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きっと、未練。

何年前の話だったか…当時大学生だった青年と過ごした官能の時間。幼い彼の本当の性癖。
私も、たまに思い出す事がある。
そんな彼から(私)へメッセージが届いた。

(私)さんお久しぶりです。僕のこと覚えてますか。
僕は、最近結婚しました。
(私)さんと出会った時に喧嘩していた彼女とは別れて、一度はやり直そうと復活したのですが、やっぱり別れてしまいました。そこまではお話ししたんでしたっけ。
彼女とは体の相性が良くなくて、彼女に拒まれたり、そこから喧嘩になったりした事を、僕は引きずってしまいました。

その頃に出会ったのが、(私)さんでしたね。
その頃の僕は、成熟した年上の女性への憧れと興味と、大学野球も引退したばかりで、体力と欲求を持て余していました。
大学院に進むつもりでいたので、色々とやる事はあったのに、ありのままの自分を誰かに受け止めて欲しいモヤモヤが消えませんでした。

(私)さんに好きにされて、僕は、こんな気持ちいい思いができるなんてと、家に帰ってからも呆然としていました。今でも覚えています。自分がこんなに悶絶するなんて、男なのに、声を抑えられなくて恥ずかしくて。心臓が止まるかと思うほどバクバクして全身で反応してしまって。野球の試合でも、あんなにはならなかったです。自分でも驚きました。本当に、初めての経験だったので。刺激が強すぎました。

翌日もその翌日も、(私)さんにされた事を思い出してしまっていました。
喧嘩していた彼女には、僕から謝って優しく接するようになっていましたが、気持ちはもう離れつつありました。
彼女がとても幼稚に見えたからです。
僕もまだ幼稚なままでした。(私)さんにされるがままなだけでしたから。
でも知ってしまった。(私)さんは、それを楽しめばいいと言ってくれましたが、僕はまだまだ幼稚でした。
楽しむどころか、だんだん怖くなって来ました。

あの時間は、知ってはいけなかったような気持ちになり、それで(私)さんを遠ざけるようになりました。(私)さんごめんなさい。
あの時ずっと枕を自分で顔に押し当てながら、僕は絶叫していました。それも、思い出すと恥ずかしくてどうしようもありません。

復活した彼女から、何かちょっと雰囲気が変わったと言われ、(私)さんにされた事など話せるはずもなく、押し黙ってしまいました。

(私)さんが解放してくれたかのように思えた僕でしたが、僕が起こした行動や、麻実さんに身を委ねた事、あんなに喘いでしまった事などなど、だんだんと自己嫌悪し、忘れてしまおうと考えるようになりました。
彼女と別れ大学院生になり、同世代の女子とコンパしたり遊びに行ったり、僕はどこにでもいる大学生でした。新しい彼女ができた事もありましたが、僕の本当の欲求は、封印したままでした。

社会人になって最近結婚もしましたが、今でもふと(私)さんの事を思い出します。
忘れたいのに、思い出してしまいます。
僕の中では、誰にも話せないタブーみたいな経験なのに、強く甘く記憶に残っています。
奥さんも、もちろん本当の僕を知りません。
こういう記憶って、なかなか消えないものですね。

奥さんを大事にします。ゆくゆく子供を授かって父親になれば、あの経験はきっと記憶から消えて行きます。

(私)さんのように、自身の欲望に素直になって表現できる人は、稀だと思います。
僕は少しだけ大人になり、見方や考え方が変わったところもありますが、ごくごくありがちで一般的な生き方をしたいので、これからも(私)さんはタブーの象徴です。

それでもこうして(私)さんに連絡してしまったのには、何かあるのでしょうね。
お許しください。

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