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第四十五話 憧れの君③最終回「マルシェで猫耳、結局、古地図」

名来「椿・・・来たんだ」
椿「何?・・・そう、なんで、ピアノまで、つけてきたの?」
名「どこ行くのかな、と思って」

美加璃「他の二人って、いるのかな?」
柚葉「こちらと同様、あちらの本棚の影から、覗いてますよ」
美「なんか、女子みたいだね」
柚「・・・」

椿「それだけ?」
名「えっと・・・気になったから」
椿「で?」
名「帰り、ちょっと寄らない?」
椿「・・・何?」
名「今日さ、市場、出るじゃん、あの駅の方のさ」

美「あ、マルシェの日」
柚「そのようですね。ご興味ありますか?」
美「女美架が、行きたがってたやつ。各国のイチゴが出揃う日」
柚「マルシェは、軍族の子が遊びに行きやすい、市井の行事ですね。軍の福利厚生的な憩いのイベントとされています。協賛金を出すと、チケットが配布されて、子どもたちは、それで買物をします。果物とか、御菓子の屋台とか、ユーズドの服飾品の露店などが出て。あと、古本市もやるので、女子は、お姉様方の出した、お古の『恋物』を買いに、殺到するみたいです」
美「そんなこと、いつから、やってたの?」
柚「ああ、僕が、こちらに仕え始めた頃に、始まったみたいですね。リサイクルだとかで、亥虞流イグル元帥のお考えのようです。美加璃様が、ランサムに行き出してからぐらいですから、ご存知なかったのですね」
美「・・・ふーん、少なくとも、お母様の発想ではないわね」
柚「皇宮の皆さんは、ノータッチのようですけど、女美架メミカ姫様は、以前、侍従長と暁と、出掛けた事があるらしく、また、ジュニアの方で情報を掴んで、行きたい、と大騒ぎしてるみたいですね」
美「じゃあ、女美架連れて、いこっか?」
柚「とか、言ってる内に、椿さん、あの男子と、出て行かれたみたいですけど・・・」
美「あ、やだ、他の男子は?」
柚「あれ、いませんね・・・」
美「柚葉、なんで、見ていて言わないの?」
柚「マルシェなら、心配ないのではないですか?」
美「行くわ。柚葉。一緒に来て」
柚「・・・困りましたね。渦を待たせています。桐藤キリトも」
美「もう、皆で、マルシェに行くのよ」
柚「交通規制がかかっているので、お近くまでしか、行かれないと思いますが」
美「いいの、桐藤も一緒に」
柚「・・・さあ、首を縦に振らないと思いますが・・・」
美「追いかけるよ」
柚「しょうがないですね・・・」

 美加璃と柚葉が、玄関まで降りると、丁度、名来の家の車に、椿が乗り込んでいた。

美「よく乗ったわ、大丈夫かな、カメリア・・・」
柚「だから、何の事はないですよ」
美「うーん」

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