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「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサル ルビコン以後」/晩成カエサルの統帥と政治(塩野七生の恋)2

塩野七生は「ローマ人の物語」でローマ建国から西ローマ帝国滅亡までの千年以上の歴史を大部のハードカバー15巻で記しています。

そのなかで、実にカエサルについてはⅣ、Ⅴの二巻を費やすほどの熱の入れようです。

しかし、読んでみるとこの二巻はまさに圧巻、英雄の物語はこれに尽きる!とまで言えるようなワクワクドキドキの、結果を知っている我々構成の人間から見ても大歴史絵巻を読むことができます。

Ⅳ巻の書評でもしるしましたように、塩野七生はカエサルに恋焦がれるがゆえにこれだけの力作をモノにしたのだろうと思わせられます。

Ⅲ巻で圧巻だったポンペイウスが、Ⅳ巻で少し大人しくなり、Ⅴ巻で色あせてどうしようもなく見えます。

しかし、彫像のカエサルは、実によく表現されているいます。このⅤ巻を読みながら英雄のなした事績を感嘆しながら、彫像を眺めているとつくづくそう思わせられます。

三月十五日、運命の日がやってきます。
世界の歴史上、最大の凶日ではなかろうか、と思います。もしカエサルが寿命を全うしていれば、というイフは永遠のイフでしょう。

飛び抜けることは、周囲の人間に殺意を抱かせるという歴史の鉄則が聞こえて来るようです。

塩野七生がカエサルに恋焦がれて書いたこのⅣ、Ⅴ巻は全巻読み終わってからまた読み直したいと思います。

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