うつ病の症状(その2)
前回の投稿では、身体に出るうつ病の症状を紹介しました。
続いて今回は、私がうつ状態のときに、心と頭にあわられた症状をまとめてみました。
1 仕事が楽しくない
仕事は楽しいことばかりではありませんが、「嫌なことでも仕事ならやるのが当たり前」という考え方があります。
仕事として対価を得ている以上、好き嫌いにかかわらず、やるべきことはやる。逆に、仕事だからこそ出せる力があり、そこから得られる充実感もあります。
私はこの考え方が決して間違っているとは思いませんが、うつ病のときは、仕事であってもやる気が一切出ませんでした。
どんなに力を振り絞っても、頭と気持ちがついて来ないのです。今まで楽しくできていた仕事すらできないのです。
まさにガス欠状態。
私の仕事は主にお客様の相談に乗る業務でしたが、うつのときは相手のことを親身に考えることなどできない状態でした。
2 認知機能の低下
仕事では様々な文書に目を通しますが、当時の私はいくら読んでも、内容が頭に入ってきませんでした。
不眠のため頭が常にぼーっとしていたこともありますが、仕事関係の文章がまったく頭に入らないあのときの感じは、たぶん寝不足によるものだけではなかったと思います。
また、今までにないようなうっかりミスが増えました。
仕事においてだけでなく、友人と会う約束をしても時間を間違えてしまったりして、ほとほと自信をなくしました。
これらの症状から、「今の状態のまま仕事を続けるのは仕事を続けるのは無理だ」と自分の中で休職を決意しました。
3 生きること自体がつらい
休職すれば回復するのかと思いきや、そんなに簡単ではありませんでした。
その頃にはすでに、生きること自体がつらくなっていたのです。
シャワー、洗顔、歯磨きなどの日常の動作もできないほど。
まるで呪縛にかかったような状態を抜け出そうと、ネットフリックスでドラマなど見始めると、今度は止めることができなくなってしまい、一日中眺めっ放しのときもありました。
『全裸監督』をノンストップで全話一気見してしまったときは、目と頭が疲れたほか、何とも言えない気分になりました。
うつの時に見る作品ではなかったかもしれません。。。
日によっては動ける状態のときもあり、そういうときはなんとか調子を取り戻そうと、出かけてみたり趣味を楽しんでみたりしようとしました。
が、元気なときにやっていたことをやろうとしても、なかなかうまく行きませんでした。
出かけた先で何を見てもネガティブなことばかり考えてしまったり、趣味でも失敗が多くて、ますます自信をなくして落ち込んでしまう結果になりました。
「一体オレはどうしたらいいんだー!」と叫びたくなるほど八方ふさがりの状態でしたが、叫ぶ気力もないのです。
底なし感に襲われました。
この最悪の状態から即座に抜け出すのは難しいですが、私の経験から導き出した最善の方法は、何かに没頭することです。それも、自分の心と体に優しい何かを見つけて没頭すること。
このことについては、いつか詳しく書きたいと思います。
4 経済的な不安・将来への不安
休職した3か月のうち2か月間は、職場復帰の光は全く見えませんでした。
トンネルの出口を探そうと必死にもがいていましたが、同じ仕事に戻ることまでは考えられませんでした。
「今の仕事は辞めなければならないだろうな」と思いながら、何とか目の前のつらさと闘っていました。
将来のことは考えないようにしていたものの、生活の不安はどうしたって頭をよぎります。
「高2と小4の子どもがいて、住宅ローンは残り20年。
今の仕事を辞めて、今の自分に新しい就職先があるのだろうか。
そもそも自分は空っぽの人間ではないか。」
ネガティブなことしか浮かびません。
そんなときは、外であらゆる職種の人を見るたびに、今の自分と比べて勝手に劣等感を抱きました。
小学校の前を通るだけで、「子どもでさえ毎日学校に行ってるのに、俺は何もしてない。。。」などと感じてしまうのでした。
「自分は社会のお荷物。世間の皆さんすみません。」
自虐ネタでも何でもなく、私は真剣にそう思っていました。
消えたい・・終わらせたい・・・と思う日々。
その先に「死にたい」という気持ちが待ち受けているのを肌で感じました。
でも実際、回復すれば考え方も変わります。後で絶対変わります!
当時の自分を含め、うつで休んでいる人は、決して社会のお荷物ではないし、世間はそんな風に見ていません。
だから、うつ状態の考え方・感じ方は絶対に歪んでいるから、できる限り気にしないこと。そして重要な決断はしないことが大切です。
5 家族への罪悪感
自分が自信を失っているから、子どもを信じてあげることもできませんでした。
自分の将来だけでなく、子どもの将来まで悲観してしまう。
それが自分でも分かっていて、「ダメな父親、ダメな夫でゴメン」といつも思っていました。
6 おわりに
自分が経験したうつ病の症状を思い出しながら、ここまで書いてきました。
今あらためて思います、あの時は本当に苦しかった!!!
このつらさを今まさに経験している人には、絶対に回復できると信じてほしいです。
もし、私が経験したような自虐的な考えに偏りがちな人がいたら、「こんなふうに考え方が変わっちゃうんだー」と少し離れた視点で以前の自分との違いを見比べてみてください。
そして、うつ病が原因で正常ではなくなっている今の自分を客観的に見られたら、それが回復のカギになると私は思います。
大ヒットしたドラマ『JINー仁ー』で、大沢たかお演じる南方 仁が、タイムスリップした江戸時代で流行するコレラに感染したときに、
「これがコレラかー!」と自らも瀕死の状態で叫ぶように独り言を漏らしたシーンを思い出しながら、「これがうつかー!」と声に出して言ってみると良いかもしれません。(私はつらいときモノマネしながら言っていました。)
私が休職するのとちょうど同じタイミングで、ネプチューンの名倉 潤さんが無期限の休養を宣言しました。
お笑い芸人にとって、うつ病のイメージは致命傷になるかもしれないところ、とても勇気のある決断だと思いました。
きっとメンバー2人と奥さんの理解と支えがあったのでしょう。
私はこのニュースを見て、大いに励まされました。
名倉さんは私より早く復帰されましたが、そのときは自分のことのように嬉しく、また、希望を感じました。
名もないサラリーマンがメンタル不調で休職するぐらい、世間にとっては本当にどーってことないことなのです。
それぐらいの気持ちで堂々と休んでいいと思います。
そして、うつ病を経験した人は、決して以前より弱くなったわけではありません。何かを失ったわけでもありません。
むしろ、得たものの方が多いかもしれません。
以前は分からなかった人の苦しみを理解する力と優しさを身に付け、今までより深みのある人間になって、充実した生活を送ることができるはずです。
だって、普通に過ごせるだけで幸せと感謝を感じられるのですから。
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