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お金を介さずコトコト交換。「cocan」小南優作さん

すべての頑張る人を紹介するマガジン「灯台もと照らし。」

本日は、お金を介さずに「自分ができるちょっとしたコト」と「今してもらえたらちょっぴり嬉しいこと」を交換できるプロジェクト「cocan」を運営する小南さん。

物々交換ならぬ、コトコト交換に目を向けた小南さんに、サービスへの想いや、今後の展望についてお伺いしました。


cocanとは?

cocanとは、お金を介さずに「今、自分にできる“ちょっとした”コト」と「してもらえたら“ちょっぴり”嬉しいコト」を交換しあえるWebサービス。

「進路相談にのるから恋の悩みを聞いて下さい」
「秘伝のレシピを教えるから、私のことをTwitterで宣伝して下さい!」

など、本当にちょっとしたできるコトを、お金を介さずにやり取りできます。

ちなみにサービス名の「cocan」は、「交換」と「co(共に)can(できるコト)」というところから。

物々交換ならぬ、コトコト交換が実現されたサービスです。


cocanをはじめたきっかけ

コロナの影響で、時間が余っている、仕事が減っている、お金は使いにくい・・・

そんな状況の中で、その余った時間をなんとか活かすことができないだろうか?

そう考えたときに、「自分ができる“ちょっとした”コト」を「交換」という形で活かせたら、お金は生まずとも「未来への繋がり」とか「ちょっとした困りごとが解決される」といったことが叶うのではないかというのが始まりだったそうです。

ただここで気になったのが、コロナの影響で仕事が無くなると、収入やお金に注目する人が多いのではという点。

しかし、そこであえて「お金」ではなく、「時間」という部分に目をつけた小南さん。

その理由は、こう答えて下さいました。

「皆が仕事が欲しい、お金が欲しいという状況だと、「お金」をテーマにしたクラウドファンディングなどに興味を持つ人は確かに増えます。ただ、少ないパイを取り合うみたいになってしまって、難易度はぐんっと上がってしまう。それなら、僕は余っているものに目を向けようと思いました。」

そこで余ってしまっているものとして目をつけたのが、「時間」だった、ということです。

また、時間が余ることで、人々が起こすであろう消費行動にも注目した小南さん。

「時間が余りだした初期は、「Youtubeを見る・・」「ZOOMで飲み会でも・・」と、消費的な行動を楽しめると思うんです。ただ、少ししたらそれに飽きてきくる。そして、もっと生産的なことに使いたくなると思ったんです。」


現状の反応

4月20日にテスト版のサイトを公開してから1週間で約170名の方が参加。

1ヵ月間で200を超える「できるコト」が出品され、確認できるだけでも120組以上の交換が成立しているcocan。

小南さん自身も、「参加してくれてる方の顔ぶれ、反応を見て、場としては価値がありそうだと感じている」とのこと。

ただ、「色んな価値の可能性があるからこそ、何かひとつ軸になるものは決める必要はある」と感じているそうです。

「交換」というのはあくまでも行為で、そこから生まれる価値は本当に人それぞれ。

小南さんは、cocanを立ち上げる前に取材マッチングサービス「LOOK ME」というサービスを運営されていましたが、

例えばその「取材」という行為でも、

取材を通じて考えを整理する
新しい関係性を気付く
考えを広める

など、ひとつの行為に様々な価値の定義が生まれます。


同様に、cocanも、

自分の腕試し
空いた時間を有益に使う
出会いのツールとして

など、色々な価値を含んでいる。

どれが正解不正解という話ではありません。

「だからこそ、ぎちぎちに定義はしたくないんです」と言う小南さん。

余白があるからこそ、利用者によって、新しい価値の定義が生まれる。

ただ、長く続けていくためには、メインの軸は決めなければならない。

その中で、「余白と定義のバランス」を考えていきたいと言う小南さん。

「例えば、cocanを広場だと仮定したら、「ここでサッカーだけしかできませんよ」というよりは、「ボール置いとくんで好きにして下さい」っていうやり方がしたいんです。でもそこでなんでもありにしちゃうと、花火あげる人が出てきて、「それは違いますよ」「いやいやでも聞いてません」みたいなことにもなりかねない。そうならないためにも、軸となる文化やマナーを創りつつ、あんまり否定しないようにしたいです。」


皆で作り上げられる場作り

サービスを作る上で、小南さんが大切にしているのは「場作り」。

利用者同士の横の繋がりを増やすために、LINEのオープンチャットや、noteのサークル機能を使って、利用者と小南さん、そして利用者同士がサービスに対して思ったことを自由にやり取りできる場所も作られています。


「特にcocanは運営のメンバーが僕しかいないんです。でも僕個人のサービスですって感じにしちゃうと、聞ける声が聞けなくなる。僕の理想は、僕が違うアクションを取ったときに、ちょっと小南違うんじゃない?っていう声があがることなんです。利用者同士が声を挙げやすいコミュニティを作って、何が価値なのかを聞ける環境に自分も身を置かないといけないなと思いました。」


あとは、「単純に、皆でわちゃわちゃ集まって出来上がっていくことが嬉しいのも大きいです。」とも答えて下さった小南さん。

最近では、「cocan飲みしました!」や、「cocan仲間の○○さん」という、横の繋がりの広がりを実感できる感想なども増えてきているそうです。


小南さんが思うお金を介さないことのメリット

以前Twitterで、「お金を介さないことのメリットはなんだと思いますか?」と問いかけられていた小南さん。

小南さん自身が考える「お金を介さないからこそのメリット」もお伺いしました。

最初に挙げて下さったのは、お金に換算するよりも早い場合があるという点。

「相場が決まっていることをする場合は、お金を介した方が早いと思うんです。例えば、「取材をします」なら、ある程度相場が決まっているので値付けはしやすい。ただ、「あなたの話を聞きます!」とかになると、値付けって難しくなりますよね。そういう場合はお金を介さない方が早く流通すると思います」


もうひとつは、お金以外の報酬をダイレクトに得られるという点。

感謝してもらう。
フォロワーが増える。
自分の経験が詰める。

こういったお金以外の報酬の価値は、現代ますます注目され始めています。

それもあって、お金を介して手間をかけるよりも、もっとほしい報酬をダイレクトにもらった方が早いし嬉しいんじゃないかと小南さんは考えました。

「例えば、「冷蔵庫の中身を見せてもらったら、レシピ考えます」というcocanを出品した場合。お金を介そうと思うと、値段付け自体も難しいし、出品者としても、お金の報酬をもらうより、「レシピ研究家としての名前を出していきたいから私のことツイートしてよ」みたいな方が嬉しいと思うんです。」

ただ、あくまでも、「お金を介することを否定しているわけではない」という小南さん。

「cocanを使った結果、お金に繋げてもらうことは全然構わないんです。むしろ大歓迎。ただ、最初からお金を求めてしまうが故に、そこに到達できない人が多いと思ったので、その一歩目にもなればいいなと思いました」


良いcocanとは

色んなcocanが出品される中で、注目される出品はどういったポイントがあるかをお伺いすると、「視点を相手に置いた工夫かされているかどうか」と答えて下さいました。

「どんな物事もやっぱり相手がいる話。相手に喜んでもらえないと、お金を生む仕事でも、生まない仕事でも難しいと思うんです。視点を相手に置いて、自分のできることにどんな一工夫を加えたら相手が喜んでくれるかを考えることが、相手に喜んでもらえるポイントだと思います」

cocanの大きな特徴は、やはり一方通行ではなく、偶発的であるということ。

だからこそ、相手との関係性を考える必要性はより強くなるのだと思います。

「cocanがcocanじゃなくて、今だからこそ皆でできることを持ち合おう!といった感じで、GIVEしたい人だけを集めたサイトだとしたら成り立たなかったと思うんです。せっかくの善意が心無い人によって、うまく利用されるだけされたり、本当に必要な人に届かない、といったことが起こりえる。そうではなくてcocanはあくまで、それぞれのできるコトを持ちよることで成立している場所なので、世界観的にも気持ちいいなと思っています。」


あとは、「目的なく面白そうだなと思って、楽しい時間を過ごしてもらいたいです」と言う小南さん。

なんとなくサイトを見て、こんなことが追加されてるんだ~、こんなことができる人がいるんだ~という過程を楽しんで欲しいのだそう。

実は、cocanにカテゴリーがついていないのも、そういう背景から。

「同じ分野で、この人の方がスキルがありそうだな、とか、この人の方が影響力ありそうだなとかで比較検討するのは、cocanぽくないなと思ったんです。それよりは、何この人!とか、これ面白いなっていうのを純粋に楽しんでもらいたいです」


大勢が集まる場を作りたい

以前は、取材したい人と、取材されたい人を繋ぐ、LOOK MEというサービスを運営されていた小南さん。

そんな小南さんはどういう想いでサービスを作られているのかをお伺いすると、「とにかく大勢が集まる場を作りたい」とのことでした。

「僕、世の中をどう変えたいとか、このことに課題感を感じているみたいなビジョンっていうのは無いんですよね。」

LOOK MEのテーマが取材であるため、「メディアとかで働いている方ですか?」という質問をよく受けたという小南さん。

でもLOOK MEを始めたのは、取材に対して強い思い入れがあったからでは無かったそうです。

「僕自身、小さい頃に取材で人生が大きく変わったとか、メディアで働いてて取材に疑問を感じてるとかそんなわけではなくって。ただ、取材っていうテーマ自体が人を惹きつけて、多くの人に興味を持ってもらったり、動いてもらえそうだなと思ったからでした。特定のテーマの課題を解決したいというより、多くの人や、色んな人が動く場所を作りたいと思っています。


これから

今後についてお伺いすると、「やっぱりcocanに参加する人を増やしたい」と答えて下さった小南さん。

「今反応したり参加して下さってる人は、まだまだ氷山の一角。最初のステップが早い人がたまたま参加して下さっただけだと思ってるんです。そこをもっと増やして、10000人っていう数を見るのが今の目標です。」

ただ、やはり、大きな人数を動かしたい場合は、冒頭で記述したように、ひとつの明確な軸の定義も必要不可欠。

「cocanという旗のもとに集まったコミュニティで動きを観察しつつ、余白とのバランスが取れる軸を決めていきたいなと思っています」


「できるコト」の出品募集中

そんなcocanは、現在正規版の開発に向けて準備中。

それに先駆けて、現在新たな「できるコト」の出品者を募集中。

ちょっとしたことで大丈夫。コトコト交換の世界を楽しんでみてください!

出品の応募はこちらから!


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