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【weekly post】2022年上半期、教育領域Pre-Seed~SeriesA資金調達inUS

何とか有言実行していきたいということで、25日公開といったその公開日の昼に書き始めております。(週末にリサーチをやってたら案の定、上半期全部ってだけあって量が多かった。)

毎月定期的に書いていかないとだめだよなと思いつつ、今回は上半期分まとめるという甘えに出たわけなんですが、一気に調べただけあって、全体的に教育の中でもこの領域が多いなとかそういうものに気づけたのは楽しかったです。

いつも建設不動産のweeklyを出すときに20件程度の調達で、建設領域は少ないから多いほうだと書いているのですが、教育はもっと少なくて、後ほどもグラフで出しますが、上半期全部足してもPre-Seed~SeriesAで100社もないという状態です。

また、「教育」と言われてイメージする「受験教育」みたいなイメージのものは比較的少ないというのも考えを巡らせられるポイントなのかなと思います。(シンプルに日米で教育システムに違いがあることもあるだろうしスタートアップとして成立するかしないかみたいなところもあるだろうし...)

そんなことも少し触れながら、上半期総集編なので少し多めにスタートアップも紹介しつつやっていければと思います。

上半期サマリー

まず初めに、月別の調達企業数から見ていきます。

資金調達まとめトップ画

領域が全く異なるので、単純に比較するのもよろしくないなと思うのですが、いつも取り上げている建設不動産も冒頭で触れたとおり、あまり調達企業数が多い領域ではないです。

その建設不動産領域は、上半期平均すると1ヶ月あたり21社程度のファイナンス件数でした。

教育に関してはもっと少なく、月平均で15-16社程度となっております。

続いてステージの分布を見ていきましょう。

資金調達まとめトップ画

ステージの分布自体は、正直建設不動産とそこまでかわりないんじゃないかなという印象で、少しPre-Seedが多いかもしれないという感じでしょうか。

続いて領域別の調達企業数と調達金額の合計を見てみます。

資金調達まとめトップ画

領域の分類は独断と偏見でやっているので、企業によっては「それ違うんじゃない?」的なのもあるかもしれませんが悪しからず..

パッと見た感じでわかると思うんですが、受験教育とか資格取得みたいな日本だとぼちぼちありそうな領域では、ほぼ調達企業が出てきていません。

一方で、受験というよりかは学校での勉強を補助するような自宅学習の支援であったり、ビジネススキルを伸ばしていくようなサービス、学校教育でもないしビジネスに直結するわけでもないような教養領域が多いというのがこの上半期の特徴とか思います。

もう少し、全体見る中で感じた特徴なんかは編集後記で触れようと思いますので、もしご興味あれば覗いてみていただけるとうれしいです。

それでは、個別企業を見てみましょう。8社取り上げるので、サービス説明は簡単なものにします。

①【Kahilla】女性マネージャー特化型リーダーシップ教育(Seed)

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設立:2019年
今回調達金額:$1.9M
調達総額:$1.9M
リード投資家:不明
サービス内容等:

女性マネージャーに特化したリーダーシップ教育サービスでマインド面のコースやハードスキルワークショップ、専門家提供のコンテンツやコーチング、コミュニティなどが提供されています。

個人が課金をする形式ではなく法人が課金し社員に提供される形式のサービスです。

②【Tutorac】家庭教師による高品質動画教材マーケットプレイス(PreSeed)

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設立:2020年
今回調達金額:$550K
調達総額:$550K
リード投資家:個人投資家
サービス内容等:

イメージ的にはスタディサプリのような動画コンテンツによる教育と言った感じです。動画コンテンツは、統一された雰囲気になるようにスタジオで撮影されており、その領域の専門家がコンテンツ作成に携わり、3Dアニメーションなどを活用することで理解しやすいように作りこまれています。

コンテンツの冒頭は無料で視聴でき、章が進むごとに課金が必要になる形式になっています。

③【Bridge To College】データ分析による大学進路選択支援(Seed)

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設立:2017年
今回調達金額:$350K
調達総額:$836K
リード投資家:Inspiration Ventures
サービス内容等:

学生が適切な大学を見つけられるアルゴリズムを開発している企業です。ユーザーは、サービス上で20分程度の質問に答えていくことで、自分のニーズにマッチした大学を教えてくれます。

質問の内容はこれまでに受講したコースやその成績などに関するものでそれらのデータを活用して、学問的なニーズ、学費に関するニーズなどに合わせて大学を提示してくれます。

④【Metafy】ゲームのオンラインコーチング(SeriesA)

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設立:2020年
今回調達金額:$25M(Pre$80M)
調達総額:$33.7M
リード投資家:Tiger Global Management
サービス内容等:

様々なオンラインゲームのエキスパートから1on1のコーチングを受けられるサービスで、好きなゲームを選ぶと、そのゲームに対応しているエキスパート(そのゲームのゲーマーさん)が選べるようになっており、時間課金のモデルになっています。

カリキュラムはエキスパートが設定をしており、複数レッスンで構成されているようなものもあります。

価格はエキスパートによって異なり1時間$10の方もいれば$150の方もいらっしゃいました。

⑤【Electus Global Education】子ども向け学びながら稼ぐライフスキル・教養教育(Seed)

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設立:2015年
今回調達金額:$250K
調達総額:$2.1M
リード投資家:不明
サービス内容等:

金融リテラシー、ビジネス、職業、政治、起業、環境問題など専門家などが作成した教育タスクや家庭での仕事(お手伝いなど)を行うとサービスが提供しているVISAデビットカードにお金が入金されるようになっており、さらにそのお金の使い方も学べるようになっています。

家庭または学校から課金してもらう仕組みになっており、家庭からの課金の場合1人であれば、月額$9.99、3人で$19.99、以降1人増えるごとに追加で$2.99課金してもらうようになっています。

⑥【Joon App】ADHDの子ども向けタスクの仕組化(Seed)

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設立:2021年
今回調達金額:不明
調達総額:不明
投資家:Ycom、Umami Capital
サービス内容等:

タスクをゲーム化することでタスクを楽しくし、集中して取り組めるようにするサービスです。子どもには、仮想ペットを育てるゲームとして提供され、ゲーム上ではエサを与えたり成長させたりするのですが、タスクを完了するごとにコインのようなものが貰え、それを使ってゲームを進めるような形になっています。

ゲームを進めることで習慣化する癖がついていくというものでタスクの完了度合いなどはダッシュボードで確認できるようになっています。(実際に使っている子どもたちは90%程度が割り当てられたタスクを完了しているようです。)

⑦【Primer】子どもの好奇心探索(SeriesA)

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設立:2015年
今回調達金額:$15M
調達総額:$18.7M
リード投資家:Khosla Ventures、Founders Fund
サービス内容等:

子どもが好奇心を持てるジャンルを探したり、さらにそのジャンルを深堀できるサービスで、アート、サイエンス、宇宙、音楽など様々なジャンルでクラブが提供されています。

例えば、Storytellers Clubでは週に10回以上のライブイベントが提供され、脚本の書き方などを学び、じぶんで書くところまでチャレンジします。価格は月$10で提供されています。

⑧【Leland】キャリアコーチング(Seed)

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設立:2015年
今回調達金額:$4M
調達総額:$5.1M
リード投資家:Contrary
サービス内容等:

MBAや大学進学のような学生向けから、経営コンサル、投資銀行、VC、人事、CSなどなどの社会人としての仕事まで含めたキャリアに関するコーチングを提供しています。

サービスでは、コーチングだけでなく、グループクラスの提供もされており、入試のためのエッセイの書き方やコンサル向けの定量分析などに関するコースなど実務に関わるような部分のサポートも提供されています。

編集後記

上半期総集編なのでいつもより多くスタートアップを取り上げてみました。

冒頭でも少し触れたんですが、上半期を通して、「学校教育補助系」「ビジネススキル拡張系」「教養教育系」が多く、かつその中にも特徴があったように感じました。

・学校教育補助系

いわゆる、(学年切るなどターゲット設定はあれど)学生なら誰しもを対象にしているようなものではなく、ADHDや言語など障がいを持っており、学校の授業についていけなかったり、集中ができないなどの特徴を持ったお子さんに対して、その特徴を逆手にとって、習慣化しやすい仕組みを提供したり、モチベーションを上げれるようなサービスにしたりといったような、より個別に最適化した教育を提供するサービスが絶対数は多くないもののいくつか出てきていたのが印象的でした。

教育に限らず同じような流れがあるように感じてるんですが、サービスの登場の流れとして、

①比較的全セグメントに共通する課題解決

例えば教育という切り口で行くと、中学受験、高校受験、大学受験みたいな割と多くの人がターゲットになるような共通の課題に対してアプローチするようないわゆる大手塾のようなイメージ

②さらに課題を細分化した課題解決

イメージ的に行くと個別指導塾とかがこのイメージで全体をターゲットにしていた塾だと合わなくなってくるターゲットセグメントにフォーカスして、そこを取りつつ近接ターゲットに広げていくような

①→②みたいな流れがあるよなと思っていて、ソフトウェアのサービスとかだとさらに②の過程で様々出てきたサービスを統合するようなサービスが出てきたりするような気がしてます(知らんけど。)

それぞれ特徴を持った子に合わせて、仕組みを提供していくようなサービスは②がさらに深まったものなんだろうなと思っていて、もしかすると英語圏というかなり大きなマーケットで戦えるUSだからこそ出てこれるサービスなのかなと思ったりしました。(やはりどうしても人口ボリュームを考えたときに課題が深くてもSUとしてやろうとすると少なくとも単一事業として日本語圏だけでやるのは厳しかったりするのかなぁと。)

・ビジネススキル拡張領域

この領域だと、多くの方がイメージされるのってUdemyかなと思うんですが、これも先ほどの教育補助と同じように②の方に来ているのかなと思いました。

コンテンツを提供し「あとは自分で頑張ってね」というのが従来のスキル拡張だとすると、達成したい目標に合わせ、適切なコーチをマッチングし、コーチングを行いながら、クラスにも参加して学ぶべき内容をインプットして目標達成を目指すような形のものが出てきているのが今という感じなのかなと思いました。(Leland)

・教養教育系

教養教育については、いわゆる学校教育でもないし、ビジネスに直結するわけでもないよねといったものをここに含んでいて、ややビジネスよりのものも入っていたりします。

ここについては、割とかなり幅広だった印象を持っていて、全体をターゲットにしに行こうとしているものもまだまだ多かった印象を持っています。一方で、「今だなぁ」という感じがしたのはWeb3系にフォーカスしたものがかなり出てきていました。

行動制限の影響もあり、オンライン授業など新しい教育の在り方が考えられるようになったことで、一昔前と比べても教育領域にも注目されるVCの数が国内でも増えたような気がしています。が、学生向けの教育という観点では、お金を払うのは親で受益者は学生であるが故の難しさといった構造的な壁がなくなったわけではない中で、オンラインだからこその強みを生かして仕組みを作る企業や、より課題が深いがゆえにオンラインの相性がいいところにオンラインのハードルが少し下がった今フォーカスする企業が出てきているのは面白いなと思います。

また、払い手と受益者が異なる学生向けではなく、リモートワークや物価高騰などが職について考え直すきっかけになったであろう、社会人向けに狙いを定め、今まで以上に個人の成功にフォーカスした仕組みを提供することで、既存サービスより高い提供価値を提供する企業が出てきたのも興味深いですね。(今後金地上昇で、給与高騰が止まり、物価高に歯止めがかかり、景気後退が見え始めたときに、そこまで手厚くやってもらう代わりに多少高いコストを支払うことがワークし続けるかということも含め)

今回はこれで以上になります!

今後は毎月出していければと思っておりますので、もしご興味あればマガジンの登録などお願いします!

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