ふわりっち

くまもと在住 定年退職した元小学校教員です。海外旅行が大好きで、今までに30回ほど出か…

ふわりっち

くまもと在住 定年退職した元小学校教員です。海外旅行が大好きで、今までに30回ほど出かけました。特に好きなところはハワイとスペインです。趣味はクラシック音楽鑑賞と英会話。旅先で感じたことやファンタジー小説を中心に投稿します。

マガジン

  • ファンタジー

    空想のおもむくまま,自由に書いています。近くの公園のベンチに座ると何故だかアイデアが浮かびます。

  • あれこれ思うこと

    日々思うことをつれづれなるまま書いています。

  • こことは違う場所へ

    旅の思い出を綴っています。海外旅行の記事が多いですが,旅先で出会ったものや人についても書いています。

  • your paradise hotel

    noteに初めて投稿したお話です。疲れた心と身体を癒すために、こんなホテルが現実にあったらと思って書きました。

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僕にはむかし翼があった

 翔太はある病気がもとで、今は足がふらつき、どうしても前屈みで歩いてしまう。むかしは、スポーツも万能で、颯爽としていたのに……  どうしても伸びない背中を鏡にうつし、今朝も溜め息をついてしまった。  そんな翔太に対し、友人も周りの人達も優しく気遣ってくれる。 だけど僕が僕を許せないんだ。情けなくなってしまったことに。  自分でも本で調べたり、体操をしたり、工夫はしているんだ。 筋力アップもしているし、視線が大切だと聞けば、試しているし…… でも、どうしても変わらない。

    • 小高い丘の自販機 #3ぬいぐるみのボビー

      6歳のみゆきには友達がいた。それはぬいぐるみの子犬ボビー。どこに行くにでも一緒で抱っこしたり、持ち運びのできる手提げ部分を持ってお散歩したりした。 みーちゃんのお母さんはとっても厳しく、弁が立つ。それに比べ、みゆきは口が重いものだから、説明したり気持ちを伝えたりするのが苦手だった。 だから、みーちゃんはお母さんに強く叱られた日には、ボビーをぎゅっと抱きしめ、悲しさを紛らわせていた。ボビーは何も言ってくれないが、愛くるしい目で、じーっと見つめてくれる。ぎゅっとボビーを抱きしめ

      • 小高い丘の自販機 #2ばあちゃんの煮しめ

        建築資材を扱う会社の部長である亮介は、今日も仕事を終え、緑の多い公園の脇を急いで通り抜けた。いつも見慣れた風景に、考え事をしながら歩いていると、突然自販機を見つけた。 『でもおかしいなあ。朝、会社に行くときには確かなかったはずだ』 『昼間に設置されたのかなあ。それじゃあ、缶ジュースでも買おう』 と近づいたら書いてあるのは「思い出の品、買えます」という表示。 「えっ!これってもしかすると、一人一人のオーダーに応えるということなのか。もし、そんなことができるのだったら、ばあちゃん

        • メトロポリタンオペラ「運命の力」ライブビューイングを見て

          ヴェルディのオペラ「運命の力」 このオペラは序曲だけでも有名だ。次々と押し寄せるようなドラマチックなメロディーとリズム。聴いているだけで、胸がざわざわ波立ってくるようだ。 メトロポリタンのオペラでは、この序曲の部分で物語の始まりを象徴するシーンが次々と展開された。演奏に呼応するように、ものを言わない演者たちの表情や振る舞いに魅了されてしまう。始まったばかりと言うのに、心を奪われ、あっという間にその世界に引き込まれた。 単独で演奏されることも多い序曲 以前だったら私は『運命

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          小高い丘の自販機 #1 健太のグローブ

          それは夜だけ出現する自動販売機。注文できるものー【それはあなたの思い出の品】今はキャンペーンで一律1000円と表示されているが、かなりいかがわしい。 美沙子は2 、3日前に突然現れた自動販売機に強く心を惹かれながらも、そんなものあるはずがないと、頭で強く打ち消した。最近、美沙子は夕食後に健康のために歩くようになった。そして、その途中で見つけた。マンションの裏手の丘にポツンと立ち、なぜか不思議な光を放つ自販機を。 今日も立ち止まり、それを眺めているうちに、いつの間にか意識は

          小高い丘の自販機 #1 健太のグローブ

          けさ教育テレビを見ていたら、「あ」がとんでいる。大きくジャンプするには、力を溜め、たわむことが必要。人生にも同じことが言えるかもしれない。一見困ったと思う状況。それは次の展開に進むために、必要な学びだと考えることにしよう。

          けさ教育テレビを見ていたら、「あ」がとんでいる。大きくジャンプするには、力を溜め、たわむことが必要。人生にも同じことが言えるかもしれない。一見困ったと思う状況。それは次の展開に進むために、必要な学びだと考えることにしよう。

          春を味わう〜大津つつじ園にて〜

          熊本県北部には、つつじの名所がいくつかある。昔から大津のつつじは有名だが私は一度も訪れたことがなかった。ところが、先日桜の見所を教えてくれた友達が旦那さんの休みに合わせてそのつつじを見に行くと言う。そしてご夫婦2人では話も弾まないからと冗談を言い、私をドライブに誘ってくれた。 仕事を辞めてから車に乗るのは、父母の通院等がほとんどだった。昨年より、その役目もなくなった。時間帯によっては、自分が車の運転ができないこともあって昨年秋、車を手放した。今は遠出をする時は、公共交通機関

          春を味わう〜大津つつじ園にて〜

          40年ぶりの挑戦〜イタリア歌曲をステージで歌う〜

          大学の卒業記念コンサートで1人で歌って以来、40年経ってしまった。教員時代は声の使い過ぎのためなのか、高い声が出なくなっていた。そのため、以前歌っていた声楽曲を歌うことはもう無理であろうと、私はすっかり諦めていた。 そんな折にYouTubeで小玉 晃先生の発声メソッドに出会った。それは今までの教えとは180度違うといっても過言ではない。その発声法を試すと、声域が広がって「また歌えるかもしれない」と自分の可能性が感じられた。まるで希望の光を見出したようにうれしくなった私は、1

          40年ぶりの挑戦〜イタリア歌曲をステージで歌う〜

          雨の合間に桜を見に行く

          今年の桜は開花した途端に雨続き。このままだと花をよく見ないまま散ってしまう。もともと桜は、はかなげで美しい。友達と晴れた日に江津湖の近くで桜を見ようと前から約束していたのに、大雨のため一度、延期した。今日もはじめは曇りの予報だったが、昼から雨が降るという予想に変わった。そのため、もう機会がなくなると思って「30分でもいいから見に行こう」と急遽午前中に出かけた。 江津湖は熊本市民にとってオアシスのような場所である。水が湧き、遊歩道があって、ゆっくり過ごせる公園も点在している。

          雨の合間に桜を見に行く

          #10 エネルギッシュなアジアの旅 なぜか懐かしさを感じる台湾

          台湾と日本の関わり私は、台湾にこれまで3回出かけたが、いずれも戦前の日本の教育を受けた年配の現地係員の方にお世話になった。80歳代のある女性の方は、お兄さんが日本の大学で学び、大学教授となって、生涯京都で暮らしたとのこと。以前は日本人観光客の案内をしていたが、もうずいぶん前に引退している。でも今回年末ということもあって、現地係員の数がどうしても足らず、頼まれて断れなかったと言われた。「こんなおばあさんでごめんね」と初めに挨拶され、日本のおかげで大陸より20年も発展が早かった

          #10 エネルギッシュなアジアの旅 なぜか懐かしさを感じる台湾

          何度も行きたくなる プレミアムホテル門司港

           私には、家族や友達と何度も訪れているホテルがある。それが門司港にあるプレミアムホテル門司港(旧門司港ホテル)  先日、北九州に出かけた友達とは、10年ほど前、同じ勤務校になった。そこで意気投合し、近場をよく一緒に旅行するようになった。プレミアホテル門司港にも2人で5回以上行っている。  彼女は、私と同じくおいしいものが大好きで、音楽にも興味がある。また好奇心旺盛で、海が好き。9歳下の彼女がいると、パッと周りが華やぐ。150センチもみたない私と大柄な彼女は、まさしく凸凹コ

          何度も行きたくなる プレミアムホテル門司港

          #9エネルギッシュなアジアの旅 香港・マカオ

           1996年、年末。両親を連れて、はじめての海外旅行は香港。そこは、翌年に控えた返還前の活気や熱気に溢れていた。  現地係員は黒く薄いアタッシュケース、細身の背広、ブランド物のメガネといういでたち。これが笑ってしまうのだが、メガネには、なんと値札がついたままなのだ。空港のバスの駐車場は、到着便ごとに多くの観光客が乗り込み、活況を呈していた。よく見ると、他のツアーの添乗員で、同じく値札をつけた人がいる。これだけ高いものが買えるということを誇示するためなのか、よくわからないが、

          #9エネルギッシュなアジアの旅 香港・マカオ

          #8エネルギッシュなアジアの旅 マレーシアとシンガポール②

          シンガポールにて  1996年、マレーシアのジョホールバルから移動した途端、ビル街の美しい、別名ガーデンシティーと呼ばれるシンガポールに入った。その当時は開発のまっただ中だったため、昔ながらの古い小さな家も中心部に残っていた。しかし、そのような場所は、板のような壁で遮られ中を覗き込まないと人々の生活がわからないようにしてあった。街中はMRTが走り、移動もとても便利。法律が厳しいため、ゴミ1つ落ちていない、清潔な公園が印象的だった。  観光をしながら、気がついたのは、街に若い

          #8エネルギッシュなアジアの旅 マレーシアとシンガポール②

          #8 エネルギッシュなアジアの旅 マレーシアとシンガポール①

          マレーシアにて 1990年半ばは、北海道2泊3日よりアジアの旅 1週間の方が旅行代金が安かった。そしてシンガポールでは、五つ星であるインターコンチネンタルに泊まることができる。そう考えたら、北海道に行く案はまた瞬く前に消え去り、まだ行ったことのないアジアを旅することにした。  実はこの旅は、独身最後の旅行にするつもりだった。結婚したら、そうそう海外には行けないだろう。そのことも決め手の1つとなった。  シンガポール航空で、民族衣装サロンケバヤの美しい客室乗務員の姿を見たと

          #8 エネルギッシュなアジアの旅 マレーシアとシンガポール①

          メットライブビューイング 「カルメン」をみて

           映画館で観たメトロポリタンオペラのカルメンは、設定を現代のアメリカに変えた新演出だった。そのため、19世紀のセビリアのタバコ工場は兵器工場になり、闘牛のエスカミーリは、ロディオのチャンピオンになっている。全ては、現代の人にもオペラを身近に感じてもらうためだそうだ。  カルメンを演じたA・アクメトチナは若干27歳。カルメンは彼女の当たりどころと言われている。なんと21歳の時に代役でロイヤル・オペラ演じたのが最初だそうである。  リハーサルで50%を出し、本番で50% そ

          メットライブビューイング 「カルメン」をみて

          春に想うこと

           ウフィツィ美術館で正面にあるビーナスの誕生。それは想像をはるかに超えた大きさだった。その横に「春」がある。その絵を見た途端に、私はもうこのような若さを失ってしまったことを痛感した。屈託なく踊るその姿に、ある意味の残酷さを感じた。もう若さを失った者には味わうことのできないきらめき。そしてその者たちは、自分の若さに気づいていない。そんなものなんだろう。若さを享受しているものは、周りからわかるのだが、本人にその自覚は無い。ただそれが通り過ぎると、輝く季節を無意味に過ごしてしまった

          春に想うこと