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ティンベル王国に忍び寄る悪魔の手先 第4話<クロードの焦り>

目次
第1話 悪魔の手先
第2話 第三勢力の陰謀
第3話 イアンの動機

俺は争いが嫌いなんだ。
大魔王が作り出した悪魔。
名はクロード。

悪魔のような魔力も力もない。
容姿は人間そっくりだ。
そんな自身に嫌悪感を抱いたこともある。

魔王は、俺のことを出来そこないと思っているんじゃないか。
魔力も力もない俺のことを、消そうとしているんじゃないのか。
怯える日々が続いた。

役に立たなければ。
功績を残さなければ。
己の存在意義を求めるように模索する。

「クロード、何そんなに焦ってるの?」
「シンシアか…。」
「お前には俺の悩みなんか分からんだろうな。」
「なんだよ唐突に。」

「俺はお前のように魔力がない。」
「この世界をこんなに住みよい土地にしたのはお前だからな。」
「さぞかし魔王様のお気に入りなんだろう。」

「なんだよそれ。嫉妬か?」
「そんなんじゃない。何も取り柄のない俺が、この世界にいてもいいのかってことだ。」
「なんだそんな事か。お前、考えすぎだぞ。」

「見てみろ。大空を飛ぶコンドル。」
「自由でいいよな。」
「上空から世界を見渡すと、さぞかし気持ちがいいんじゃないかな。」

「何が言いたい?」
「生きるのに、特技も取り柄もいらないってことよ。」
「コンドルのように、ただ自由に飛び回ってるだけ。そんな生き方好きだけどな。」

「シドー様は俺のことどう思ってる?」
「そうだな…。お前のこと、昔聞いたことがあるぞ。」
「なんだよ。もったいぶらずに話せよ。」

「あれは、わたしたち魔族が人間との戦いで敗れたときのこと…。」

「わたしたち魔族は、シドー様の命が途絶えると全員消えてしまう。」
「これは知ってるよな?」
「ああ…。」
「だが、実際はそうではなかった。」

「それは、魔王様が本当は死んでなくって、生き延びてたからだろう?」
「そうだ。わたしたち魔族は人間を喰らって生きている。これは紛れもない事実だ。」
「人間が動物を喰らうように。」

「魔王様は人間を喰らい生命を繋いできたのだ。」
「わたしたち魔族はそうするしか生きる術がなかった。」
「人間を襲い、人間を喰らい。」
「生き延びるための狩りをしていたに過ぎなかった。」

「だが、今は違う。どうしてだと思う?」


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