コーヒーの「情報」って。その2
こんにちは。
前回に引き続き、、のお話です。
コーヒーを飲む前から、それぞれのコーヒー豆の情報がたくさん入ってくる時代。
産地情報、生産者情報の他に、味覚評価。
これが結構邪魔な情報になっていることが多いと思います。
いろんなフルーツに例えるやつです。笑
ナッツやチョコレートなど、同じように焙煎しているようなものを例えるのはまぁ、一般消費者にもわかりやすいし頑張れば感じ取れるかもしれませんが、「ベリー」やら「アプリコット」やら「柑橘」やらと言われると、、
うーん。。
となってしまうお客様がほとんどのようです。
コーヒーは、飲みなれていない人にとっては、常に「苦い飲み物」でしかありません。
「酸味」を見つけることすらできません。
少し飲みなれてくると、「酸味が嫌い」とか「苦すぎるのが嫌い」とかの好みが出てきます。
よく「酸化した古いコーヒーの酸味」と「コーヒー本来の酸味」は違うと言う人もいますが、酸味が嫌いな人はそもそも酸味が嫌いなんですよね。
そして、そもそも「コーヒー豆が酸化すると酸味が出てくる」は本当なんでしょうか?
抽出されたコーヒー液が、時間が経って酸味を感じやすくなるのはわかります。
私は、猫舌なので冷めたコーヒーが大好きです。
正確には冷めても味の変わらないコーヒーが大好きです。
冷めて酸味が強くなるコーヒーは、最初から酸味があります。
人間の舌が、熱いコーヒーの酸味を感じにくいだけですので、昔から「コーヒーは熱いうちに飲め」がいまだに信じられている世代もあります。
流石に抽出液を一晩置くと、すっぱ不味いですが。笑
今も、今年の1月に焙煎したコーヒー豆をテストで飲んでいますが、全然嫌な酸味はありません。
もちろん、酸化臭はあります。藁みたいな香りが混じってきます。
これは、生豆で数年寝かせたオールドクロップにも同じ匂いが出てきます。
オールドクロップの場合、水分が枯れてきていますので、特にフレーバーや酸味に特徴がなくなってきます。
話が逸れましたが、要するに私たちのようにかなりコーヒーを飲みなれた人間以外は「良い酸味」と「悪い酸味」の区別は、なかなかつかないということです。
そして、珈琲日記ではコーヒーの味やフレーバーをフルーツに例えることを禁止していました。
「5歳の子供から高齢者まで、理解し、納得できる言葉で伝える」ということが、珈琲日記の心得の一つでもあります。
普通には食べたことのないであろうフルーツが、コーヒーのフレーバーの表現にはたくさん出てきます。しかもフルーツには好き嫌いが多くみられます。
フルーツをめちゃくちゃ勉強した私にとっては特に、「いちご」といっても、「どのいちご?」となってしまいます。
ベリー系?・・・はぁ?ってなってしまいます。
言わんとしていることがわからないではありませんが、伝えようとして伝わりにくくしているような気がしてなりません。
この情報が、一般的には「こういうコーヒーが今は美味しいものなんだ」と思わせてしまい、「自分の口に合わない」ことを言いずらくしてしまうこともあります。ある意味洗脳でもあります。
珈琲日記に初めてお越しになったお客様でも「酸っぱくないコーヒーください!」と言う注文が多いです。
「最近、浅煎りの酸味が強いコーヒーが流行ってるよね?」って言われると、「コーヒー業界では、流行っています。」とお答えしています。
さらには、この業界に新たに参加しようとする人が、その味が取れない(業界では味をしっかりと感じて評価できることを、"味を取る"と言います。)というか、、なかなか感じられないと、「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と勘違いをして、夢を諦めてしまうことさえあります。
コーヒーは、ワインなどと違ってフルーツではなく、ただの「フルーツの種」なのでそのあたりがワインの真似をしようとすればするほど火傷をするところだと思っています。
こういった前情報が、コーヒーに興味を持たせることも多い反面、気持ち悪がって離れてしまう人も多いということを、私たち業界の人間はもっと理解すべきだと感じています。
大丈夫です。こんなフレーバーが感じられなくても、ご自身が「美味しい」と感じるか「美味しくない」と感じるかだけで充分ですよ。
ということで、あまり必要のないコーヒーの前情報の話でしたが、前回の農園のお話で補足がございます。
国によって農園主はお金持ちというお話をしましたが、その農園の労働者(ピッカーなど)までいきわたっているかという話です。
実は、以前から(私が産地に行き始めた2006年前後くらいからしかわかりませんが)、農園内に学校を作って労働者の子供たちの教育にお金を使って力を入れている農園主もたくさんいます。
逆に、そうでない農園主もたくさんいます。
それこそ、2006年にマツモトコーヒーの松本さんと買い付けたグァテマラ・ウエウエテナンゴの「ラ・ボルサ農園」では、当時から農園内に学校がありました。
子供たちはの笑顔が絶えず、あの光景は今でも忘れられません。
ピッキングをしている親の元へ遊びに行って、親元でちょっとだけ収穫をお手伝いして、幸せそうに笑っている子供もいました。
それを、なんちゃら保護団体が「不当労働だ」と訴えて、大手コーヒーチェーンが視察にくるときだけ、子供たちを学校内だけに籠らせていたという状況でした。
このような情報を少しだけ知っていただき、ご自身が今飲んでいるコーヒーがどのような環境で作られているのかだけ、想像しながら美味しく楽しんでいただけたら幸いです。
本日も長文をお読みいただきありがとうございます。
では、また。
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