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【本要約】 アマゾンのすごいルール -佐藤将之-

今回紹介する本はこちら ↓

アマゾンは、世界最大のEコマース企業として知られていますが、その成功の裏には独自の企業文化と経営哲学があります。

今、未来のために種を植えなかったら、この花はいつか枯れてしまうよ。だから今日もイノベーティブな種を植えよう。未来に花を咲かせるためにね。たとえ、それが今は誤解されるようなことであっても。

ジェフ・ベゾス

と象徴されるように、アマゾンは長期的な視点を持ち、顧客中心主義を貫いています。

今回はこのアマゾンの成功を支える独自の考え方や実践方法を詳しく解説し、ビジネスパーソンや起業家に役立つ情報を提供できればと思います。

1. アマゾンの基本理念

アマゾンの考え方は実にシンプルです。

「Customer Rule!」という大原則に基づき、「お客様のために何ができるか?」を常に考え、シンプルに事業を推進しています。

しかし、その時間軸、スピード感、スケール感は一般的な企業とは大きく異なります。

この考え方で突き進んできたから、今のアマゾンがあるのです。

そして、アマゾンの戦略は、「顧客満足度の向上」を頂点とし、「戦略(ビジネスモデル)」、「戦略を実行する仕組み」があり、「仕組みを運用する人財」がいて、「リーダーシップ理念」が土台となって成り立っています。

この図から見て取れるように、アマゾンは全ての土台の上に「顧客満足度の向上」があります。

アマゾンは地球上で最もお客様を大切にする企業であるのです。

アマゾンでものを買ったり、アマゾンのサービスを利用することで、「得した」という感情だけではなく、「ハッピーだ」「楽しい」と思える体験ができる ーーそういう環境を作り続けていくことを大切にしています。

また、アマゾンは新規事業や新規プロジェクトの検討をしているときに必ずきかれる言葉があると言います。

「お役様はそれによって喜んでくれるの?」
「それはお客様にとって本当に価値があるの?」

この言葉からも、アマゾンが地球上で最もお客様を大切にしている企業であることを見て取れるでしょう。

2. アマゾンのビジネスモデル(バーチャス・サイクル)

ある日、ジェフ・ベゾスがレストランで「アマゾンのビジネスモデルを教えてくれないか?」と聞かれ、ナプキンにこのようなビジネスモデルを書いたと言います。

Virtuous Cycle

それでは、一つ一つのこの用語について見ていきましょう。

① Selection -商品の豊富さ-
アマゾンは、カタログをいかに多く揃えられるかを大切にしています。

それを欲しいと思うお客様が1人でもいるなら、それはカタログに入っているべきだと考えています。

また、その商品はすぐに購入可能かどうかの点においても細心の注意を払っています。

どんなに欲しい商品でも、その商品の在庫がなかったり、購入するのに1時間もかかったりすれば、お客様は買う気を無くしてしまいます。

② Customer Experience -顧客体験-
アマゾンでのショッピングを、素晴らしいものだと体験したお客様の心から湧き上がるものはなんでしょうか?

アマゾンはお客様に最高の体験を提供することで、「この感動を誰かに伝えたい」という欲求を生み出しているのです。

③ Traffic -来店者数-
先ほどの「最高の体験による口コミ」は連鎖しながら次々に拡散していき、強大な集客エネルギーとなります。

顧客に最高の体験を届けることで、アマゾンにはどんどん人が集まってくるのです。

④  Sellers-販売者-
あなたが店舗のオーナーだとしたら、どこにお店を構えたいですか?

「多くの来店が期待される場所に自分たちの店舗を出したい」と思うのはごく自然なのではないでしょうか。

そうです。巨大な集客力を誇るアマゾンには、「より多くの来店者数を誇るサイトで自分の商品を販売したい、店舗を持ちたい」と思う多くの販売者が集まるのです。

その結果、サイト上にはますます多くの商品が陳列され、さらにセレクションが強化されていきます。

すると、お客様は自分の欲しいものがさらに探しやすくなり、顧客体験の向上につながっていくのです。

⑤ Low Cost Structure -低コスト構造-
成長し、企業規模や流通量が多くなるとスケールメリットが出るため、低コスト体制が作れます。

そしてその魅力的なコスト体制が、より多くの「seller」を集め、より多くの「selection」に繋がっていくのです。

⑥ Low Prices -低価格-
低コストなコスト体制を構築することで、低価格での販売を可能にし、顧客の満足度を飛躍的に向上させるのです。

つまり、アマゾンのビジネスモデルは、「商品の品揃え(selection)」を豊富にし、今まで手に入らなかったものを圧倒的に買いやすくすることで「顧客の満足度(customer experience)」を高め、最高の体験による口コミで「来客数(traffic)」を伸ばし、人が集まることでより多くの「販売者(seller)」を呼び寄せ、さらなる商品の品揃え向上を図っているのです。

そしてこの拡大が価格競争やスケールメリットを生み出し「低価格を実現する仕組み(low cost structure)」が整い、「低価格(low prices)」での販売を可能にして顧客の満足度向上につながっているのです。

(再掲)

3. アマゾンのリーダーシップ原則(OLP)

アマゾンには14ヶ条からなる「リーダーシップ理念」が存在しています。
今回は各項目について簡単に紹介します。

14ヶ条(前半)

1. Customer Obsession(顧客へのこだわり)
リーダーはお客様を起点に考えて行動します。お客様から信頼を勝ち取り、維持していくために全力を尽くすので、競合に注意を払いはしますが、何よりお客様を中心に考えることにこだわります。

2. Ownership(オーナーシップ)
リーダーは長期的な視野で考え、短期的な結果のために長期的な価値を犠牲にはしません。
リーダーは自分のチームだけでなく、会社全体のために行動するので、「それは私の仕事ではありません」とは決して口にはしません。

3. Invent and Simplify(創造と簡単化)
リーダーはチームにイノベーション(革新)とインベンション(創造)を求め、常にシンプルな方法を模索します。

4. Are Right, A Lot(多くの場合正しい)
リーダーは多くの場合正しい判断を行います。強い判断力を持ち、経験に裏打ちされた直感を備えています。
リーダーは多様な考え方を追求し、自らの考えを反証することも厭いません。

5. Learn and Be Curious(学び、興味を持つ)
リーダーは常に学び、自分自身を向上させ続けます。

6. Hire and Develop the Best(ベストな人材の採用と育成)
リーダーは全ての採用や昇進において、パフォーマンスの基準を引き上げます。優れた才能を持つ人材を見極め、組織全体のために進んで人材を活用します。そして、リーダーはリーダーを育成し、コーチングに真剣に取り組むのです。

7. Insist on the Highest Standards(常に高い目標を掲げる)
リーダーは常に高い水準を追求します。リーダーは不良を下流に流さず、問題を確実に解決し、再び同じ問題が起きないように改善策を講じるのです。

14ヶ条(後半)

8. Think Big(広い視野で考える)
狭い視野で考えてしまうと、大きな結果を得ることができません。リーダーは大胆な方針と方向性を作り、示すことによって成果を導きます。リーダーはお客様に貢献するために従来と異なる新たな視点を持ち、あらゆる可能性を模索するのです。

9. Bias for Action(とにかく行動)
ビジネスではスピードが重要です。多くの意思決定や行動はやり直すことga
できるため、大掛かりな分析や検討を必要としません。

10. Frugality(質素倹約)
リーダーはより少ないリソースでより多くのことを実現することを目指します。倹約の精神は創意工夫、自立、発明を育む源になります。

11. Earn Trust(人々から信頼を得る)
リーダーは注意深く耳を傾け、率直に話、人に対して敬意を持って接します。

12. Dive Deep(より深く考える)
リーダーが関心を持つに値しない業務はありません。

13. Have Backbone; Disagree and Commit(意見を持ち、議論を交わし、決定したら全力で取り組む)
リーダーは賛成できない場合には、敬意を持って異議を唱えなければならなりません。たとえそうすることが面倒で労力を要することであっても例外ではありません。
リーダーは信念を持ち、容易には諦めません。安易に妥協して馴れ合うことはしません。
しかし、いざ決定がなされたら、全面的にコミットして取り組みます

14. Deliver Results(結果を出す)
リーダーはビジネスの重要なインプットにフォーカスし、適正な品質で迅速にそれを実行します。たとえ困難なことがあっても、立ち向かい、決して妥協しません。

4. アマゾンのユニークな働き方

パワーポイントの使用はNGで、説明資料は箇条書きせず、必ず文章で書くというのが基本ルールです。

ビジネスドキュメントなら1ページ、年次予算やプロジェクトについては6ページでまとめる必要があります。

これは、あとになって読み返したときに、箇条書きの行間を読むことで人によって解釈が異なってしまうことを防いでいます。

アマゾンの会議は基本的にドキュメントに対しての質疑応答になります。

「まずは1ページ目で質問ある人はいますか?」
「3行目の文章だけど、これってどういう意味?」
「5行目に関しては、どういうふうに考えていますか?」

というふうに、最終ページまでこれを続け、質問がなくなった時点で会議は終了です。

会議では前提理解の違いから、議論がなかなか前に進まない・・・なんてことよくありますよね。

アマゾンの会議では、会議の最初に全員が資料に目を通すことで、全員の前提知識を揃えることができます。

だからこそ無駄のない有意義な時間を生み出すことができているのでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。

アマゾンの事例は、ビジネスにおいて顧客満足を最優先し、長期的な視点で戦略を立て、高い基準を維持することの重要性を教えてくれたのではないでしょうか。

ビジネスパーソンはもちろん、起業家や学生にとっても大変参考になる内容が詰まっている一冊なので、アマゾンの革新的なアプローチから学び、自身のキャリアや事業に活かしたい方には、ぜひ一読をおすすめします。





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