観る・聴くリレーコラム-③川口ゆり

こんにちは!ディレクターのゆりです。今月のSUSONOのテーマは「観る・聴く」。小学生の頃から、映画と音楽にすべての愛を注いでいた私にとっては俄然ワクワクするテーマ。おすすめを紹介しながら、どんな時も大好きな作品や曲にいつも支えられて生きてきた私の生い立ちを紹介します。

音楽が好きすぎて、休日は12時間以上ラジオを聴いて過ごした小学生時代

私は昔から音楽が大好き。そしてラジオが大好き。小学4年生の時に両親にプレゼントしてもらったCD&MDコンポで、ラジオ番組から流れてくる素敵な音楽やトークにぎゅぎゅっと心を掴まれていた。FMラジオから流れる音楽が「良いな」と思ったら、すぐさまその瞬間MDに録音を始める、という繰り返し。

小学5年生。夏の淡い夜。Salyuの優しい声と音に出会った

そんな中、ある1曲に出会った。小林武史さんがプロデュースしているSalyuのValon-1という曲だ。

リリースは2004年。私が小学5年生だった2005年。当時私の地元の北海道のFMノースウェーブで、Salyuの「Dialogue」いう番組があった。うろ覚えだけど、確か日曜夜8時くらいから。おっとりした優しい語り口調の声、そして音楽。こんなすてきなひと、音がこの世にあるんだと驚き、毎週欠かさず聴いた。

少ないおこづかいを握りしめて、地元のCDショップに走って、彼女のアルバムを購入した。人生で初めて買ったCDだ。大人になった今も、このアルバムだけは手放せない。話し方も、歌い方も、笑い方も、きっとこの時期のSalyuに私はかなり影響された。

好きな音楽の世界観を寄せ集め、「自分がずっと大切にしたいもの」を小6で作った。

すっかり上記の経験から音楽が好きになった。小学生の頃は6年間ピアノに通った。そして普段は下級生へ手作りの絵本の読み聞かせをしていた。その隙間に、様々な音に触れ、ひっそりと私の世界観をつくった。


LOVE LIFE / Orange Pekoe
春風/くるり


ーああ、私はきっと、優しくて軽やかで、ちょっとだけ切なくて、少しだけ笑ってしまうような世界を愛でたいのだ

もっともっと様々な曲をジャンル問わず聴いていたはずだが、しかし23歳の今思い出せる大切な曲は上記くらいだ。今現在の自分の軸は12歳の時にすでに作られたのかもしれない。

中学生~高校生、美しい映像の余韻に触れて、世界を愛でる日々

そしてその流れで、自身の世界観に通ずる映画を少しずつ好きになっていく。

好きだ、/ 監督:石川寛
秒速5センチメートル 監督:新海誠
花とアリス 監督:岩井俊二

知らない間に変わり続ける、離れる、それでもまた戻ってくる

おとなになり、社会人2年目の時、気づいたらあまり映画を観ていないことにふと気が付いた。そして上記の作品をネットなんかでたまに見てみるのだが、なんだかしっくりこない。ああ、自分は変わってしまったのだな、と、悲しかった。あの頃、空想でふわふわと揺れていた自分は良くも悪くももういない。そんなこともあり、しばらくは昔好きだった作品からは離れていた。

しかし最近、少し心境が変わってきた。どうも平成がもうすぐ終わるらしい。

ー時代が変わろうとしているとき。変わらずにここにあり続けるものはいったいなんだろう?ー


平成最後の夏だ、とネット上では皆が口ぐちに言っている。私は時代が変わる直前、自分の原点となった音楽や映画をもう一度見ながら、新しい時代になっても大切にしたいことを少し思い出したい。

きっと、自分はこれからも変わっていく。時代も変わっていく。

そんなとき、ずっと自分に寄り添ってくれるのは、きっとこうした心の底に眠っているものだ。私の場合は、10代の頃に触れた優しい世界観。最近忘れかけてたけど、ちょっと思い出してみようかなと思う。


歓びの種/YUKI


小さな頃、触れるものすべてが新鮮だった。あのとき触れた音も、匂いも、映像も、風景も、全てが当時、自分の中にすうっと自然に入っては身体いっぱいに深く広がっていった。そんな記憶が尊い。

小学5年生の夏の夜に帰りたくなってきた。


帰ろう。夏の夜に。

そして、大切にしたいもの、思い出そう。そっと。

星のかけらを探しに行こうAgain/福耳


ーはぐれそうになっても 抱きしめて両手でこの場所で待ってるー

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