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【詩】ハイキング

「おーい、今日も来たよ」


(霧がかかってて、何も見えねー)


少年は山の頂上で腰を下ろす。
標高はおよそ127m
ペットボトルの蓋を開けながら
少年は話を続ける


「俺、高3になったよ。早いよね。
ここに来てもう3年も経つんだよ。
恐ろしいわ笑笑」


(やっぱ山の上はまだまだ寒いな...)


少年は、水を飲みながら
霧が晴れるのを待つ。
そして、コンビニで買ってきた菓子パンを
127mの山の頂上の地面に置いた。


「お前が寂しくならないように
こっちは毎週来てやってるんだぜ?
感謝しろよな!!」


(眩しっ..!!霧が晴れてきた)


少年は朝日が眩しいせいで
手で顔を覆った。
しばらくして手を離すと、
地面に置かれた菓子パンがなくなっていた。


「今から部活あるから、もう行くわ。
また来るからなー、じゃあなー」


(あいつ新作の菓子パン
気に入ってくれたかな...)


少年は山の頂上にある
かつての友人の白骨死体に手を振った。

友人は今も行方不明だ

だが、少年は知っている。
少年だけが知っている。
友人が、127mの山の頂上で
静かに眠っていることを。


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