見出し画像

「頭よさそうな行動」の罠

今回も消費者被害シリーズの一環。

過去分
https://note.com/super_hero/n/n99a9f4266877
https://note.com/super_hero/n/nccc699b39242
https://note.com/super_hero/n/nad73d2d9a7d6
https://note.com/super_hero/n/nb0ecc0c87c2e
(後でマガジンにしようかな)

頭よさげな人って純粋に憧れの対象になることもあるし、利益が大きいから羨ましいって人もいると思うんです。
今回は、そんな頭よさげな人……ではなく、その真似をして悲劇に見舞われる人について。

頭よさげな人は断言する

頭よさげな人たちは物事を「理解した」っていいがちだし、なんなら「簡単」といいがちなので、真似する人もこの点を特に念入りに真似るんですな。

画像7

「真似する」の意味なんですが、外面を模倣するということです。
『進撃の巨人』の旧リヴァイ班を見るとわかるんですが、オルオというキャラは上司のリヴァイに心酔し、髪型(カリアゲ)や口調を真似しています。

画像1

(5巻 第20話より)

同僚に気持ち悪がられるというところまでセットで持ちネタになってしまっています。
この辺の話はWebやマガポケアプリから無料で閲覧できるので、お時間のある時にぜひご覧ください。

それで頭よさげな人がどう物事を断言するかというと、有名なのが『金田一少年の事件簿』に出てくる金田一一ですね。
こいつ最初の事件でIQ180の天才と明かされちゃってるんで、否応なしに頭いいキャラとして認識されてるんです。
有名な場面を抜粋します。

画像2

画像3


(オペラ座館殺人事件 4より)

断言しちゃってますね。
「これは俺の推理でしかないから、鵜呑みにはせず聞いてくれ」みたいな遠慮がちなセリフは吐きません。
眉に唾つける暇すら与えないおそろしく速い断言。オレでなきゃ見逃しちゃうね。

あと頭よさげな人は何でも簡単だと主張します。

画像4

(『憂国のモリアーティ』5巻 第16話より)

「簡単だよ」
「見ればわかる」
「こんなの大したことない」

いやーいってみたいセリフってたくさんあるよねー

でもねー普通の人ってそうそう頭よくないんだよねー

名探偵は説明する

頭いい人はちゃんと説明してくれます。

一例を挙げると、推理小説。
推理小説の面白さは探偵が謎解きを解説してくれることにあります。
むしろ謎を解説できなかったら探偵失格まである。
『モルグ街の殺人』から続く伝統ですね。
モルグ街の殺人
https://www.aozora.gr.jp/cards/000094/card605.html(本文すべて読めます)
素人探偵は説明(プレゼン)をきちんとできないと食いっぱぐれるから。

犯行の手口を物語開始以前にまでさかのぼってネタばらしした上に、トリックの穴や犯人のミスも全部見てきたかのように披露しちゃうんですよ。
その後犯人が「あいつが、あいつが悪いんだ……! あんなことさえしなければ!」とか「最初は殺すつもりなんてなかったんだ!」みたいに動機を述べていく、という流れはご存じかと思います。
コナン・ドイルとか、半分以上がこの解明パートという小説を書いてる作家もいます。

で、トリック解説は作者による「探偵の知能が優れている」という演出でもあります。
名探偵は頭がいいので、まるで見てきたようにトリックを説明してくれるわけですね。

余談ですが、この「頭がいい=見てきたように語る」はフィクションならではの描写です。
現実なら「○○は〜〜と推測されます」とか「私としては〜〜だと思います」程度のいい方しかできないでしょう。IQ180の天才だろうと見てないものは断言できませんからね。
説明がわかりやすい、というのは事実です。

頭よさそうな行動を真似する人

自分を賢く見せたい人は、頭よさげな人の言動、とくにフィクションにありがちなものを真似するわけですね。
ちなみに自分を賢く見せたい動機は色々あります。
詐欺政治活動も多いし、パワハラ体質の人もやりがちです。
(パワハラ体質の政治活動家とかいう地獄のモンスターも)

結論からいうと、賢くない人たちは、外面しか真似できません。
推理小説でいうと「トリックは分からないけどあなたが犯人です」みたいなこというわけです。
よく推理小説に出てくるヘボ刑事の役割ですね。
リヴァイ兵長の真似をするオルオですね。

逆に、頭もよくはないし物知りでもないけど賢い人、というのが世の中にはたくさんいます。
この人たちは「わからないから調べよう」と考えるんです。
調べてみて「調査結果を一から説明するね。〜〜最後にここから推測される結果だけど、○○は〜〜という結論になるよ」とプレゼンができるわけです。
学者や研究者の中にも、別にIQが高いわけじゃないけどこの賢さと地道さで成果をあげる人がいます。
そして逆に賢さも地道さも持たなかったゴッドハンドがいたりします。

「賢く見せたい人」のもうひとつのパターンは難しい説明を続ける、というものです。
これは商品紹介なんかに散見されるんですが、不必要なカタカナ語、商品に必要のない観念的な修飾語、理由もなく出てくる数値比較など、文字数を水増しした読書感想文みたいな説明です。

「弊社のマルチパーパスクリアタンブラーは水筒を不要にします。宇宙や深海開発にも投入される先端技術が産んだ複合素材により、アクティブな現代社会人のライフスタイルにも対応!
シックな外観はビジネスユースのハイコンテクストなマナーにも適しており、これを持った時からあなたは今までよりハイクラスなビジネスパーソンに変身します。
また表面は従来商品より15%透過率を向上させたスケルトン素材に進化。エシカルでサステナブルなライフスタイルを華やかに演出します」
今即興で考えた紹介文です。
商品はダイソーのプラボトルです。

画像5

意識高い系界隈では、こういった難解で抽象的な長話で煙に巻く商法というのが確立されているので、もしそういう人に出会ってしまったら、バシッと「今のところ、横文字でいわれてもわからないんだけど」などと切り捨てながら聞くのがオススメです。

本当に賢い人になる

「今の説明だと知らない言葉が多くてわからない」のような切り返しは名探偵が使う「頭いいムーブ」としてフィクションに登場することもある上、ガチで賢い所作でもあるので、身につけておいて損はないですね。
セールスも宗教勧誘も激怒しながら帰っていき、二度と来なくなります。

例え話ばかりになって、この記事こそ「頭いい人の真似した賢くない文書」になってしまいそうですね。
ではここでやさしい言葉で結論を出しましょう。
・頭よさげな人はズバッとものをいう
・でも頭いいから説明がわかりやすい
・頭よくない人は「ズバッ」だけ真似る
・わからないことは「わからない」といえるのが賢さ

画像6


この記事が参加している募集

#スキしてみて

529,975件

今月も皆様のサポートのおかげで生活保護申請せずにすみました。心より御礼申し上げます。