企画というものは私の中では得意中の得意ではあるが、今までの旅行の企画・計画とはわけが違う。会ったことのある方もいれば会ったことのない方もいるし、何より責任も感じている。多くの旅をしてきた結果、このような貴重な機会に恵まれたということは、とても幸せなことだと思っている。

誰かの旅を考える時、私は強くワクワクを感じる。こういうことをしていると、やはり、自分は旅が純粋に好きなんだな、と思う。今まで見てきた景色、感じた記憶の数々を思い出しながら、どこにもない一つの旅を作る。それは新しい経験だ。

キャンプの後、どんな感情を抱くのだろう。どんな発見をするのだろう。ああ、やっぱり旅は計画から既に楽しい。旅をしよう、たくさん、これからも。物語を増やそう。そしていつかまた読み返してみよう。そんなことを思う、日曜の夜だ。


人生とは旅だという、だけど 過去は跡形も無く消えていく だけど                  ふたり手をつないで歩いた道のりこそが 僕にとってはそれこそが旅だったよ                                     


銀杏BOYZの「東京」という大好きな曲を聴く度に、私は今までの旅の物語を、いつだって思い出してしまう。





次はゆかりさんです。お楽しみに!


















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