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【weekly post】2022年7月ヘルスケア領域Pre-Seed~SeriesA資金調達inUS

今回は、引き続き7月のファイナンスということでヘルスケア領域を見ていきます。
このweeklyでは、個人的に注力したいと思っている領域を中心に「建設・不動産」「教育」「ヘルスケア」領域の資金調達動向をまとめています。
中でも建設不動産と教育の領域はファイナンス企業数も少なく、国内でもあまりスタートアップ企業が狙う領域としてポピュラーではない印象を持っています。(もちろんそこにチャレンジされてる企業もありますし、僕が担当させていただいてる投資先の中にもあります!)
なので、特にその2つの領域については、読んでいただける数がそんなに伸びないであろうと思いながら書いてます。
が、直近特に教育領域のweeklyを多くの皆さんに連続で読んでいただけててうれしいです!
引き続き、少しでも何かのお役に立てるようにやっていければと思います!
もし、教育領域にもご興味ある方がいらっしゃれば、直近のものを下に貼っておりますのでご覧ください!

さて、今回はヘルスケア領域になります。引き続きパイプライン創薬は除いておりますが、特例で1件取り扱おうと思います。
調達件数が少なめということを除いて、正直そこまで大きなトレンドの変化はない印象を持ってますが、いつもであればあまり数が多くない領域が今月やや多めになっていたので、サマリーのパートで少し触れてみようと思います。

7月のサマリー

■対象企業
所在地:US
対象領域:ヘルスケア領域(創薬除く)
企業ステージ:シリーズA
ファイナンス時期:2022年7月1日~7月31日まで

月別調達企業数推移

7月は、上半期の数字と比べるとグッと減ってきています。範囲にしている企業カテゴリーを変えたりしたいるわけではなく、全て同条件でとってきているので、今月は、シンプルに少なかったということかと思います。
まだ継続的にデータが出ているわけではないので決めつけるのは良くないと思いますが、建設・不動産、教育領域でも7月は調達企業数が少なくなっていたので、もしかすると投資検討のハードルが少し上がってきてるのかもしれません。

カテゴリー別調達企業数、調達総額

カテゴリーの分布と調達金額については正直大きなトレンドの変化はありません。少し変わっている部分でいくと、在宅医療支援関連が上半期のデータを見る限り、月に3件程度あってもおかしくないのですが、1件もないことや珍しくデジタル治療薬領域が出てきています。診断作業効率化のところに入っている1社も医療機器認定をとっているものだったりするので、今月は医療機器やデジタル治療薬のような広義での医療機器関連が多いというのが特徴かなと思います。

と、書きながらも、今回は医療機器系は取り上げずに、あまり日本だと多く見かけない領域の企業やいつもは取り上げない創薬企業など3社を取り上げようと思います。

①【Healthie】遠隔診療向け統合バックオフィスツール

Healthie

設立:2016年
今回調達金額:$16M
調達総額:$17.9M
リード投資家:Velvet Sea Ventures
サービス内容等:
直接ヘルスケアに関わる領域ではなく、病院の事務などを効率化する領域の企業になります。いわゆる一般的な、リアルでの診療を行う病院ではなく遠隔診療を行う病院をターゲットにしています。
機能としては、予約情報や個人情報、ウェアラブル端末などのデータ管理等を行う「クライアントデータ管理」、保険や請求、契約などの「事務処理・受付フォーム、支払い請求管理」、遠隔診療やウェビナーが行えるような「ビデオチャットツール」患者向けにおんらいんでのプログラムを提供する「ウェルネスプログラム」が中心となっており、この他にも患者側の予約効率化やドキュメント共有における利便性向上を目指したスマホappの提供も行っています。

②【Sift Healthcare】医療費支払い管理と経営データ分析

Sift Healthcare

設立:2017年
今回調達金額:$9M
調達総額:$16M
リード投資家:First Trust Capital Partners、Allos Ventures
サービス内容等:
医療機関向けの支払い管理をメインに行っているサービスになります。日本とUSで医療制度が異なるので、日本のサービスではない前提で考える必要があります。USの医療機関では、請求と保険関連の業務に4,960億ドルものコストをかけているようで、このサービスではいわゆる請求と支払い済みの管理を行うだけでなく、クレジットスコアなどのデータ活用と独自のAIにより、売掛金の保護や患者がいつごろ支払いをしてくれそうか、どの程度の頻度で請求の連絡をするのがよいかを教えてくれます。これにより、無駄なコストを削減しようというものです。
また、これらのキャッシュフローデータ、患者の支払いデータをもとに導入医療機関向けに経営の意思決定を支援するKPIダッシュボードを提供したり、患者データと地理的なデータを組み合わせ、医療機関をそのエリアの人がどのように活用しているかについてのレポート提供等も行っています。
シンプルな医療事務効率化にとどまらず、お金に関わるデータをうまく生かしながら経営の方まで入り込むことでサービスの重要度を高めているようなイメージでしょうか。

③【YourChoice Therapeutics】男性向け避妊用ピル

YourChoice Therapeutics

設立:2018年
今回調達金額:$15M
調達総額:$16.7M
リード投資家:Future Ventures
サービス内容等:
避妊用のピルというと女性向けのものというイメージが強いかと思いますが、この会社は男性向けの避妊用ピルを開発しているバイオテック企業になります。
いくつかメディアを見ている感じ、もともとは女性向けの避妊用ピルの開発を目指していたようなのですが、男性にも適用できることがわかり、ターゲットを変えたようでした。
すでに動物試験での薬効は証明できているようで、今回調達した資金を使って人間での臨床試験に入るとのことでした。
女性向けのピルは2種類の女性ホルモンが入っている薬になります。が、この会社で開発している男性用の避妊用ピルは非ホルモン性のもので血栓などのリスクが増加することはないようです。
人間への投与は2023年を目指しているとのことです。
( 19年のSeedラウンドでYcomが出資)

編集後記

今回は、ちょっと変わり種の3社をご紹介しました。
いつもであれば、ヘルスケアにサービスそのものが貢献するものであったり、創薬ではない企業を取り上げていますが、今回は医療機関向けの事務効率化や創薬企業を取り上げました。

医療制度が異なるので、日本の場合はそのまま適用できないどころか、そもそもそのような課題が存在するのか?というところからな感じはしています。一方で、あまり目立って注目もされていないところだと思うので、気づかれていなくて課題がある一方で、そこに誰も取り組んでいない明確な理由もないのであればもしかするとチャンスかもしれないですね。
アメリカは、ご紹介した中でも書いた通りで請求支払いのところで大きなお金がかかっていることもあり、このあたりに取り組むスタートアップがあったり、上場企業でも取り組んでいる企業があります。
それぞれ提供価値や強みが異なるのですが、もしご興味あれば見てみてください。(すべて上場企業)
・Change Healthcare Inc

・Phreesia Inc

・Health Catalyst Inc

医療そのものや健康維持管理そのものに貢献するサービスも今後人口が減少していく日本においては重要だなと思います。一方、医療機関も引き続き存続していくものだと思っています。人口が減るので一定数は減るのかなと思うんですが、その分1医療機関がカバーしないといけない地域範囲が広がったり、人口は減るものの高齢者は増えるので、より効率的に運営できる体制が求められるようになっていくのかななどと考えると、医療機関における事務の効率化や医師の診断業務の効率化、改善なども今後機会としては大きくなっていくのかなと思ったりしています。

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