見出し画像

30歳、国際協力業界に再挑戦します!

Yurie’s Profile
国際NGOプラン・インターナショナルにて、プログラム・オフィサーを務める(2021.10〜)。ロンドン大学大学院社会学部人権学科修了。JICAにて南部アフリカのインフラ開発・援助政策策定を担当。教育系ベンチャーHLABでプログラム・パートナーシップ担当ディレクターを経て、現職。

2021年8月31日、約2年半フルタイムで働いていたHLABを退職しました。
10月から、国際NGO Plan Internationalで働きます。
Plan Internationalは、「子どもの権利が守られ女の子が差別されない公正な社会を実現する」という目標を掲げて、世界70ヶ国で活動を展開している、1937年設立の歴史ある国際NGOです。

※HLABって何?という方はインタビューいただいた記事をご参考ください。
※※HLABに転職した経緯はこちらの記事に詳しく書いています。

わたしの転職を聞いた多くの方は、新卒で入ったJICAを退職したのに、なぜ、また国際協力の世界で働こうと思ったのか、と思うでしょう。
それは、ジェンダーに関係なく子ども・若者が自分のやりたいことに従って、生き方を選べる世界をつくりたい。そして、途上国の人々に寄り添える立場で、再度、挑戦したい、と思ったからです。

①SHIMOKITA COLLEGEで出会ったカレッジ生からの刺激
②自分が幸せに働くための「軸」探し
③カレッジ生が旅立つ中で感じた、タイミング

HLABで働いて起こった気持ちの変化。以上の3つのセクションで、率直な自分の想いを文字に残しておこうと思います。

昼夜問わず挑戦し続ける一回り下の若者たちと出会って改めて気づいた、自分のパッション

2019年4月の入社時から一貫してSHIMOKITA COLLEGEの契約交渉・締結を進め、その後実施する教育プログラムの企画を必死に準備してきました。
ついに、2020年12月1日に無事オープンし、カレッジ生40名に入学いただき、4月には約80名になりました。

大変なことが山ほどありましたが、個性豊かな SHIMOKITA COLLEGEの創立メンバーの一員として立ち上げることができ、HLABで働き続けてきて良かったと思った最高の瞬間でした。

カレッジ入学式

▲12月の入学式。ここまで色んなことを乗り越えてきた...(遠い目)

暮らしと学びの場として息吹を吹き込まれたカレッジでは、昼夜問わず机に向かうカレッジ生が多くみられ、カレッジ内外でも学びの場を創り、様々な挑戦をしていました。そのエネルギーたるや、通勤している私にとり異世界のような空間だと感じるほどです。

画像3

コロナ禍で急遽ハイブリッド形式で実施した企業との連携プログラム。

カレッジ生に寄り添う「チューター」を担当し、個別チェックインにて夢や関心を聞けたのは、とてつもない刺激になりました。
そして、彼ら/彼女らの姿は、否が応でも自分の学生時代を呼び起こします。
20歳の私は、人権や国際協力をキャリアにするんだ!と燃えていた、と。

カレッジ生から、「ゆりえさんは、これまで何をしてきて、今後何をやりたいんですか?」と問うてもらうことが、たくさんありました。

JICAで働く中で出会った、「経済的に貧しいけれど、自分の未来をよくしたいと必死に願う途上国の若者」に関心がある。従来の教育制度/カリキュラムにおいては、就職支援の不足や、仕事で求められるスキル構築とのギャップがあり、それが若者の失業率の一因になっている。世界的にみても若者の人口が増加しているにも関わらず、これまで若者対象の支援が手薄だったこともあり、国連でも若者の支援に注力する流れがある。私はその動きに関心があるんだよね。

そんなことをカレッジ生に聞いてもらいながら、HLABでの仕事にやりがいを感じる一方で、自分が今後エネルギーを注ぎたい対象はより恵まれない環境にいる子どもたちなのではないか、と思いはじめました。

画像3

▲JICA勤務時の担当国、南部アフリカの最貧国「マラウイ」で。

また、カレッジ生が、心の内を打ち明けてくれる機会がたくさんありました。人の心に寄り添いながら学びの場を創ることに心からやりがいを感じました。その中で、人権や多様性、ジェンダー平等を大切にしたいという自分の価値観がはっきりとしてきました。国際協力業界に戻り、若者・ジェンダー支援の分野で、人の心に寄り添い、伴走し、自立するところまで人をエンパワーしたいと気づけたのはこの経験のおかげです。

画像4

▲カレッジ生主導で"ウェルネス・ボックス”の設置実験※をはじめました。

コミュニケーション・同意WSポスター

▲互いの違いを学びに変えて暮らしやすくするためのセッション※も。

カレッジ生と向き合う中で、実は自分と向き合っていて、学ばせてもらったのは、自分の方でした。これぞ、ピア・メンターシップの力。出会えたカレッジ生には、心から感謝しています
SHIMOKITA COLLEGEのプログラム「ダイバーシティ&インクルージョン編」に詳細をまとめています。

幸せに働くための3つの軸

自分のパッションが残っているのであれば、今からでも、愚直にそれが出来る場所を探すべきではないか。30歳を目前としてそんなふうに思いました。20代は興味の赴くまま、必要とされている場所にフットワーク軽く動いてきましたが、30代は身を置く業界とセクターを確立して取り組みたい、という気持ちもでてきました。

国際協力のお仕事を探す中で、新卒の時は意識していなかったキャリアの積み上げ方を考えるようになりました。

前職のJICAは日本の組織らしく「メンバーシップ制」雇用であり、生涯勤める前提で、その組織のメンバーとして様々な部署を2〜3年ごとに経験します。一方で、国際機関や国際NGOなどといった欧米型の人事制度をとる組織では、専門性をもったプロフェッショナルがしのぎを削る「ジョブ型」雇用が基本です。終身雇用ではなく、期限付きが一般的で、専門とする分野や業績がないと採用されません。例えてみれば、スポーツ選手のように契約を更新していったり、チームを移籍する実力社会です。

どちらがあっているのかは、人によって違うと思います。ただ、私にとっては、自分の人生の手綱を握れている感覚が持てるため、数年ごとに経験を棚卸しして、やりたいポジションに主体的に挑戦して選び続ける人生のほうがあっているかもしれないと思いました。これまでの経験上、数年ごとの転職活動に抵抗感はありません。

これまで5年間働いてきた経験を振り返って、「どんなことをしていたら、自分は幸せなのか?」「転職してきたけれど、積み上げたものはなにか?」自分と、とことん向き合いました。

徳島でのサマースクール立ち上げが、最高の青春だったこと。
マラウイでキャリア教育のワークショップを企画し、子どもたちが喜んでくれたこと。
JICAにて「2050年の世界」のリサーチ結果を提案しワクワクしたこと。
WeWorkが日本に上陸した年にジョインし、利用者と近い距離でコミュニティを創り上げることが、とても楽しかったこと。

今までやってきたことをベースに振り返って、以下の3つが軸として浮かび上がってきました。

①プロジェクトの新規立案・実施。0から1を創るイノベーティブな取組み。
②様々なセクターとのパートナーシップを結んで、プログラムを共創。
③コミュニティベースで、人に寄り添い成長をエンパワーする活動。

非常にジェネラルではありますが、意外にも自分がやってきたことに共通する軸を見出すことができ、ほっとしました。これら3つが揃っていないと苦しくなってしまったことも思い出し、なぜ転職したか、今後どのような組織・業務で働きたいのか、改めて理解しました。また転職する上でも、過去の自分に見られる共通した価値観やスキルをすっきりと説明できることは役立ちました!

この軸を中心にこれまでやってきたし、今後も積み上げていこう。
そんなふうに過去を肯定することができ、未来に希望が見えてきました。

世界に旅立つカレッジ生と共に、わたしも旅立とう。

入学から早9ヶ月、迎える旅立ちの季節。カレッジ生の約4割程度が海外大に通う学生で、それぞれのキャンパスに戻っていきます。「みんなが旅立ち新たな世界で頑張るんだから、私も次のステージに飛び込もう」と背中を押してもらいました。8月1日の卒業式では有り難いことに壇上でお話する機会もいただき、30名のカレッジ生と一緒に卒業しました。

カレッジ卒業式集合写真

卒業式スピーチ

▲色んな感情がこみあげてきた卒業式の壇上。うるうるしてしまった。

スピーチで退職を宣言したものの、縁のある英国に戻るか、東京で関連する仕事に就くか、途上国で働く機会を狙うかしばらく悩んでいました。

コロナ禍で、途上国で働けるポジションはなかなか出ませんでしたし、挑戦したけれど叶わなかったものもあります。国際協力のキャリアでは現場経験を積んでいることは必須だと面接で告げられ、模索が続きました。

そんなタイミングでご縁をつくってくださったのが、Plan Internationalさんでした。私が大学院にて研究していたFGM(女子性器切除)に対しても取り組みを進めている、子どもの権利・ジェンダー平等推進をビジョンに掲げ、コミュニティベースでのプログラムを数多く手掛けている点に、強く共感しました。ゆくゆく途上国に行く機会もありそうで、自分の軸にもぴったりだし、今後国際協力分野で働く上で、今の私に必要な経験を積ませてもらえると思いました。

プログラム部には私よりもずっと豊富な経験のある方々ばかりが大多数いらっしゃる中で、私に興味をもってくださりお声がけいただいたのは、タイミングとしても奇跡的なものがありました。ありがたや...

スクリーンショット 2021-09-12 17.25.33

▲こんな電車の車内広告、見たことはありませんか!?

キャリアへの考えかたは「人生をどう歩みたいか」である

今からまた業界を変えて挑戦ってどうなの?キャリアに紆余曲折がありすぎ!と感じる方もいるかもしれません。
私がこれから戻ろうと思っている国際協力業界は、組織や活動地域も転々とする前提の世界ですし、私の生き様は日本の多くの方からしたら特殊かもしれません。けれど、こんな心持ちで、せっかく頂いた貴重な機会なので、精一杯頑張ろうと思っています!

主体的な進路選択を若者に楽しんでもらいたかったら、まず自分が常に人生の岐路にいて、選び続けられることを楽しもう。
人生は旅のようなものであり、回り道もまた味わい深い。

Plan Internationalの皆様、今回のキャリア相談に乗ってくれたたくさんの方々、そしてこれまでも、これからも応援してくださる方々、どうぞ、よろしくお願いいたします。

・・・

HLABではパートナーシップ企画営業と、教育プログラム担当者の2名を絶賛募集中です!興味のある方はこちらのリンクをぜひご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?