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【小説】チューリップを食べて大富豪(1435文字)

 自分は何故かお金を持っていなかった。なぜか突然と全財産が消えていたのだ。いったい自分のお金はどこに行ってしまったのだろうか?
 誰かに盗まれたのだろうか? とにかく考えると不安しかなかった。そして食べられる物が無かった。お金がないから何も買えないのだ。

「ぐぅぅ~…」
 自分はひたすら音を立ててお腹を空かせている。すると自分の近くを馬車に乗ったお金持ちが横切った。そして自分の近くでその馬車は止まる。
 お金持ちか馬車の中から降りてきた。

「おやおや、君が貧乏人かい? 全くかわいそうに。持つものと持たざるものの人生はこうも違うのか。ハッハッハッ!」

 自分はなんとなく直感で分かった。自分のお金はこいつに取られたのかもしれないと。確証はないけどそんな気がするってだけだ。

「おやおや、さっきからどこかからお腹の虫が鳴いているなー? どこから聞こえてくるんだろう? あ! 君のお腹じゃないかー!」
「ぐぅぅ~」
「全くご飯はちゃんと食べなきゃダメだよ! しょうがないからお金持ちの僕が君にご飯を恵んでやるよ!」
 すると、お金持ちがポケットからチューリップを取り出した。

「知ってるか? チューリップは食えるんだぜ!!!ギャハハハ!」
 煽られている。だが自分はお腹が空きすぎているせいかチューリップがとても美味しそうに見える。

「そんなにチューリップが欲しいのかい? 欲しけりゃくれてやるよ! ただしちゃんと食べるんだぞ!」
「あー!ガツガツ!」

 自分はチューリップをもらった瞬間にガツガツとチューリップを食べていた。

 こいつ本当にチューリップ 食ってやがる…。頭のおかしいやつだな! やっぱり貧乏人とお金持ちは全然違うってことがよくわかる。とても同じ人間には見えないよ。

「ガツガツ! あっ!」
 自分はチューリップを食べた瞬間脳裏に何かが見えた。それはほとばしる宇宙の衝撃だった。自分の目指すべき未来が見えたのだった。

「おい、お前どこに行く!」
「あー!」
「変なやつだな」

 早速自分はチューリップを食べる旅に出ていた。毎日3食チューリップだけを食べている。そして1ヶ月の月日が経った。

「なんだあいつは…。相変わらず チューリップを食べている気持ち悪いやつだ」
「美味しい!美味しい!」
 本当にチューリップが美味しくて食べているだけなのだ。そして自分はチューリップを育てることにした。品種改良をして多くのみんなにも食べられるチャーリップを作ることにした。
 そして品種改良に成功する。自分の経営しているチューリップ屋さんは大繁盛した。そして自分も富裕層の仲間入りを果たしたのだった。
 一方で、あの時馬車から降りてチューリップをくれたお金持ちは多々あって没落貴族となっていた。財産もなくなっていた。そしてまた再会する。

「いや、心の友よ! 僕たちは親友だろう!」
「うーん、そうですか?」
「少しでいいんだけどお金を貸してくれないか?」
「はいどうぞ!」
 自分はチューリップをあげることにした。

「美味しいよ! 食べて欲しいな!」
「ええい!ふざけんな! チューリップじゃないんだよ! お金なんだよ! 金をくれと言っているんだれ さっさと金を渡せと言ったら渡すんだ!」
「はぁ…。そうですか」
「じゃあ お金あげるよ」
「本当か!」
 自分はポケットからお金を取り出す。

「ただし、お金を食え。そしたらまた金持ちになれるかもね」
「ぐぬぬ…。覚えてろ! この貧乏人!」
 こうして没落貴族はお金を食べずにどこかへと消えていった。

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