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音楽にまつわる話③ コロナ禍での歌

退職の前年から、授業で全く子どもたちと歌うことができなくなってしまった。こんなことになるとは、だれが想像できただろう。
50代後半は、しばらく全く音楽を教えずに事務的なことばかりで
多忙だった。そのため、最後の学校ではスタート時の音楽教師に戻って、
子どもたちと歌って退職するつもりだった。

コロナの影響で、一番制約を受けたのが歌だった。
3年生に歌を紹介すると思わず歌おうとするので、注意したこともあった。
 歌いたくなることは、ごくごく自然なことなのに。

そんな2021年の3月、退職する日は、Zoomで子どもたちと
お別れをすることになった。仕方がないが、やはり一抹のさみしさを
感じていた時に偶然、FM放送から合唱が聞こえてきた。

それは、東京混声合唱団の『信じる』
NHK全国合唱コンクールの課題曲にもなった曲である。

この記事を読んでくださる方の中には、歌った方も
いらっしゃるかもしれませんね。

ストーレートな歌詞と明るく希望に満ちた音楽。
以前は感じなかった、当たり前のことができる幸せ。

いろんな感情が込み上げてきて、運転途中にぽろぽろと泣いてしまった。
やっぱり歌がいちばん好きだ。教員生活で年も取り、高い声が
出なくなってしまったが、退職したらまた歌いたい。
その気持ちは歌えなかった期間が長かっただけに
心の奥底から突き上げてくるような、熱いものだった。

退職した2021年の8月に、大学で声楽を教えてくださった先生からある女声合唱団へのお誘いがあり、練習に行くことになった。趣味だからと軽い気持ちで出かけたら、70代、80代の方が多いがコンクール入賞を目指している熱心な団体だった。
またいつもと同じように、深く考えずに行動してしまった。
でも、そのことが、現在私が取り組んでいるドイツ歌曲の個人レッスンへと
つながっている。

現在の音楽とのかかわりは、次の記事でお知らせします。



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