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なぜサイヤ人の尻尾は生えなくなったのか?【ドラゴンボール考察】

※本稿はGT等後発作品やアニメ版、その他設定資料や談話は考慮せず、原作漫画版の描写のみを正とします。

サイヤ人は尻尾がある種族である。

悟空は幼少期から尻尾があり、尻尾があることが物語上のアイコンでもあったし、悟飯も生まれたときから尻尾がある。同様にベジータにも尻尾があった。
しかし物語が進むと彼ら3人の尻尾は消失してしまう。

劇中、ベジータは尻尾について以下のように発言していた。

出典:ドラゴンボール完全版17巻

「かまわん そのうちはえてくる」と断定的な表現を使っており、尻尾が再生することにある程度確信を持っていたと考えられるだろう。実際に幼少期の悟空や悟飯は失った尻尾が再生されている。

しかし、彼らの尻尾はいずれもナメック星以降は生えてこなくなってしまった。これはどういうことだろうか?

まず悟空については少し例外で、神様が永久的に生えてこないようにしている

出典:ドラゴンボール完全版12巻

しかし、ベジータと悟飯にはそのような処置は行われていないはずで、ではなぜ尻尾が生えてこなかったのだろうか?
二人の尻尾の状態に特に共通点は無い。一応、二人とも鋭利な刃物で切断されているが、それは初期の悟空も同じである。

尻尾が再生するかどうかに個人差があったり、再生回数が決まっている可能性も捨てきれないが、それであればやはりベジータの「かまわん そのうちはえてくる」のセリフに違和感がある。生えるかどうかわからないのならこのような確信めいた表現はしないはずだ。
やはり本来は生えてくるはずだったが何らかの理由で生えてこなかった、と考えるのが妥当であろう。

彼らの尻尾の状況に共通点が無いとすると、尻尾が生えなかった要因は尻尾以外の部分なのだろう。

一つ確実に二人の共通点として言えるのは、ベジータも悟飯も尻尾を失った後、サイヤ人の常識を超えるほどに強くなったということである。

ナメック星以前のサイヤ人最強はベジータだったが、戦闘力はわずか18000前後である。大猿で10倍になってもたったの18万にしかならない。ナメック星後半の彼らは素の状態で大猿以上の力を持っていると言っていいだろう。

また、彼らがナメック星で力を増した大きな理由は「死の淵から何度も蘇ったこと」だが、それだけで数万→数十万(数百万)になるのはあまりにも上昇幅が大きすぎる。
彼らは復活による基礎値の上昇に加え、気のコントロールの洗練(上達)による掛け算で大幅に強くなっていると見るべきだろう。

ベジータやナッパの描写を見る限り、サイヤ人は元々気のコントロールができない種族だったが、彼らはそれができるのである。

それらの描写からの仮説として、

  • サイヤ人は元々気のコントロールはできないが、大猿になることで潜在能力を引き出していた

  • しかしベジータと悟飯は気のコントロールの洗練によって大猿の姿を取らずに潜在能力を発揮できるようになった

  • その結果として尻尾が生えなくなった

と考えると筋が通ってはいないだろうか。

要は、ピッコロ大魔王を倒した時の悟空のような、大猿パンチを常時できるようになっていたということである。

出典:ドラゴンボール完全版11巻

それらを裏付ける要素として、フリーザ戦でのベジータに尻尾が無いことを悔やむ描写が一切無かったことが挙げられる。

デンデによる回復後のベジータは推定100万以上のピッコロを上回るほど強くなっており、更に10倍ともなればフリーザ相手でもかなりの勝負はできたはずだ。

出典:ドラゴンボール完全版21巻

もしここから大猿になれるなら限界はまだまだ先であり、「くっ、大猿になりさえすればきさまなど!」などの言葉が出てきてもおかしくはない。

しかしそれが全く無かったということは、ベジータにはもう大猿の潜在能力も含めて全ての力を使っている感覚が実感としてあり、だからこそ限界を感じて絶望したのではないだろうか。

この時点のベジータは卓越した気のコントロールを会得していたが故、もう尻尾を必要としていなかったのである。

また、そうするとトランクスと悟天に尻尾が無かったのも同じ理由だろう。

出典:ドラゴンボール完全版31巻

この時のトランクスと悟天の戦闘力は、超サイヤ人状態を考慮しなかったとしても数十万はあるはずで(トランクスは150倍の重力の中でもゆっくりだが歩けていた)、彼らもやはり本来の大猿レベルを超えた戦闘力に達しており、尻尾が消失したのだと考えられる。

出典:ドラゴンボール完全版23巻

なお、トランクスは赤子の時点で尻尾は生えていないが、これは住んでいる場所が都会であるため、誤って大猿化しないように尻尾を処理していたと考えると辻褄は合うだろう。

まとめ

  • 大猿化は気のコントロールができないサイヤ人が本来の潜在能力を引き出すための手段だった。

  • 尻尾が生えてこなかったのは、気のコントロールが洗練され、大猿の力を大猿にならずに引き出せていたから。

余談

  • 悟飯の例では尻尾をピッコロに引っこ抜かれた後、ベジータ戦の最中に再生するまで1年弱の期間を要している。少年期の悟空の例でも、プーアルに切断されてから天下一武道会で再生するまでに8ヶ月を要しており、切断された尻尾が生えるまでは1年弱の期間が必要なのだろう。

  • 同じく悟飯と少年期悟空の描写から、尻尾は再生する際、徐々に生えてくるのではなく、ある時に一瞬で生えるようだ。ピッコロの再生のように実はビチョビチョに濡れて出てくるのかもしれない。

  • ドラゴンボール超の設定資料では、尻尾はあるサイヤ人と無いサイヤ人がおり、無いサイヤ人のほうが戦闘力が高いと説明されている。また、超での第6宇宙のサイヤ人は代重ねによって尻尾が生えなくなっている。

  • ドラゴンボールGTではベジータベビーが金色の大猿になったり、超サイヤ人4への変身に尻尾が必要だったりと、改めて尻尾と大猿の存在がフィーチャーされている。

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