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コーヒーでもイカが

ですかと声をかけて気軽に行ける喫茶店はもうほんと壊滅しましたよね。あふれるほどのチェーン店と、オシャレなカフェ(それはそれでいい)。

私は2010年くらいからコーヒーをドリップするようになり、元来のオタク気質が刺激されて、そこらじゅうのセミナーなどに通いました。のちに脱サラ(という名の病気由来の解雇)して、ごく一時期、かなりのゴリ押しでコーヒー業界に身を置かせてもらったことがあります。

雑誌でもサードウェーブなんて言葉が飛び交い、少しずつスペシャルティがもてはやされ始めた時期です。当時のSNSは今よりクローズな時代でしたが、昨今はコーヒー系YouTuberなんて方々もたくさんいらっしゃって、リアルに時代を感じます。

業界の先駆けとか企業コラボするような有名な方々にも散々目をかけてもらいましたが、結局メンタルの事情により、わずかほどの爪跡も残せぬまま私は去ってしまいました。不義理を働いた方には本当に申し訳なく思います。

失意が大きすぎて長いことコーヒーを淹れることはなかったのですが、最近ちょくちょく自分で淹れます。気持ちの精算ができるほど現在が充実しているわけではないですが、やっぱり好きだと思える気持ちは大事にしたいなと。

手持ちの10年選手のドリッパーやポット達は軽くフリマが開けるほどたくさんあって、我ながら苦笑いします。YouTubeを見ながらレシピを試してみたり、コーヒー豆の価格高騰に閉口してみたり。なんだかこれはこれで悪くありません。

手放してしまった宝物もたくさんあるけれど、身体に染みついたものを噛みしめるのは、今の私にとっては自虐というよりセラピーみたいな側面があります。離れていくものより、自分が手放したもののほうが多いんだなと痛感します。

前向きに〜と考え続けるのは息苦しいですが、過去の自分の足跡を辿るのは、何もネガティブなことばかりじゃないかもしれません。



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