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発達支持的生徒指導は学校だけでなく、家庭でも必須である

皆さんは「発達支持的生徒指導」という言葉をご存じでしょうか?令和4年12月に改訂された『生徒指導提要』では、子どもの成長・発達を支える生徒指導への転換を目指す重要性が示されています。

その1つとして、新しく示されたのが「発達支持的生徒指導」です。


令和4年12月改訂『生徒指導提要』第1章生徒指導の基礎 P19

上の表を見て分かるように、生徒指導の一番下、つまり「土台」です。子どの成長・発達を支える生徒指導への転換を目指す上で、全ての生徒指導を支える「発達支持的生徒指導」は重要な役割を果たしています。

では、逆に一番上の「困難課題対応的生徒指導」とは一体どのような生徒指導なのでしょうか?

いじめ、不登校、少年非行、児童虐待など特別な指導・援助を必要とする特定の児童生徒を対象に、校内の教職員(教員、SC、SSW 等)だけでなく、校外の教育委員会等(小中高等学校又は特別支援学校を設置する国公立大学法人、学校法人、大学を設置する地方 公共団体の長及び学校設置会社を含む。)、警察、病院、児童相談所、NPO 等の関係機関 との連携・協働による課題対応を行うのが、困難課題対応的生徒指導です。

令和4年12月改訂『生徒指導提要』困難課題対応的生徒指導 P21 P22

つまり、個人的要因、家庭的要因、人間関係に関する要因など、様々な要因が絡み、現在起きている困難な課題に対して、組織的に粘り強く取り組む生徒指導です。一般的に、生徒指導と言えばこのイメージが強いのではないのでしょうか?

怖い生徒指導担当の先生が、木刀を持って生徒たちを威圧感や強い口調で指導する。時には暴言、暴力も辞さない強い指導をする。今では、絶対に許されない指導ですが…私も、木刀まではなかったですが、野球部でケツバットをよくされていました。別室に呼び出されて、恐喝に近い指導もされたことがあります。そのような指導が横行していた時代です。基本的に上から圧力やプレッシャーをかけて子どもを制圧することがよいとされていました。

ですが、昔と現在は違います。多様な価値観が認められる現代社会です。特別支援の理解も進み、問題行動にもその背景要因を探り、適切な指導・支援をすることが求められています。いや、適切な指導・支援をしなければ、教育が成り立たなくなってきているという表現が正しいでしょう。

課題困難的生徒指導をしなければならない状態にまで陥ってしまうと、深刻な課題に対して出口の見えない対応を迫られます。そして、その課題は発達障害の特性から来る行動に対して、頭ごなしの指導・叱責を教師が続けた結果、2次障害・3次障害を引き起こし、不適応行動を繰り返しているという事例が少なからずあります。

つまり、発達支持的生徒指導は
・発達障害の特性がある子ども
・家庭環境や地域の環境等様々な状況にある子ども
・人間関係で様々な影響を受けている子ども
その他の全ての子どもが学校の教育目標の実現に向けて、全ての教育活動において進められる生徒指導の基盤です。

ここで、大切なのは基盤であるということです。はじめにお話しした土台と重なる部分があります。「あいさつ運動」や「シューズならべ選手権」「1分間黙想」など具体的取組を指しているのではありません。

なので、『生徒指導提要』には

日々の教職員の児童生徒への挨拶、声かけ、励まし、賞賛、 対話、及び、授業や行事等を通した個と集団への働きかけが大切である

と書かれています。毎日の教師と子供との温かな関わりが非常に重要なのです。そこには、笑顔で前向きな大人の姿が欠かせません。恐怖で押さえつけるような関わりでは、励ましや賞賛、対話になりません。温かな関わりの中で培われた信頼関係が構築されていて、励ましや賞賛、対話がなされるのです。

当たり前といえば、それで終わりかもしれません。

しかし、毎日の学校生活の中で、教師にも、時には体調が悪い時や、虫の居所の悪い時があります。そんな時も、いつ何時でも、教師は発達支持的生徒指導が求められているのです。日によって教師の立ち振る舞いが違うと、子どもは戸惑います。困惑します。イライラをぶつけてしまうと、子どもは敏感なので、すぐに分かります。それが、発達障害の特性から来るものであれば、「なんで、怒られないといけないんだ!?」と当然納得のいかないこともあるでしょう。そして、最終的には愛想を尽かされます。つまり、教師の言うことを聞かなくなります。生徒指導上の課題が増えてしまう一因となってしまいます。

最後になりましたが、結論です。
「発達支持的生徒指導」は、大人と子どもの温かな毎日の関わりの中で育まれるものです。お互いに信頼関係を育み、良好な関係を築くことができれば様々な課題に対する予防となるはずです。全ての子どもに対して、常態的で先行的に行います。

朝、笑顔で挨拶をする。何気ない会話をする。ちょっとした変化に気づき、話を聞く。生活や授業での頑張りを賞賛する。落ち込んでいる時に声をかけ、励ます。課題となる行動が合った際には、その背景要因を探り、理解に徹する。

学校だけでなく、家庭でも大切です。私も、娘たちに対してできているかな?と思う面が多いです。奥さんに対してもそうです。温かな毎日の関わりが大切であるのは、学校でも家庭でも一緒だなと再認識しました。

当たり前のことが、一番難しいー

常に、意識して、温かな毎日の関わりを行っていきたいものです。

それが、子どもの笑顔を守り、個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支えることにつながることを信じて

今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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