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【weekly post】2022年7月建設・不動産領域Pre-Seed~SeriesA資金調達in欧州

平田拓己

今月最後のweeklyは、久しぶりに欧州の建設不動産領域を取り上げます。
欧州を取り上げるのは、おそらく半年程度ぶりになるので少しおさらいすると、USの建設不動産領域スタートアップと比較して、環境への配慮や貢献といった要素が含まれるサービスを提供しているスタートアップが多いことが特徴になっております。

今月についても例外ではなく、環境貢献を意識したスタートアップがやはりありましたので、その辺りも取り上げられればと思います。

余談ですが、数回前のnoteからサムネイルの変更を行いまして、サムネにすごくざっくりとしたサマリーとそのnoteで個別に取り上げている企業のロゴを掲載するようになりました。
基本的にnoteの告知はtwitterでしかやっておらず、Twitterでのインプレッション数とエンゲージメント率をちょくちょくみております。(今回からFacebookにも試験的にupしてみようかと思います。)
まだ変更してそこまで経っていないので、なんともいえないのですが、サムネの変更前と変更後でインプレッション率に少し改善が見られまして、やってよかったかもなぁと思っております。
また、最近の傾向で面白いのが教育領域の反応の良さです。
weeklyでは、「建設・不動産」「ヘルスケア」「教育」の3領域を見ています。調達件数が多い順に並べるとヘルスケア>建設不動産>教育という並びになるのですが、Twitterのインプレッション率を見ると教育がぶっちぎりでよくて、通常3-5%程度のインプレッション率なのですが、5%オーバーになるものもちょくちょくあり、中には14%近いものもあったりします。
投資先に数社教育系のサービスを展開する企業があるので、その影響もあるかなと思ってはいますが、それにしても多いので、他の領域でも多くの方に読んでいただけるように(もちろんnote自体に価値があるものにしていかねばならない…)今まで以上に注目しながら改良していければと思います。

それでは、今回も7月のサマリーから見ていきます。

7月のサマリー

■対象企業
所在地:ポルトガル、オランダ、エストニア、スペイン、イタリア、ギリシャ、オーストリア(順不同)
対象領域:建設不動産領域
企業ステージ:プレシード~シリーズA
ファイナンス時期:2022年7月1日~7月31日まで

今月の調達企業数は8件でした。
USの建設不動産領域だと月20社程度出てくるので、すごく少ないように感じるかと思うのですが、そもそも欧州は毎月これくらいの水準で時々多いと20件近く出てくるのですが、遡ってみると昨年11月が11件、12月が9件という感じなので大きな変動はなくという感じかと思います。

ステージの分布としては過去を見ても基本的にシード中心の分布になっていることがやはり多いのでこちらも大きな変動はないかなと思います。

半年ほどスキップしている関係で、ひどいグラフになってしまい申し訳ないのですがステージごとの平均調達金額は、ドル換算で見るとそこまで大きくぶれているかというとそうでもないなという印象でしょうか。
ただ若干注意しないといけないのは、ユーロドルのレートになります。

出所:minkabu FX(2022/08/26)

基本的にweeklyでは、USも取り上げているので、比較しやすいよう、このグラフではドルに変換して示しています。このドル換算の際のレートは、その時々のレートを使っております。
なので、例えば、上記のグラフを見ていただければわかるとおり、昨年12月のレートで行くとユーロドルは1.14近辺になります。
一方、現在はパリティ割れということで0.99となっています。昨年12月ごろのレートで行くと、シリーズAは$20M近い平均額になるはずなので、少しいつもよりかは高い水準と言えるかもしれません。

最後に領域分布を見ていきます。

いつもだと、投資/資産価値管理の領域であったり金融/保健領域の調達企業があるんですが今月はそこが0であることを除いて、領域別の件数自体はいつもとそこまで変わらないかなと思っております。

調達金額の合計については正直その領域で調達した企業のステージがどこであったかというので結構変わるので、例えば今回のように建設ソフトがお金が集まりやすいかというとそういうことはなく、シンプルに調達して1社がSeriesAの企業だったというだけの話になります。(もはや棒グラフ無くしてもいいかもしれない…)

それでは、今回は、欧州ということもあるので環境に絡むスタートアップを中心に3社ご紹介します。

①【Spotlite】衛星画像を活用したインフラ監視(Seed)

spotlite

設立:2017年
今回調達金額:€1.5M
調達総額:€1.5M
リード投資家:Indico Capital Partners、EDP Ventures
サービス内容等:
交通、鉱業、エネルギー、不動産、保険などの産業向けにインフラの監視や構造健全性評価のためのリスク分析サービスを提供しています。
想定されているユースケースとしては「地盤の斜面の動きや沈下の状況のモニタリング」「インフラ周辺の森林などのモニタリング」「洪水の際の被害状況把握と洪水リスク評価」「インフラの変化管理」などがあり産業に合わせて機能提供がされているようです。
どちらかというと、細かな管理というよりは大きな規模での変化の管理や状況把握を専門にしています。
元々は交通領域でサービスをスタートしており、その後サービスの領域を拡大しているようで、今回のファイナンスは、高速道路事業者とのパイロットプログラムを通してイギリスへの参入に成功したことを背景に行われたようです。

②【Solarstone】建物一体型太陽光発電(SeriesA)

solarstone

設立:2015年
今回調達金額:€10M
調達総額:€10.5M
リード投資家:不明
サービス内容等:
先に用語の説明から行きます。この会社はBIPVを提供してまして、

BIPVは、建物一体型太陽光発電を指し、いくつかの伝統的な建設部品を置き換えるために利用される太陽光発電材料である。屋根、天窓、ファサードなどに利用されています。

Report Ocean プレスリリースより
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004412.000067400.html

その中でもこの会社では、屋根に利用されるものを提供しています。
原材料は環境に配慮がなされたものよ使用しながらも安全性のテストに合格しており、すでに8カ国で7,000のソーラールーフを提供しています。
基本的には個人宅などの建物に設置することが想定されているようです。
日本の場合、太陽光発電の投資回収期間については、見るものによってデータがまちまちで、産業用で8-12年程度、家庭用で7-8年程度いずれも長くて15年程度とされています。
事業展開国的に横並びで比較できませんが、Solarstoneのソーラールーフの場合は6-10年程度での投資回収を想定して想定しており、耐用年数は25年で、25年経っても初期出力の80%程度を維持できるとのことでした。

③【011h】プロセル標準化×独自ソフトによるカーボンニュートラル建設(SeriesA)

011h

設立:2020年
今回調達金額:€25M
調達総額:€35M
リード投資家:Redalpine
サービス内容等:
カーボンユートラルな建物の設計と建設の両方を行う企業になります。
建設プロセスの標準化、設計、製造、組み立てのプロセスを最適化する独自のシステムを活用して設計を行い、ESG品質基準に従い選定されたパートナーにより施工が行われていくような流れになります。
建物そのものはコンクリートをできるだけ使わず木造にしており、断熱をしっかりと行い空気循環が良くなる構造、再生可能エネルギーの活用などを想定して建物の設計を行なっています。
これらによりCO2の削減と建設にかかる時間の削減を目指しており、すでに完了して公開されているプロジェクトでは、それぞれ
Life Habitat Hospitalet
CO2:-81%
工期:-35%
forest
CO2:-80%
工期:-30%
を実現しています。

ちなみに創業者のうちの1人は、2016年にファッション領域で事業売却経験を持つシリアルアントレプレナーの方のようでした。

編集後記

久々に欧州の建設不動産領域を取り上げました。
せっかくの欧州なので、意図的に環境系を取り上げましたが、実は7月にファイナンスを行なっている8社中3社が環境絡みのサービスを提供している企業になるので、やはりUSと比較して環境意識が高い印象を受けます。(アメリカだと、たまーにあるというレベル)

今回、環境系を個別に取り上げながら「環境でゴリ押し」ではなく、「環境にも配慮しながら経済的な便益も押す」という感じに少し変わってきているような印象を持ちました。
2つ目に取り上げたSolarstoneでは投資回収効率の良さもアピールしていましたし、記載しませんでしたが、3つ目の011hでは、プロセス等の標準化により工費の20%削減が可能になるとメディアで記載されていました。

取り上げた2社の場合は、景気後退がわかりやすく意識される前の創業(特にSolarstone)なので、たまたまかなと思っていますが、ある程度調達環境も景気も良かった時期は、環境意識が高く、多少高くても積極的に使うことがイメージアップにつながったり、めちゃくちゃ環境意識の高い人にまずは使ってもらい、一定ボリュームが出てきたら大量生産するような流れに持っていこうと思っているところが多かった一方で、景気後退も意識される中で、早めにマスにアプローチできるよう、早い段階から、マスに刺さる提供価値も持たせることを意識し始めるという動きが今後さらに進んで行ったりするのかなと思ったりしました。

特に建設不動産領域は、利上げの影響をもろに受けて、アメリカでは住宅着工、着工許可ともに激減しているので今後さらに市場が求める価値のウエイトが変わってきたり、価値を求められるスピードがこれまでと変わったりするのかなぁと思ったりしました。(住宅市場の陰りをよそにホームデポはリノベ需要を取り込んで市場予想を上回る決算だった)

久々に少し長めになってしまいましたが、今回は以上にします。
長文読んでくださりありがとうございます!

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