【リアル脱出ゲーム・レビュー】封鎖された人狼村から脱出してきた!
リアル脱出ゲームのSCRAPさんが、このコロナ禍で制作した新作の謎解きコンテンツは、オンライン上での動画視聴、画像やテキスト閲覧がメインとなる内容で、一見すると「リアル」にこだわり続けたリアル脱出ゲームと相反するような形式です。
ですが、プレイしてみて感じたことは、
・時や場所を選ばず、自宅にいながら公演タイプのような熱狂を感じられる
・感染症対策が問われる今の世相を映す風刺の効いたストーリーが刺激的
といったプラスのものでした。今回の記事では、この素晴しい点がどう良かったのかもう少し掘り下げてみたいと思います。
オンライン×リアル脱出ゲーム「今の世相を映す刺激的なストーリー」
導入ストーリーをまとめると、次のようなものです。
昼は人の皮をかぶり、夜は恐ろしい狼となって人を襲うモンスター「人狼」
あなたの住む村は人狼の脅威にさらされ「封鎖」されてしまった。対策措置として課せられた「外出制限」や「監視の目」によって、村に不安や猜疑心が蔓延する。
そして、通信機能を持つ水晶(リモート通信)を利用した、村人同士による「人狼探し」が始まった。果たしてあなたは、嘘や裏切りを見破り、村を救うことができるだろうか。
そんな状況で「封鎖された人狼村からの脱出」は始まります。
「外出制限」や「監視の目」といった人々の不信と分断をあおるようなゲーム内の状況は、まさに「感染症対策」のあり方を問われる今の世相を強く反映しています。
出演者によるリアルタイムな演技やレスポンスはなく、動画視聴がメインになりますが、リモート会議形式で進んでいく村人同士の話し合いは、テレワークやTV番組で当たり前に見かけるようになった光景でした。
本来のリアル脱出ゲームは、実際の会場に赴き、その場の空気感や参加者の熱気を共有できるのが醍醐味ですよね。ですが、今、この時にこのゲームをプレイすることで感じる「臨場感」はおそろしく高かったです。
コロナ禍という危機的状況を逆手にとった、今だからこそ作れる「リアル」は、逆転の発想や危機的状況を限られた手段でどう回避するかといったことをエンターテイメントとして考え続けてきたリアル脱出ゲームの本領が発揮されたように思います。
ただし、エンターテイメントとして上手く昇華できているのは、しっかり作り込まれた映像演出や、タイミングの良い物語進行があったからで、制作の確かさを感じさせながらも、オンライン上の静的コンテンツだからできたことかとも感じました。映画を観ているような没入感だったと言えるでしょうか。
9人の村人・・・誰が人狼なのか?
危機的状況にある体験型(イベント型)謎解き
このオンラインリアル脱出ゲーム「封鎖された人狼村からの脱出」は、新型コロナウィルスによって緊急事態宣言が出され、「外出自粛」や「イベント自粛」が続く中で、リモート会議のみによって作られたそうです。
制作中の社会、そして今もどこかで渦巻いている人々の感情、「不安」「猜疑心」「分断」といったものがとても内容ににじみ出ていました。今、この時にプレイすることで自分の「あり方」も問われたように感じます。
イベント自粛によって、次々とリアル脱出ゲームをはじめとした「体験型の謎解き」は中止になったり延期されました。今後もどうなるか、しばらくは不透明な状況が続きそうです。いくつかの団体は存続の危機もあったことと思います。SCRAPさんは業界のトップスターではありますが、危機的状況であることはどこも変わらないと思います。
「人狼村」はリアル脱出ゲームにおいて繰り返し扱われてきたテーマですよね。人気作品とのコラボも難しい状況で、腹を据えて原点である「人狼」で新たな可能性にチャレンジした。そんな意気込みの伝わってくる内容でした。
プレイを通して何を感じるかは人それぞれあると思いますが、この「封鎖された人狼村からの脱出」は、間違いなく人の心を揺さぶる力があります。時が経った後も、時代の空気感を伝えるものとして、いつまでも残って欲しいなあと思えました。
「封鎖された人狼村からの脱出」はネット上でのチケット購入の他、便利な店舗販売版もありました(東京ミステリーサーカス他、SCRAP常設店で販売)
※この記事は、ブログ記事の感想部分に焦点をあて再構成したものです。参加のご検討には、難易度や所要時間など攻略データも付いたブログ記事もご覧頂けますと幸いです。
ブログ記事:【攻略、感想レポ】リアル脱出ゲームオンライン「封鎖された人狼村からの脱出」https://dnazo-game.com/3445/
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