やっておけば良かったこと
〜前回までのあらすじ〜
・実店舗営業を目指す明確な理由があり、とりあえず場所は関東にしようと決めた。
・中部地方に住んでいたので会社員のうちに引っ越しした。
・会社を辞めてからすぐマイナンバーカードを作ってよかった。
です。前回後半の「青色確定申告の電子申告に必要なマイナンバーカードを作っておく」というお話の続きと、それに関連した「やっておけば良かった」と後々思ったことです。
まず青色確定申告の電子申告についてですが、これについては検索するとすごく詳しく書いてくれている方が沢山いらっしゃるので、詳しく知りたい方は検索しそちらを参考にしていただくと良いと思います。
ざっくり説明すると、会社員の方は会社で「年末調整」という紙を提出すると会社側が確定申告をしてくれるのでそれで終わりです。経理担当の方は日々お疲れ様です。インボイスの対応でさぞ大変なことでしょう。長くなってしまうのでインボイス怒りのデスロードはまたの違う機会に致しましょう。
確定申告は「その人の一年の収入を税務署が確認し、それを元に来年の税金が確定する」というものなので、個人事業主になると自分で税務署に提出しなければなりません。ちなみに自分がお店をやる前、好きな古着屋さんやイラストレーターさんが皆すごく大変そうにしていたので「きっと個人事業主の1番の関所なんだ…!」くらいに思っていました。紙で提出するのは本当に大変な作業だと思うのですが、私はアプリでやったので構えていた程大変ではなかったです。
確定申告には「青色」と「白色」の2種類があり、白色のほうが簡単なのですが、青色のほうが多くの控除(払う税金が差し引かれること)を受けることが出来ます。私はこの辺の知識が全く無く、そもそも控除って何…?状態でしたので何故2種類あるのかなど詳しく気になる方はご自分で調べてみて下さい。
そして更に青色確定申告を紙で提出するか、電子申告をするかという2種類の選択肢があります。ここまでの流れでお察しかと思いますが「青色確定申告」を「電子申告」で申請すると最大65万円、全ての選択肢の中で1番多くの控除を受けることができます。正直私もなんのこっちゃでしたが、「65万ってデカ〜そんならそれにするわ〜」って感じです。で、それをする為にマイナンバーカードが必要というわけです。
会社員の時は「自分の一年の収入額で税金の額が決まる」ということがよく分かっていなかったので、第一回のnoteの見出し画像では開業後もそのままの額の社会保険料がかかると勘違いしています。これは大きな勘違いです。でももし確定申告をしないと税務署は会社員の時の収入のままの税収をし続けるので、開業後すぐで収入が僅かだったとしても毎月高い社会保険料を払わなければいけないのです。
開業した年の確定申告は実は義務ではありません。しかし翌年の会社員時代から大幅に減った社会保障の支払い額を見て本当にやって良かった〜…と思いました。逆に義務じゃないのが怖いというか、国としても払ってくれるなら多目に払って欲しいんだろうと思いますがこういうことって誰も教えてくれないので情報弱者でいると損をしてしまうと痛感した瞬間でした。まだまだ私の知らない、気付いていないことも沢山あるんだろうと思います。
そしてこの時私はこう思ったのです。
「待って、会社辞めた年も確定申告やっとけば良かったんじゃ──?」
確定申告は前年度の1〜12月分を報告するものなので、年末退職だった私は2022年の3月に確定申告し…なくていいんだよな?!そうだよな?!と怯えと怠惰でよく調べもせずやりませんでした。2022年11月の開業日まで私は失業保険とアルバイト(失業保険受給中でも申請すれば一定の範囲内でアルバイトが可能です)で食いつないでいたので住民税など税金が大変痛手でした。今になって調べてみると失業保険需給中は住民税や国民年金の免除制度があるので(自治体によって違いはあるようです)、それを活用すべきだったなあと思います。開業準備中は調べないといけないことが山ほどあったのでつい後手後手になってしまったのですが、税金を少しでも浮かせて開業資金に当てられるなら絶対そうした方が良かったと毎日100ローの200円のお弁当食べて節約していた自分に伝えたいです。
そしてこの辺に関連して事前に知っておきたかったことが何点かあるのでご紹介します。
①自己都合退社の場合、退職日から失業保険の受給までなんだかんだ5ヶ月くらいかかる
②住民税はその年の1月に住んでいた都市で6月から一年間分の支払い義務が生じるので、会社を退職した場合、退職月以降の給料から天引き出来なかった分の支払いが一気にくる。
まず①についてですが、2023年6月に政府が転職を推進する為に自己都合退社でも会社都合退社同様にすぐ失業保険を受給できるよう制度を改めるべきだと法改正を検討していますが、今のところ法改正は進んでいないようです。(う〜んさすが検討使)素晴らしい案だと思うのでさっさと実装すればいいと思っておりますが、残念ながら2023年10月時点での現状だと会社の都合で退職を余儀なくされた人以外は失業保険をもらえるまでにかなりの時間がかかることになります。そもそも失業保険とは「完全な失業状態にある人が再就職をして生きていく為に職探し中の生活を補償する制度」です。個人事業主を目指す人も会社を辞めて失業状態になってから自分で生み出す新たな職に移る訳ですから、定義からは外れておらず前職で一年以上雇用保険に入っていれば当然受給資格があるわけです。ただ会社から会社に移ることしか想定していない制度なので、権利はあるけれど結構とんちんかんなことになります。そもそも会社から会社に移るにしたってこの制度を活用するなら待機期間の三ヶ月は全くの無収入で暮らさないといけない訳ですから、殆どの方が失業保険の給付が発生するより先に転職している気がします。じゃあ毎月給料から引かれている雇用保険料って一体…とか思ってしまいますよね。話が少し外れましたが、どうとんちんかんかというと失業保険を受給するには「失業状態にあるけど、ちゃんと職を探している」という証明が必要なので月に2回「就職活動」をしなければなりません。お店を開業する為の準備は日夜行っていましたが、それでは「就職活動」にならないのでハローワークにいって職業相談をするか行くつもりもない会社にエントリーを出すかしないといけません。ハローワークの職員さんに聞いたら自営業の準備期間に失業保険を受給する人は結構いるらしく、もう割り切って「仕事探してま〜す(探してないけど)」って感じでやってる方が多いようです。私は変なところで真面目なので「本当は転職先の会社なんて探してないのに探してるフリして職業相談する」という行為に途中耐えられなくなり、ハローワークの相談員さんに正直にもう受給自体をやめようかと相談したことがあります。アルバイトでも一定の勤務日数を超えると雇用保険の支払い義務が生じ、「就職した」ということになり失業保険から再就職手当というより額の少ない制度に切り替わるのですが、職業相談したくないからバイト増やして就職したことにしちゃおっかな。と考えたのです。その時の相談員さんがとても親身な方で、私がそう伝えると少し考えてから「…あなたの人生にとって、1番優先させたいことはなんですか?」と問いました。その時私はハッとしました。お店の準備をしながら店舗用の物件が中々見つからないという状態で、複雑怪奇な失業保険の制度とギリギリのアルバイトでやりくりすることに疲弊しフリーターになりかけていた私は「自分のお店を…出したいです…」と泣きながら答えていました。相談員さんは続けて、「アルバイトの日数を増やして、お店の準備は出来そうですか?」と言い、私は「無理です……」と言うと、「ではもっと少ない日数でお店の準備に負担なく働ける職場を探しましょう。そんなにやりたいことがあるのはとても素晴らしいことですし、失業保険の制度の為にアルバイトを優先するよりはそのやりたいお店の実現に向かって動くべきです。その為に職業相談の窓口を便利に使って下さい。探してまーすって感じで適当に制度を使う人も多い中、真剣に考えて下さってありがとうございます。」と言ってくださって、私はもう涙でぐちゃぐちゃになっていました。日々の暮らしと資金繰りやらなにやらで訳が分からなくなっていた自分を冷静に軌道修正してくれたあの相談員さんに今でもずっと感謝しています。
また少し本題からズレてしまいましたが、失業保険はこのような面倒臭い手続きをクリアすれば会社員時のお給料の6割程度 ×3ヶ月分貰える制度なので活用するに越したことはありません。①で書いたように「何だかんだ5ヶ月くらいかかる」
というのはどういうことかと言いますと、前述したように自己都合退社だと「3ヶ月の待機期間」というものがあり、申請してから受給されるまでに3か月かかります。プラス、そもそも失業保険を申請するにあたって働いていた会社から「離職票」というものを貰わないといけないのですが、退職日から後日発送で届くまでに1ヶ月ぐらいかかりました。これは会社によると思うのですが、長く働いていた会社ほど手続きに時間がかかるのかもしれません。すなわち、離職票が届くまでに約1ヶ月+申請してから受給資格が決定するまでの日数+待機期間3ヶ月+指定の受給日までの日数=なんだかんだで5ヶ月くらいという訳です。5ヶ月って結構な時間ですよね。私はオンタイムで調べながらやってたのでうわっそうなんだ…と思いましたが事前に知っていれば動き方がちょっと変わったかも知れません。ちなみに会社退職日から7日間の待機期間というものがあり、その期間は何もしてはいけないのですがそれを守れば受給開始日までアルバイトできるのでそうして食いつなぐのもアリかもしれません。私は前職での会社員生活でかなり疲弊してしまっており、期間はわからないけどとりあえず休みたいという気持ちも強かったので貯金を切り崩して生活してました。
②の住民税の支払いについてですが、これは結構有名な話で会社員だと毎月の給料からちょっとずつ天引きされる住民税が辞めるとドカっと請求がくるというやつです。私は12/31退社だったので、そういった税金系は会社からの給料で払いきって辞めたと勘違いしていたのですが、住民税は1〜12月ではなく6〜翌年5月というくくりなんですね。嘘でしょ皆知ってた?と思いました。
知っていれば当たり前のことなのですが、引っ越してから半年以上経ったある日突然名古屋市から4万円超の請求が来たので私は気が動転し何かの間違いではないかと思いました。切れ気味にどう言うことかと名古屋市の税務署に問い合わせ説明して頂き、今となってはクレイジーカスタマーになってしまったことに猛省しておりますが知らないって本当に怖いよね!
大変長くかかってしまいましたが、税金系のことを何にも知らずに開業準備期間中に鉄槌を受けたというお話でした。独立すると決めてから、着物の分野の本を読んだりなどはしましたがこう言うことって正直そんなに興味も無かったし自分の身に降りかかるまでは全く知ろうともしなかったので事前に知っておければショックが少なくて済んだかもしれません。でも今となっては免除制度があったり控除が受けられたりするものだと知ることができたし、毎月何となく給料から税金が引かれていた時より払っている実感がかなりあるので政治が生活に直結しているものだとより痛感することが出来ました。市民の血税がより国を良くする為に正しく使われることを願ってやみません。
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