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可能性に溢れる社会の実現へ。私たちがつなぐ次世代へのバトン【#女性活躍ってなんで必要なの?】Vol.2

「女性活躍」。この表現を使うべきかどうか。正直なところ、何度も悩んだというのが本音です。それでも多くの人たちに周知されている単語をあえて使うことで、広がりを生むことができるのでは。

そんな想いもあり「女性活躍推進総研」は立ち上がりました。

あらためまして、サーパス代表の石原亮子です。現在は、女性活躍推進総研の所長という肩書きも併せ、活動しています。

今回の特集の経緯はこちら

女性活躍という表現を使えば、おそらく連想するのは「男性vs女性」という対立構造……かもしれません。しかし私たちが伝えたいことは、もっと別のところにあります。一言でいえば「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現です。

なぜそれが大切なのか? なぜいま取り組むべきなのか?

理由の一つに、SDGsの達成やESG経営の重要性があるのは確かです。でも私はそれ以上に「20年後の次の世代にどんなバトンを手渡すのか?」をすごく考えています。

40代~50代。私たちの世代が未来に大きな「負」を残してしまうことはもう明らかな事実です。だからといって、傍観者や批判者であってはいけない。1ミリでいいから解決に向けて手を打ちたい。

そのための第一歩として「女性活躍」の推進は大きな意味がある。そんな風に私は考えているんです。

バックグラウンドの多様化は、人の選択肢を増やす

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▲創業記念祭での写真(写真中央が私、石原です)

「世代間ギャップ」「ジェンダーギャップ」。女性活躍を考えるとき、この2つが私の頭に浮かびます。行き過ぎた資本主義を生き抜いてきた世代と、地球環境問題をはじめ、SDGsやESGを体現する世代の差──。

かつての評価軸が男性的な「業績、スケールの大きさ」にあったとしたら、新しい世代は女性的な「半径10m以内の幸せ」に価値を置いているように思えます。

たとえば、子どもを守る、周りを幸せにしたい、世界制覇をしない代わりに身近な人たちを大切にする……という考え方です。男性コミュニティに偏った意思決定から、女性的な考え方も含めた「多様な視点による意思決定」へシフトが起きている。

個人的な見方ではありますが、世代間による価値観のちがいと、性差による価値観のちがいには、そんな因果関係があると感じています。

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以前は売上などの数字を追うだけでよかった経営も、道徳的に配慮した行いも併せて評価される時代になりました。特に大手企業であれば、SDGsやESG経営は、もはや当たり前の責任としてプレッシャーが与えられています。

会社として変わらなければいけないのに、なかなか変えることができない。組織の在り方に焦りを感じているが、何をすべきかわからない。そんな悩みを抱える経営者や管理職の方々にお会いしたのも、一度や二度ではありません。

一方、国内外問わず成長を続け、時にイノベーションを起こす企業は、女性だけでなくLGBTQ、障碍者や国籍も問わない組織形成をし、積極的に多様な視点を取り入れた意思決定をしています。

これはまさに企業として積極的に「ダイバーシティ&インクルージョン」に取り組む意義の一つと言えると思います。

視点の多様性が生まれ、意思決定層のバックグラウンドが変化することにより、より多く、そして今までありそうでなかった選択肢や解決策や改善案が生まれるのではと思うんです。

そして時代はまさに、この方向へと進んでいる。

そこで私たちは、これまでの男性中心のコミュニティに異文化を取り入れるのであれば、まずはもっとも身近な「女性」を役員=意思決定層として一定数迎え入れてみませんか? と推奨しています。

私が目覚めた、ニューヨークでの原体験

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なぜ私はこれほどまで「ダイバーシティ」にこだわるのか。振り返ってみると、20代で体験したニューヨークでの出来事が大きく影響しています。

当時の私は、20歳の時に起業を志して以来「ありそうでない、でもあったら使い続けたいサービス」を模索していました。具体的にはBtoB営業を中心に、ベンチャーから大手まで幅広く営業を経験し、海外にも50ヶ国以上足を運びました。

そのなかでもニューヨークは特別な街でした。3ヶ月に一度、金曜に有給を取り、木曜の夜のフライトで飛び、月曜の朝に帰ってくる生活を1年半で4回やったこともあります。

なぜそこまで夢中になっていたのか。きっと、アイデンティティを問わない街の空気感がそうさせたのだと思うんです。

なかなか起業に踏み込めない焦りや、任されていた仕事に対する責任など、たくさんのものごとを背負い込んでいた私。「こうでなければいけない」と思い込んでいた自分が、一瞬にして透明人間というか、何者でもない自分にさせられた感覚がニューヨークにはあったんです。

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あの頃の私では自覚できなかった「女性だからこうしなければいけない」という見えない呪縛から解き放たれた感覚があったのだと思います。

それはつまり、偏ったコミュニティによる狭い視野ではなく、多様で幅広い視野を持つことで得られる「世界が変わる」体験です。

仮に生まれたばかりの赤ちゃんの可能性を100とするなら、性差という視点を持ち込むだけで可能性を50にしてしまいます。これは男性であっても同じことでしょう。障がいにしても、国籍にしても、LGBTQにしても、考え方はどれも一緒です。

偏った価値観が下す意思決定は、可能性を狭めるかもしれない。であれば、一度その枠組み壊し、多様性のある組織へと変革する。

この活動こそが「女性活躍推進総研」が成す、本質的な成果なんです。

私たちがいま、これからできること

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▲写真左から取締役COO下川、代表取締役CEO石原、取締役CMO青木、取締役CFO藤本

誤解してほしくないことが一つあります。それは、私たちが日本で安心安全に、便利な暮らしができているのは、戦後の日本経済を復興させた先人たちの努力があってこそであり、私たちの提案はそれを否定するものではないということです。

ましてや、日本の長い歴史のなかで美徳とされた価値観、立ち居振る舞い、姿勢を否定するものでもありません。これまでの日本人の強みが、たまたま時代の流れで弱みになってしまっているだけ。長い時間軸の、変化の一片として女性活躍を捉えているのが「女性活躍推進総研」なんです。

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「女性活躍」と叫べば、vs 男性の対立構造がまだまだ目立つのが現実です。しかし本来は性別ありきではなく、パーパス(目的)を共有して、同じ方向に顔を向けることが大切です。

「私たちが担うのは、共通のパーパス(目的)を描くこと」

行き過ぎた資本主義のなかで、偏った価値観で意思決定され続けた結果が、いまの地球環境や社会に反映されています。

私たちの世代は、どんなバトンを、次世代にどう手渡すべきか?

私たちの会社はまだ小さく、影響力は弱いかもしれない。それでも世の中に一石を投じるキッカケになれば幸いですし、傍観者ではなく1ミリでも解決へ向かうことで貢献ができればと思っています。

真の意味での「ダイバーシティ&インクルージョン」が実行され、可能性に溢れた社会の実現と、女性活躍という言葉がなくなる日を目指して。


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特集「#女性活躍ってなんで必要なの?」では、20年後の未来を考え、経営的な視点、社会的な視点、ファクトにもとづく数字の視点から、女性活躍について考えるキッカケをお届けします。

この大切なテーマについて、もっともっと多くの方と交流ができればと考えています。ぜひ、note や Twitterで「#女性活躍ってなんで必要なの?」のハッシュタグで投稿してください。

下記Twitterアカウントのほか、noteのマガジン機能でリアクションをしたいと考えています。
https://twitter.com/woman_workstyle

特集はまだまだ続きます。次回もお楽しみに。

本文:石原亮子

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