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メキシコTemazcal旅【番外編①】 都会のレトロな街角公衆サウナ、バニョス

メキシコの伝統的な蒸気浴文化「テマスカル」の膨大な報告記に最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。

実はメキシコには、テマスカル以外にもまだまだバラエティ豊かな入浴文化が息づいているのです!! 今回からは【メキシコ・サ旅番外編】として、入浴オタクの私たちが現地でテマスカルと同じくらい満喫してきた、首都圏のBaños(メキシコ版公衆サウナ)、イダルゴ州のTolantongo温泉、そしてユカタン半島に点在するCenote(地下冷泉)について、ダイジェストで紹介します〜!

まず今回は、都市部の街角に残るレトロな公衆サウナ、バニョスをご紹介。


メキシコ版公衆サウナ、バニョス(Baños)

いくつもの個室や共同浴場、理髪店、軽食店などを備えているので、複数階にまたがる
なぜかどこの施設も似たようなやや厳しいフォント

首都メキシコシティの街角には、決して数は多くありませんが、バニョスと呼ばれるレトロな公衆浴場がまだ点々と残っています。厳密には(殿方用の)共同サウナ室/ハマム、個室サウナ(orシャワー室)、理髪店、軽食店が収まった施設で、タオルも無料で貸してもらえるので誰でも手ぶらで気軽に入店できます。

ソープ類を売っていて、どこか日本の銭湯の番台も思わせるレジ。どこも現金オンリーだった
併設されたレトロな理髪店。ひとっ風呂ついでに髪も小綺麗にしていく人が多いのかな?

今回、バニョスの歴史までは詳しくリサーチできなかったので、いつ頃から、どういう目的でこのような施設が街にはびこるようになったかはわからずじまいでした。侵略国スペインの影響なのかな?とも思いましたが、私が知る限り、現代のスペインの街に同様の業態のバニョスと呼ばれる施設は見当たらないんですよね…。スペインではすでに廃れた文化の名残なのか、はたまたメキシコ独自の文化なのか…!? もしご存知の方がいれば、ぜひご教授いただきたいです!

検索でまず出てくるのは公衆トイレ…!?

"Baños""Bath"にあたるスペイン語なのですが、実は「浴場」とともに「トイレ」の意味も持っています…なので、Google MapsなどでBañosと検索しても、ヒットする施設の大半はただの公衆トイレです(苦笑)

こっちは(公衆浴場よりよっぽど数の多い)公衆トイレのほうのバニョス

最初の検索ワードとしてむしろ有効なのは、"Sauna"のほうです!そのなかで、ぜひ以下の特色を持った施設を、登録された画像や評価から探してアタックしてみてください。

薬草スチームサウナは、悲しきかな殿方オンリー

バニョスのサービスプランはほぼどこでも同じ。朝6時からの早朝営業!

バニョスは、施設の綺麗さによって結構料金にばらつきはありましたが、サービスプラン自体はほぼどこでも一緒でした。Individualとあるのが個室で、これは女性でも借りられます。一方Gralと書かれているのがパブリックすなわち共同浴場で、これはどこも男性用しかありませんでした(某国を思わせるサウナ施設の男女格差よ…涙)。Turcoはトルコ風呂、つまりハマム(スチームサウナ)。Vaporも意味はスチーム…でも実際はただの熱気のあるシャワー部屋という感じでした。

受付で、プランを選んで先払い。チケットが貰えるので、
それを浴室前の受付で渡し、タオルなどと引き換えてもらう
男性側の共同浴場の手前にある更衣室エリア。ロッカーの代わりに、なんと1人1室ずつ、
寝転べる簡易ベッド付きの個室を貸してもらえるらしい

公衆浴場マニアの私としては、女性はシンプルな個室しか入れないのはガッカリでしたが、男性浴場を体験してきてくれた夫の話によれば、訪れたところはどこも似たようなレイアウトで、大きな洗体&休憩室と10〜20名が座れるスチームバス部屋が2つあり、定期的に壁の蛇口を捻ってスチームを増幅できるシステム。入浴者はみんな下半身にシーツを巻いて入るものらしい。

スタッフが定期的にレモングラスなどのハーブを置きにきてくれて、薬草スチームサウナを楽しめるそうですよ(嗚呼うらやましい〜!)。一人客も和やかにお喋りしながら入っている客もいるそうです。洗体室には、日本や韓国の公衆浴場でもおなじみのマッサージや洗体サービス用の施術台もあるそうで、フロントに頼めばスタッフがやりに来てくれるみたい。休憩中に飲み物もオーダーできます。

サウナにはロウリュ禁止の張り紙が…

店名入りのサウナマットが予め敷いてあって、どこか日本のサウナ施設みたい
サウナ個室の利用者が使える簡易ベッド。寝転んでととのうスタイル?

いわゆるサウナ室ゾーン(表記はSaunas)は貸し切り専用の個室ばかりで、2名まで同室を借りられます。簡易ベッドスペースと、広いシャワールーム、そしてストーブと2段ベンチのあるファミリー用サウナ室が1つのユニットになっていて、私たちが行った施設ではそれが4-5組も並んでいました。

サウナは室内のつまみで勝手に温度が変えられるシステムでしたが、肝心のストーブが…

サウナストーンが皆無!!完全に部屋を温めるためのヒーターとしての役割だけ(苦笑)案の定、その上には「ストーブに水をかけないでください」の張り紙が…。まあ他国に伝わるSaunaなんて、所詮「ストーブとベンチが置いてある熱い部屋でしょ?」って感じですよね…

なお、テマスカル同様バニョスにも水風呂文化はありませんのであしからず。休憩部屋やロビーにはベンチやベッドが置かれているので、そこでくつろいで、また浴室に戻っていく…というスタイルです(個室の休憩部屋はテレビが設置されたところもあって、フロントでタオルと一緒にリモコンもホイッと渡されます笑)。

なんとなく、どこを切り取っても日本の昔ながらのサウナ施設っぽさがあるんだよなあ

そんなわけで、女性の楽しみ方はやや制限されますが、貸し切りのサウナやジャグジー部屋に入っていく女性同士(母娘?)、あるいは男女カップルも見かけたし、わりと繁盛はしていそうです。メキシコ人は、自宅ではシャワーのみ(温水がほぼでないのも珍しくないとか)が一般的のようなので、たまにはジャブジャブと気兼ねなく温水や蒸気を浴びてスッキリしたり身繕いをしたい、というニーズもそれなりにあるのかもしれませんね。

併設食堂で売ってたトロピカルフルーツの生搾りジュースは、湯上がりに最高でした!


次回は、火山大国メキシコならではの仰天のワイルド温泉を紹介します〜!

(写真:村瀬健一)


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