【子ども達の3.11】 Vol.04 木川田あかり(宮城県栗原市) 「大人になった私が地元・栗原の子ども達を応援」
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【子ども達の3.11】 Vol.04 木川田あかり(宮城県栗原市) 「大人になった私が地元・栗原の子ども達を応援」

Support Our Kids プロジェクト| 3.11 被災児童自立支援
東北復興のために 地元である宮城県栗原市に戻り、"地域おこし協力隊" (総務省企画)として活動している木川田あかりさん。地元愛が芽生えたきっかけと、地域の子ども達への想いを語ってくれました。

① 栗原で 『恋チュンプロジェクト』

2013年高校1年生の秋、たまたまyoutubeを観ていたら、「恋するフォーチュンクッキー神奈川県ver.」を見つけました。これは、当時流行っていたアイドルグループAKB48の曲「恋するフォーチュンクッキー」に合わせて、大勢の人たちが完全にAKBをコピーした振り付けを踊り、映像を繋いでいくものです。 お堅い印象のある公務員や駅員さん、医療現場の方々等、沢山の人が参加していて、一つの曲に合わせて笑顔で楽しそうに踊っている様子に衝撃を覚えました。

「これ、栗原でやってみたら面白いんじゃない!?」

と、中学時代の同級生仲良し6人組のLINEグループにリンクを貼ったことが全ての始まりです。 とても軽い気持ちでした。高校もバラバラな、ただの仲良し女子高生6人組が行うには、あまりにも規模が大きすぎる企画であるということには、誰一人気付いていませんでした。

栗原は宮城の中でこれといった目立ったものがなく、地味な田舎町です。そんな栗原で、市長をはじめ、栗原にいる沢山の人たちを巻き込んで『恋するフォーチュンクッキー栗原ver.』を作るという企画書を、見よう見まねで自分たちで作成したのは、完全にノリと勢いでした。

その企画書を片手に、とりあえず母校の中学校の恩師のところへいきました。すると先生は、栗原のまちづくりを行っているNPO法人の方と繋いでくれました。そして、企画が円滑に実行できるよう、数回に分けてワークショップを開いて背中を押してくださいました。

私たちは勉強や部活と両立しながら、放課後や休日を使って踊ってくれる団体を募集し、沢山の大人に企画趣旨を説明し、振り付け教え、撮影し...と目まぐるしい高校生活がはじまりました。

それから10か月後の高校2年生の2014年7月、『恋するフォーチュンクッキー栗原市Ver.』は完成し、YouTubeにアップすることができました。

『恋するフォーチュンクッキー栗原市Ver.』


私はそれまで、正直なところ地元である栗原に特別な思い入れは特にありませんでした。栗原はなんにもない田舎町。嫌いでは無いけれど、特段魅力を感じている訳でもなく、栗原はたまたま生まれ育った街であり、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。

ですが、この企画を通して、ただの地元の高校生がポッと言い出したやりたいことを、「面白そうだね」「いいじゃん」「あの人も力になってくれると思うから紹介するよ」「動画編集協力させてください」と、沢山の大人達が力になってくれた、その人と人との繋がりの強さに感動しました。

お陰でとんでもなく忙しい高校生活になりましたし、どんどん後戻りできなくなる状況にプレッシャーも凄く感じました。メンバー同士で何回もぶつかりもしました。学校もバラバラ、部活の忙しさや、企画を進める上でモチベーションも一人ひとり差があり、何かとすれ違っては口論になりました。私はリーダー役でしたが、皆で決めたことなのに、時に私だけがやってるという孤独な気持ちにもなりました。しかし、最終的にこのプロジェクトを形にできたことで、高校生でも街の活性化に貢献することができるんだ!と確かな自信になりました。

6年経った今振り返ってみても、私にとってとても愛おしい時間です。完成した時は、安堵感と達成感で号泣したことを覚えています。学校と家との往復の生活では絶対に得ることが出来なかった経験と出会いがあり、とびきりの成功体験になりました。大人が準備した課題ではなく、チームでゼロから作り上げて成し遂げた宝物のような作品です。また、地域の皆さんの協力ありきの動画なので、栗原市民で1つになれた一体感を感じることができました。


② カナダで被災経験を伝えること

2014年8月、動画が完成して余韻に浸る間もなく、Support Our Kidsでカナダへ行く準備をしたことを覚えています。 人生初めての海外で、不安と期待と楽しみでいっぱいでした。

一方で、カナダへ行く前も、行ってからも、「被災経験を伝える」というミッションは私に適任では無かったのではないかと感じながら過ごしていました。

栗原市は最大震度7を観測しましたが、人的被害は無く、原発の被害も他の地域と比べたら軽い状況でした。被災地ではあるけれど大きな被災者ではない私が、世界中の方々からの善意で海外へ行って良かったのだろうかと思い悩むこともありました。 しかし、振り返ってみると、カナダで過ごした2週間での出会いと気づきがあったからこそ、今の私があると強く感じています。

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カナダで一緒に過ごした岩手、宮城、福島の仲間たちは、当時中学3年生〜高校2年生だったので、 被災した時は小学5年生〜中学1年生。私たちの年代は、震災を通して「自分達は地元の為に何かできないか」ということを子どもながらに考え続けてきた世代だったのではないかと思います。

そうなると、何か大人顔負けの立派なことをしなければいけないのでは無いかと思いがちですが、私たちチームも、カナダ現地の皆さんとも一つになれた瞬間は、皆でスケジュールの合間を縫って練習し発表した「ソーラン節」でした。 私は小学生の頃から「よさこい」を続けており、カナダで皆でやることになったのです。

自分達ができる範囲で誰かに喜んで貰えること、上手く被災経験を語れなくても、英語が上手く話せなくても、国境を越えて繋がることが出来るということを肌で感じた瞬間でした。

自然は時に人を悩ますけれども、私たちは自然の恵みを沢山受けて自然と共に生きているのだということをソーラン節を通して伝えることが出来たのではないかと思っています。


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写真:手前一番左が木川田さん


私たちは、それぞれ21歳、22歳、23歳になりました。【子ども達の3.11】シリーズVol.3の勇成も、一緒にカナダへ行った仲間の一人です。一番下の弟のようにめんこかった勇成が、当時から夢だと語っていたレスキュー隊を目指して今も奮闘しているということを知り、目頭が熱くなりました。今も、当時の仲間とは時々連絡を取り合い、数年に一回は再会しています。会う度に、皆に負けじと私も頑張ろう!とパワーチャージされます。離れていても、何年も連絡を取り合わなかったとしても、私にとって皆大切なファミリーです。


③ 大好きな栗原、夢の実現

そのような高校時代の経験から、私は「大人になっても栗原に貢献しつづける人になりたい!」と強く思うようになりました。そして、4年間東京で大学生活を過ごし、現在は栗原に戻り、新卒で栗原市の『地域おこし協力隊』として移住定住を推進する課に所属し働いています。  

少子高齢化や若者世代の人口流出がどこも課題となっている中で、外から人を呼ぶことが大切なのは言うまでもありません。しかし私は、今地元で暮らしている子ども達が栗原を知るきっかけ作りと、今度は私が栗原の「大人」として子ども達を応援したいという気持ちが強くあります。

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栗原は、宝探しのような町だと思います。パッと見た感じでは、どこにでもある田舎です。ですが、10万羽シベリアから野鳥が飛来し毎年冬を過ごしたくなるほどの美味い米、綺麗な水、だからこそできる美味しい日本酒。そして美味しい肉、川魚、野菜にキノコ。四季の移り変わりがハッキリしていてどこを切り取っても美しい風景、人情深い人々。

一度栗原を離れたからこそ、当たり前だと思っていた日常の全てが豊かなものだったのだと実感することができました。子ども達が進路選択をする中で、「栗原って何もないから」となんとなく仙台や東京に出ていってしまうのはとても勿体ないと思います。

これは栗原に限った話ではありませんが、私たちが暮らしている地域は、気づくきっかけが無いだけで、他には無い地域性や魅力が沢山あります。そして、自分達の思い付きのアイディアや、好きなこと、趣味や特技が思いがけず誰かのためになったりもするのです。「地元のために!」と気を張らなくても、子ども達がいつでも地域に近い存在でいられて、やりたいことを何でも挑戦できる、そんな生き生きとした栗原になったら素敵だなと思います。

当時、地元の為に何かできないのかと考えながら生きてきた私たちは、成人して立派な大人になりました。一人ひとりが「東北の復興」をテーマに生きようとするのは、ややスケールが大きすぎるかもしれません。ですが、自分達が、自分達の街に出来る範囲で貢献してみたいと思う若者を地域全体で育てていくことも「東北の復興」に繋がっていくと私は信じています。

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写真:木川田さんがサポートしている高校生プロジェクトの学生たち


【地域おこし協力隊】
地域おこし協力隊」は2009年度から総務省がスタートさせた制度で、1〜3年以下という決まった期間、都市部の人材が「地域おこし協力隊員」として地方に移住し、地方自治体の委託を受け地域の問題解決や発展のための活動を行います。任期終了後もその地域に定住する人もおり、地域活性化への貢献が期待されています。
名産品を活かした商品開発、旅行の企画運営、住民の交流の場づくり…募集する人材や従事する仕事内容、報酬は地方自治体によって様々。

 #SOK221

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