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カンムに入社して1年たちました          ー「コト」と「ヒト」について考える

カンムという会社でCOOやってます、@kiyonoです。
こちらはカンム アドベントカレンダー2024 14日目の記事なります。


カンムに入社して1年がたちました

私がカンムに入社したのは、2023年11月。あっという間に1年が経ちました。それまで長くいた会社とはまた異なる環境への新たなチャレンジ。私にとって、とても新鮮で多くの学びのあった1年でした。
(入社時に書いてもらった記事はこちら)

また、当社で事業推進をさせてもらう一方、これまでのつながりから、多くの会社の経営者やリーダーの方々ともお付き合いさせていただき、経営や事業、組織などについて、色々お話しする機会も多くなりました。そんな中、この1年で考えてきたことは、「結果の出し方」と、その多様性という視点でした。

「結果」と「結果の出し方」

企業、特に上場企業は、常に成長していくことが求められます。その経営に携わる者は全て、「結果」を出し続けていかなければならないという責任を負っています。皆さんは、その「結果」とは何をイメージするでしょうか?「売上」や「利益」でしょうか?また「働きやすい職場環境」や「チームの信頼度」、「後継者づくり」などもあるかもしれません。

そしてその「結果の出し方」も様々です。例えば、私が所属していた”楽天グループ”という企業は、年間売上1.2兆円の規模に成長した今も、年率で9.8%の成長を出しています※。「楽天」というと、毎週開催される”朝会”や”KPIドリブン”、”成功のコンセプト”などのイメージを持つ方も多いと思いますが、その組織カルチャーは強烈なリーダーシップのもと、一見不可能とも思える高い目標を掲げ、その達成を目指して猛烈にドライブしていく推進力、組織力が特徴で、それこそが企業の成長をつくっているといっても過言ではないと思っています。世界にはGAFAMやNVIDIA, Adobeなど大きく成長し「結果」を出している企業が多数存在している一方、その組織文化は多種多様でそこに正解はありません。またまだ規模は小さいですが、当社カンムも伝統的な企業とはまた異なる組織文化を持ち、スタートアップとして成長してきた姿を見るにつけ、まさしく「結果の出し方」はそれぞれ、と日々実感しています。
※2023/12月期 決算説明資料:CEOグループ戦略プレゼンテーション資料

「結果の出し方」とは?

ところで、この「結果の出し方」について、私はこんな解釈をしています。

(清野個人が考える概念的に分解したものです。あしからず)

よい戦略で事業を興し、それがきちんと回るようにオペレーションを組み立てることが大事であることは誰しもが認めることだと思いますし、結果を出す=企業価値を上げていくという経営の根幹であります。一方、この式にはもう一つの要素があります。「組織・人(culture)」。それは、素晴らしい戦略やオペレーションを構築し、そこで働く人、その集合体である組織が最大限発揮できれば、自ずと結果も変わるということを意味している反面、どんなに素晴らしい戦略があっても、極端な話、組織・人が方程式上”ゼロ”なら、企業価値は”ゼロ”ということになることもあるわけです。そしてその「組織・人」によって形づくられるものが、”文化(culture)”として定着すると、結果を出すサイクルが”永続的(on going)”になると考えています。

実は似た概念として、楽天創業者 三木谷浩史さんの著書「成功の法則 92ヶ条」(今は進化して、100ヶ条になってますね)の中で、「77 Strategy Execution Operation」というセクションにこのような記載があります。

「僕が問題だと思うのは、戦略の重要性があまりにも強調され過ぎていることだ。成功が全て戦略にかかっているかのような錯覚がある。」
(中略)
「失敗=ビジネスモデルの欠陥。そういう等式でも、あるかのようだ。僕はまったく逆の考えだ。失敗の原因の大半は、戦略ではなく、エグゼキューションやオペレーションにある。戦略は間違っていない。それをやり切る手法と、その遂行に問題があることの方が圧倒的に多いのだ。」

(出所)「成功の法則92ヶ条」三木谷浩史

どれ一つ欠けても”結果”は生まれませんが、三木谷さん自身はこのように力点について語っています。あくまでも一個人の意見ではありますが、楽天市場ができる前からいくつかのECサイトは存在していたけど、どれも上手くいっていなかったことに対して、「どうしてECを始めるんだ。上手くいくわけがない、やめた方がいい」と周囲から散々言われながらも、上記のような信念のもと、突き進んだ先に今の楽天市場があることを考えると、一定の納得感があります。

これについて私なりの理解を誤解を恐れず申し上げると、「考えること(strategy)」と「実行すること(execution, operation)」はバランスであるが、”実行すること”に力点(重き)を置いている。それはVUCAと言われる不確実な世の中で、かつインターネットビジネスのように競争環境がどんどん変わっていく状況下においては、「考えてやってみる」「やってみてだめなら修正して前進する」「やってみないとわからない」というスタイルが、結局「結果」を出し続けるための確度の高い方法である、ということだと考えます。

また、ここで私が感じるもう一つの示唆は、「コト」と「ヒト」という対比です。多くの場合、この戦略やオペレーションを築く「コト」に大きな時間と労力を使っているし、そのためにはコンサルタントの力を借りたりすれば、よいアウトプットを出すこともできるかもしれない。一方、「組織・人」については、どのように向き合っていけばよいでしょうか?

「コト」と「ヒト」

長らく在籍した楽天証券では、スタッフ時代から、常にどんなサービスを作ろう、どんな改善をしよう、という、自分の担当するサービス、事業に集中してきた十数年でした。しかしコロナ発生直後の2020年春、ある日、”副社長”という肩書になった瞬間、急に会社全体のことを考えなければならない立場になり、(お恥ずかしい話ながら・・)しばらくの間、正直どうしたらいいんだ?という大きな不安のような気持ちと向き合っていました。「君は、この会社をどうしていきたいのか?」というシンプルだけど、根本の”問い”にどう答えるのか?そんな時、機会あって出会った、”コーチ”と共に、自分の視点を変え、視座を上げることができたのではないかと思っています。

皆さんは「コーチ」というとどんなイメージを持つでしょうか?世の中では「1兆ドルコーチ」と呼ばれるビル・キャンベルが広く知られているのではないでしょうか。スティーブ・ジョブスやエリック・シュミットといった大物経営者のコーチとして活躍された人物です。

ビル・キャンベルのようなアメリカにおけるコーチと、日本のコーチのあり方はまた異なるものだと思いますが、一般的に”コーチング”の世界では、「あれをしよう」「次はこれをしよう」「今ある課題はこれだ」というのは「コト」を扱っていると言われます。もちろん「コト」を解決しながら前進していくことは企業として大事な要素なんですが、一つ一つの事象や将来をに対し、自分自身や周囲、チームをどのように舵取りしていくのか?一人一人のメンバー・リーダーが、「どうしてそのような行動を選択したのか?」「なぜそのように考えるのか?」「そのように考えるあなたはどんな人なのか?」ということも同様に大切であるとコーチングは伝えます。そうした人間の根っこにある考え方や価値観、ニーズ、欲求、信念、つまり「ヒト」そのものにアプローチし、「問い」かけることで、新たな気づきや視点が生まれ、それにより行動変容を起こし、実現したい世界、目標の達成を共に目指すというものです。

私たちは毎日多くの課題と向き合い、その対応に追われています。しかもその多くの「コト」は、”重要で緊急な”ものだと思います。”重要だけど緊急でない”ことに頭と時間を使うことが、頭では大切だとはわかっていても中々対処できない。しかし、こうした”重要だけど緊急でない”ことに、未来の結果につながるヒントがあったりすることもまた事実です。カンムにおいても次の成長をつくることを自分自身のミッションとして日々仕事にあたる中で、そのヒントを、目先の”コト”でなく、将来を作っていく”ヒト”に求め、今も変わらずお世話になっているコーチとも、共に考えることが多くなりました。

最後に

これまで私は、楽天という企業において「結果」を出すことに全力で走ってきました。今思うのは、それは楽天という組織・カルチャーを前提に、関わる人たちと考えを共有しながら実現してきたことですし、そういう環境に身を置けたことは大変感謝しています。
それはそれで貴重な経験なのですが、それら過去の前提や経験にとらわれることなく、今後も様々な「人」と出会い、自分なりの「結果の出し方」を試行錯誤することで、自分自身も成長し、関わる人たちや組織の成長にも貢献できればと願っています。

「結果の出し方」は、「誰と」「どんな道を」選択しながら、その先を目指すのか。人生における山登りと捉え、カンムという舞台において、これからも走りつづけたいと思っています。

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