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【weekly post】2021年11-12月ヘルスケア領域SeriesA資金調達in米国

Weekly Postは、建設不動産、教育とヘルスケアという3本立てでやっておりまして、各領域個人的に好きな領域だったり、投資先が多い領域だったりします。

昨年末からWeeklyをサボっていたこともあり、年明けからはひたすら建設不動産をやっていたんですが、そろそろ他の領域にも触れておきたいなと思い、今回はヘルスケアをやっていこうと思います。

通常、1ヶ月分を1本のnoteにまとめてるのですが、それをやっていると一生追いつかなさそうなので、今回は21年11-12月の2ヶ月分をまとめて書かせてもらえればと思います。

建設不動産と全く違って、1ヶ月あたりの調達企業数が圧倒的に多く、ヘルスケアはSeriesAのみの取り上げとさせていただいてます。(そこまで絞っても、建設不動産PreSeed~SeriesAファイナンス1ヶ月分の2倍以上の数が出てきます….)

それでは21年11-12月のヘルスケア調達を見ていきます。
(ちなみに、今回は2ヶ月分まとまってることもあり、全文で5,500文字を超えてますので、よろしければご興味あるところだけ読んでください….)

11-12月のサマリー

■対象企業

今回の対象企業は77社になります。

所在地:アメリカ

対象領域:ヘルスケア領域(今回から創薬含む)

企業ステージ:シリーズA

ファイナンス時期:2021年11月1日~12月31日まで

領域別ファイナンス企業数と調達総額

前回10月を取り上げたときには創薬は外していたんですが、今回は入れております。やはりお金の付き方や企業数の多さが目立ちますね。グラフをいじらずにやると、調達金額のグラフが突出してしまって他の領域がわかりにくくなってしまうので省略をしてます。

1社平均の調達額を見てみると、創薬系領域は$57.5M、そのほかの領域は$23.8Mと2倍程度の開きがある状態です。

創薬はやはり癌系が多いのですが感染症系ワクチン開発や眼疾患もありました。

ちなみに11-12月を通して最も大きな金額の調達になったのは、癌領域を中心として、独自のシミュレーション、AIを融合させた創薬エンジンを持つOdyssey Therapeuticsの$218Mでした。(しかも、これファーストファイナンス….)

今回は、2ヶ月分まとめているので少し多めに5社ご紹介できればと思います。ボリュームがいつも以上に多くなりますので、冒頭の目次からご興味あるとあるとことに飛んで頂ければと思います。

①【メンタルヘルスケアグループセッション】Pace

Pace

設立:2020年
今回調達金額:$18M
調達総額:$18M(Seedをやってるんですが調達額が不明です)
リード投資家:Pace Capital、Sequoia Capital
サービス内容等
メンタルヘルス系のサービスでスマホでサービス提供する会社はちらほらあるし、オンラインで1on1セッション的なものをやったりするサービスって聞くことあるなぁと思ったんですが、グループってあまり多くないような気がして取り上げみました。

グループは7人で構成され、ユーザーにあったメンバーで構成されます。グループにはメンタルヘルス領域に明るいファシリテーターがついて他の人と直接会話をする練習をします。(ピアサポート+専門家のサポートという感じとのこと)
週当たり90分のクラスに参加し、呼吸法に関するセッションや参加者の共有をするセッションなどが展開されます。
グループ自体はずっと固定されるものではなく、別のグループに参加することも可能で、新しい視点を取り入れたりすることができます。

月額は$89でセラピーやコーチングがおよそ$250~$300とのことなので半分以下の価格で提供されています。

②【加齢性疾患治療薬】Fountain Therapeutics

Fountain Therapeutics

設立:2018年
今回調達金額:$15M(今回はSeriesA-2)
調達総額:$26M
投資家:Eli Lilly、Khosla Venturesなど
サービス内容等
AIベースの独自プラットフォームを活用し、細胞が老化するプロセスに関する知見を生かして、加齢性疾患をターゲットにした医薬品開発を行っている企業です。

詳しくないので(なら書くなという指摘はごもっともなんですが)認識がずれている可能性は多分にあるのですが、老化のプロセス遅らせようというものではなく、細胞年齢を若返らせようとしている(reversing cellular age)というもので、結構大真面目に死にたくないと思ってるタイプの人間なので、そんなことができたらすげぇじゃんと思って取り上げました。(今後も追っかけていきたい。。内容薄くてすみません…)

③【血糖値モニターデバイスを活用した減量支援】Signos

Signos

設立:2018年
今回調達金額:$13M
調達総額:$17M
リード投資家:GV(旧Google Ventures)
サービス内容等
ウェアラブル血糖値モニターを活用し食事や運動など生活の中で変化する血糖値をトラッキングし学習、その上で、ユーザーにあった食品や食べるタイミング、さらにいつ運動をすることで血糖値を適切な範囲に戻すかなどの提案を行ってくれます。

ユーザーは、ウェアラブルのデバイスを腕に貼り付け、食事のデータを記録したり、運動のデータを記録(他のウェアラブルデバイスデータと統合できる)するだけです。
血糖値モニターのデータについても自動的にスマホに送信されるので、いちいちスキャンする必要もありません。

本来アメリカで血糖値モニターを提供するには医師の処方が必要なようなのですが、Signosではオンラインプロセスに内包されており、オンラインで申し込みをした上で、薬局に取りに行くだけという流れになっています。(裏で、既往歴などを確認して処方するようなフローになってるっぽい)

④【赤ちゃんの睡眠パターン分析と家族の生活週間改善】Huckleberry Labs

Huckleberry Labs

設立:2017年
今回調達金額:$12.5M
調達総額:$16.1M
リード投資家:Morningside Ventures
サービス内容等
子どもの睡眠を分析し、適切な睡眠のタイミングや睡眠に向けた推奨事項を提示してくれるサービスで、利用者の声の中には、睡眠タイミングに推奨されたことに従うと数分で寝てくれたという声もあって、(結婚もしてないのし子どももいないので使えないんですが、もしいたら)使ってみたいなと思うサービスでした。

仕組みや機能についてですが、初めに子どもの睡眠パターンのプロファイルを行うために質問に答えてきます。その回答を睡眠の専門家とAIが分析をしプロファイル。

その上で、生活習慣上、別の子供の送り迎えや仕事時間などタイミング的な制約がある場合はその情報をインプットするとサービス側からどのようなアクションをすると良いかなどアドバイスが提供されます。(子どもの食事のタイミングや部屋の環境などの簡単なものからアドバイスがスタート)その上で、頻繁に目が覚めてしまったり、昼寝の時間が短かったりしないかなどを確認しながらアドバイスのアップデートがかかっていくようです。

サービスは無料版で簡易定期ものが提供され、有料版にアップづれーどすることで専門家の分析などより深いサービスが提供されており、レコメンドされるプランとしては$9.99/月のものになります。

⑤【検査キットとアプリによる在宅妊活支援】Proov

Proov

設立:2018年
今回調達金額:$9.7M
調達総額:$.9.7M(ここまでに2回ラウンドをやってますが調達額は不明)
リード投資家:Hambrecht Ducera Growth Ventures
サービス内容等
妊活中の女性を主なターゲットとした在宅での検査キットと検査結果判断等を行うスマホアプリを提供しています。
検査キットとしては、排卵の予測及び質をテストするキットとホルモンサイクルをトラッキングし、妊娠に適したタイミングを教えてくれるキットの2つが提供されています。

検査キットは、Proov独自のもののようで、FDAの認可や特許の取得も行なっているようでした。

このほかにも、男性用のテストキットも提供されていています。(あくまでもメインは女性向け)

編集後記

個人的に特に興味を持ったのは、減量支援のSignos、赤ちゃんの睡眠分析をするHuckleberry Labs、在宅妊活のProovでした。
どのサービスもいわゆるデータの可視化をするだけでなく、そのデータをもとに、次のアクションどうするといいよというところまで踏み込んでサービス提供されてるのはすごくいいですよね。
ヘルスケアのサービスに関わらず、データ活用系のものにとっては、長く使い続けられるために、データを示すだけでなくその先に何をしたらいいのかを示すというのはすごく大事だなぁと思います。(データ可視化してくれるサービスて最初は、面白いんですけど、飽きたり、結局何したらいいか分からずで見なくなっちゃうんですよね….そうすると機器売りであれば新機種は買わないし、サブスクなら解約という形になってるケースが割となくないなぁと思います。)

Signosについて

投資先にヘルスケア系のサービスが何社かあるのですがやはりその中でもtoCの食いつきが圧倒的にいいのがダイエットです。
それもあってか、怪しいサービスもちょくちょくあるような気がします。
加えて、なかなかダイエットって続かなかったり、一回体重が減ってもリバウンドしたりっていうのを繰り返すし、なぜか体重が落ちなくなったりと、やる気を削ぐ要因も多い印象があります。

このサービスの場合、まず大前提として、謎の薬やサプリを飲まされるのではなく生活習慣から変えていきましょうというタイプなのがいいなぁと思っています。また、人によって基礎代謝が異なったり生活習慣が異なる前提を踏まえ、個々にあったチューニングをしてくれるのもいいなぁと思います。

個々にカスタマイズしたことで、それまで個人で取り組まれていた減量と比較したときにどこにどれほどの効果が現れるのか見えてくるとより面白いなぁと思います。(早く減量できるのか、リバウンドしないのかとか…)

Huckleberry Labsについて

親が入力するデータだけでなく、そのデータをもとにアクションをした時のデータまで取れているという、蓄積するデータそのものの独自性の高さがすごいなと思います。しかも、赤ちゃんが寝ないorすぐ起きるって全親にある課題だけれども、赤ちゃんによって個人差があるが故に誰も知見を持ってないという領域だと思うので、すごく提供価値が高くなりやすいんだろうと思います。

結構、まだ小さいお子さんがいるご家庭だと寝かしつけるのに両親が苦戦してるようなケースって結構あるなという気がしていて、そころデータから、「このタイミングでこれやったら寝るで!」って教えてもらえると、1日の予定も考えやすいし、目が覚めてしまって本当は寝てくれないタイミングなのに頑張って寝かそうとしてしまうなんてことも無くなるのかなと思いました。

昨年まだ1歳に満たない赤ちゃんがいる元上司のお宅に遊びにいったんですが、そのときにベビテックサービスの導入が結構されていて驚いたことを覚えています。とはいえ、まだまだ赤ちゃんや子育ての大変さ、わからなさは残されていて、親の感覚に任されているところが多分にあると思います。
加えて、保育園の休園やリモートワーク推奨により、親は睡眠時間を削って深夜に働くという状況がより深刻になっている印象があります。
こういったデータ分析をしながら感覚だとわかりずらい(特に1人目だと)ところをテックの力で改善していけると、赤ちゃんにとってもストレスが少なく両親にとっても今まで以上に気楽に子育てができるようになるというのが実現できると、家庭環境がもっと良くなりそうだなと思いました。(まだまだベビテックってやれることたくさんありそうですよね..)

Proovについて

検査をしたときの一時点の情報だけでなく、その後の適切なタイミングまで含めて、検査キットとアプリで情報を提供してくれるというのは、すごくいいなと思いました。
妊活や不妊治療の領域は情報収集や通院など表面的な大変さだけでなく、精神的な負担が大きいと聞きます。
その領域において、今の一時点の情報だけでなく、しっかりとしたデータに基づいて、いつだよというのを提供してくれるのは、心理的な負担を小さくしてくれるサービスなんじゃないかと思いました。

また、あくまでもメインは女性向けになっていましたが、合わせて男性側の検査も提供されているのは、すごくいいなぁと思いました。(男性側に何か問題があるというケースもよくあると聞くので…)

それでは今回は以上で!
また建設に戻ったりしながら近いうちに教育も久々にやろうと思います!

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