BTCの原理原則を7つにまとめてみた。【仕様変更プロセスやBIPについて】
BTCの仕様変更プロセスやBIPについては誤解が多いです。そこでBTCの原理原則を7つにまとめてみました。
まずは3点をご確認ください。表記の2008年は2009年と同義と考えてください。
1.
分散(非中央集権)とオンチェーン(自動化)が明確なのはブロックチェーンの基板部分だけ。
*BTCのシステムが明確なのはブロックチェーンの基板部分だけ*
2.
BTCの仕様変更方法や手順はブロックチェーンの範囲外。誰がどのような手順で仕様変更をするのか?明確なシステムは無くアナログ的な試行錯誤が続いている。
*BTCの仕様変更方法や手順を決めるシステムは存在しない(ブロックチェーンの範囲外)*
3.
確実な投票システムは存在しない。(「マイナーが投票する」は見かけ上のシステムで実際にガバナンスとしては稼働していない。51%攻撃の問題も解決していない)
*BTCに確実なガバナンスは存在しない*
上記3点はBTCが生まれた2008年も、現在の2023年も不変の原理原則です。Satoshiさんも「2.」と「3.」に問題点があることを認めつつ、それを解決せずに2010年12月12日に姿を消しました。(0.3.19)
「BTCのシステムが明確なのはブロックチェーンの基板部分だけ」
「BTCの仕様変更方法や手順を決めるシステムは存在しない。(ブロックチェーン外部にアナログ的に存在するだけ)」
「BTCに確実なガバナンスは存在しない」
まずは3つの原理原則です。
次にBTCの原理原則となる追加4点をご確認ください。
4.
BTCの「仕様変更を誰が決めるのか、どのようなプロセスがあるのか」は常に不明でブラックボックス。仕様変更する人間の正体は常に不明で、仕様案を決めるプロセスも常にブラックボックス。(2010年まではSatoshiさんとBellさん。2023年はBIPやCore関係者。しかしそれを裏付けする証拠は一切無い。後述)
*仕様変更のプロセスはブロックチェーンの範囲外*
5.
仕様変更を提案して賛成か反対か決を採るシステムは無い。(BIPの投票システムも信頼性は無い。後述)
*BIPの投票システムもブロックチェーンの範囲外*
6.
仕様変更を認めるか否かマイナーが公平公正に投票するシステムは無い。(「マイナーが投票する」は見かけ上のシステムで実際にガバナンスとしては稼働していない。仕様変更の賛否とマイナーの行動に明確な因果関係は無い。51%攻撃の解決方法が無いので確実なガバナンスとして成立していない)
7.
仕様変更プロセスはブラックボックスだが、仕様変更の「結果」は明確で誰でも検証できる。
(プロセスは「ブロックチェーンの範囲外」なのでブラックボックス。仕様変更の結果は「ブロックチェーン」なので誰でも検証可能。原則「監査不要」で透明度は高い。ただし絶対とは言い切れず後日に欠陥が見つかることもある)
以上「1.」から「7.」はBTCの原理原則です。2008年も2023年も不変です。「アップデート案を公平に話し合って多数決で承認する」システムは無いです。BIPやCoreは「後付けで強引にそれっぽく見せているだけ」です。BTCに確実なガバナンスは存在しません。
【BIPの誤解】
「4.」「5.」の補足です。
BIPやCoreに関しては多くの人が誤解しています。『仕様変更案を「公平公正に話し合って」「平等に多数決で」決定している』と。
その裏付けは全くありません。メンバーは誰で、どのような話し合いがされて、本当に多数決がされているのか?何の裏付けもありません。
公正に議論されている可能性もあれば、1人の人間が自作自演している可能性もあります。
BIPそのものがブラックボックスなのです。ブロックチェーンも関係ありません。
BIPがどのような過程で権限を得たかもブラックボックスです。
原理原則「4.」で書いた通り、「BTCの仕様変更を誰が決めるのか、どのようなプロセスがあるのか」は常に不明でブラックボックスです。2008年も2023年も不変です。
*仮にBIPが公正公平だとしましょう。しかし「ブロックチェーンの範囲外」である事実は変わりません。メンバーの発言も投票もプロセスもオンチェーンになっていません。BTCとは完全に切り離されたアナログなシステムです。
そもそもBTCはSatoshiさんが趣味で始めました。仕様変更を手伝うプログラマーも「無給のボランティア」です。無給のボランティアだから責任を負う必要は無いです。情報公開する義務もありません。2008年も2023年も同じです。BIPやCoreも「無給のボランティア」という立ち位置です。趣味の一環だから責任を負う必要はありません。内部情報を公開する義務も無いです。
2008年のBTCはほぼ無価値でコミュニティも数名でした。2023年のBTCは数百万の値が付き、何億人もの人間に影響を与えます。それでも「運営者はボランティア」「責任は負わない」「趣味だから情報公開もしない」という立ち位置は変わらないのです。
【まとめ】
・BTCに「アップデート案を公平に話し合って多数決で承認する」システムは無い。
・BTCに確実なガバナンスは存在しない。
既述した「7つの原理原則」を理解すれば事実を正確に把握できると思います。
さて。BTCに仕様変更のシステムも確実なガバナンスも存在しません。よって、
・BIPが自由にやりたい放題できる。
・BIPとマイナーが結託して自由にやりたい放題できる。
状況は常にあります。それに対して、
1.価格意識とコミュニティ帰属意識があるのでBIPやマイナーの好き放題にはできない.
2.もう既にBIPやマイナーが好き放題やっている。
この2つで意見は割れると思われます。
「1.」は「なぜ51%攻撃をしないのか?(なぜ多数ノードで攻撃しないのか?)」と同じで、「BTCを攻撃しても自分が損するだけで得することが無い」からです。BIPも「大好きなBTCを守りたい」なおかつ「暴落は避けたい」です。よって「好き放題できる状況ではあるがメリットが無いのでしない」となります。
「2.」ですが。
BTCの送金が遅い、スケーラビリティが改善しない、DeFiやNFTに対応しない…。これら不満の原因は突き詰めれば「全部BIPのせい」です。BIPが保守的過ぎて一向に改善が進まない。ビットコインは時代に取り残されつつあります。BIPがスピード感を持って仕様変更しないからです。「BIPが技術仕様を独占している」=「BIPが好き放題やっている」とも言えるでしょう。
しかし、そもそも大前提なのですが「BIPがやりたい放題にやった」としても、別にいいんです。BTC運営はボランティアです。何の責任も負いません。我々がとやかく言う筋合いは無いのです。対抗手段もありません。これも2008年も2023年も変わらない原理原則です。BTC運営は外部に対して一切の責任を負いません。部外者が対抗する手段もありません。
~まとめ~
「BTCのシステムが明確なのはブロックチェーンの基板部分だけ」
「BTCの仕様変更方法や手順を決めるシステムは存在しない(ブロックチェーンの範囲外」」
「BTCに確実なガバナンスは存在しない」
BTCの原理原則は2008年も2023年も同じです。BIPやCoreは「後付けで強引にそれっぽく見せているだけ」です。51%攻撃の問題も解決していない(多数ノードは解決していない)ので確実なガバナンスもありません。
裏を返せば「全てが自由で一切のルールは無い」と言えます。性善説で正しく運営されれば民主的なシステムになります。実際BTCの黎明期はそうでした。参加者は極少数ですが皆で積極的に意見を出し合い、純粋なボランティアで仕様変更のプログラムを作りました。マイナーも技術を理解する人々が多数でした。自由と反中央集権をブロックチェーンで具現化する、BTCの理想がありました。
その後徐々に参加者が増え、価格も上がり、何億人もの人々が関わるようになりました。BIPやCoreなど「ブロックチェーンとは無関係な存在」が強大な権力を握り、マイナーは利益を第一とする企業集団になりました。仕様変更もマイナーも中央集権化が進んでいます。当初の理想からかけ離れてしまいました。
再度言いますがBTCの原理原則は2008年も2023年も同じです。「全てが自由で一切のルールが無い環境」は08年も23年も存在しているのです。BTCをどう使うかは我々次第です。黎明期の理想に戻すこともできるし、中央集権化を進めることもできる。
皆様にお聞きしたいです。
あなたはビットコインをどうしたいですか?
以前書いたこちらのツイートをまとめました。