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ステラおばさんじゃねーよっ‼️89.初恋の萌(きざし)①〜シャンパン

👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️89.初恋の萌(きざし)①〜ボサノバ は、こちら。




🍪 超・救急車


ダイニングテーブルにあった皿を冷蔵庫に片付けると、カイワレはコーヒーを淹れる準備をした。

「おかまいなくー」

若森はカイワレに席に着くよう促すが、カイワレは黙々とキッチンでコーヒーメーカーをセットしている。

「じゃあ、こちらは座ったままで話をさせてもらうよ。萌シャン、報告と説明をよろしく!」

若森は隣りに座る小柄な萌に、話をバトンタッチした。

「あ、はい。わたし、所属は書籍出版部で入社3年めになります。この度、カイワレ先生が執筆されております、【夢占い♡夢日記】の書籍化が決定しました!」

カイワレは萌が自分に話しかけているのにも気づかず、ドリップされたコーヒーの滴下を見続けている。

元々萌の声は身体同様、小さい。

「カイちゃん、おめでとう!」

と若森が祝福の声を上げ、拍手した。

それにつられて萌も、カイワレに向け拍手した。

「え?!今、なんて言いました?」

カイワレは、ようやくこちらに意識を向けた。

萌はカイワレとの最初の仕事がこれなんだ!と思い直したが、なぜか自分のあだ名がはっきり言えずにいた。

「カイワレ先生、書籍化決定おめでとうございます!担当は、あの〜あのぉ…」

言いよどむ萌の横で若森が、

「萌ホニャララだろ!ほら、言えって!」

と小声で催促した。

すると急に、

「萌シャンが担当します!!!」

と普段絶対に出さなさそうな大声で、突如叫んだ。

その光景を見て、カイワレはどうしてふたりで来訪したのか合点がいったが、

「ありがとうございます」

嬉しさとは程遠い低テンションで、呟いた。

いつ席を立って移動して来たのかわからなかったが、キッチンカウンター越しで若森はカイワレをじっと見つめていた。

そしてドリップコーヒーに視線を落とすカイワレに視線を合わせ、ふたたび力強く祝福の言葉を浴びせた。

「カイちゃん、やったな!」

リアクションの薄いカイワレを見、若森は柔和な笑顔を差し向けタバコを咥えた。

「あっ、ここ禁煙ですよ!」

めでたい書籍化よりもタバコにはいち早く反応するカイワレを横目に、若森はそそくさとベランダへ逃げ出していた。

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