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【004】ミラノ工科大学サービスデザイン修士 Day2-3 サービスデザイン基礎

こんにちは、すーです。怒涛のWeek1が終わりました。Day1はオリエンテーションのみでしたが、その後はフルスロットルで授業!

まずDay2・Day3ではサービスデザインの基礎を学びました。自分の復習も兼ねて、どんなことを学んだか少しご紹介したいと思います。

Day2:サービスの成り立ちとサービスデザインの歴史

Day2ではサービスの成り立ちとサービスデザインの歴史を扱いました。

サービスの成り立ち

まずはサービスとは何か?西洋世界において古代から現代に至るまでサービスがどのように捉えられてきたか見ていきました。

ざっくりとした流れは以下の通りで、元々は奴隷労働=サービスでしたが、時代の流れと共に社会のあり方も変化し、サービスという言葉が意味するところも変化してきたことが分かりました。

古代:労働(奴隷など)
→ローマ帝国:共同での援助(軍隊など)
→中世:共同体における貢献
→近代:契約下の奉仕(使用人など)
→現代:労働

Kim Miso(2018)
"An Inquiry into the Nature of Service: A Historical Overview (Part 1)"

更に、産業革命を契機に第1次・2次産業に区分けできない第3次産業が増加し、サービスという概念が本格的に考えられるようになりました。

サービスとは何か?プロダクトと何が違うのか?多くの学者がサービス固有の性質を説明しようと試みました。その中でも、IHIPという4要素での説明が有名と言われています。

・Intangibility(無形性):目に見える形がない
・Heterogeneity(不均質性):毎度同じ品質でない
・Inseparability (非分離性):消費と生産が分けられない
・Perishability(消滅性):手元に残らない

Zeithaml V, Parasuraman A, Berry L (1985)
"Problems and strategies in services marketing"

サービスという概念が明確化されると共に、経済活動を捉える視点そのものもこれまでのグッズ(有形財)中心からサービス(無形財)中心に変化していきました。それがサービス・ドミナント・ロジックという考え方です。

サービスは全ての経済交換の土台であり、物理的なプロダクトはサービスの媒介である

Vargo, Stephen L., and Robert F. Lusch (2004)
"Evolving to a new dominant logic for marketing"

サービス・ドミナント・ロジックの特徴としては、価値創造、顧客との共創です。グッズ・ドミナント・ロジックでは一方向的な価値交換だった経済活動が、より双方向的な価値共創として捉えられるようになりました。

・企業から顧客への移転ではなく「価値創造」に焦点
・価値はサービス提供者・消費者により「共創」される
・消費者はただ価値を享受する受け身な存在ではなく、共に共創する「主体的な存在」とみなす

サービスデザインの歴史

サービスを中心とした世界の見方が浸透するにつれて、サービスデザインという分野が新たに生まれました。

この分野を切り拓いていったのは、欧州の2大学の学者たちでした。1つはドイツ・ケルン大学のBirgit Mager、Michael Erlhoff氏ら、もう1つはここ、ミラノ工科大学のEzio Manzini、Elena Pacenti、Daniela Sangiorgi氏らです。

サービスデザインの歴史はまだそこまで長くないのですが、その勃興から現在まで主に3つの段階に分けられます。

  • 初期(1990年代〜)

    • 明確な定義や方法論が何もない時代

    • 学者らが実験を繰り返しながら、手探りで骨組みを作っていきました

  • 中期(2000年代〜)

    • 原理原則やツールなど、共通言語が形成され始めた時代

    • 初期のサービスデザインエージェンシー(Live work、Engine、Logotelなど)が出現、サービスデザインネットワーク(SDN)も発足しました

  • 後期(2000年代後半〜)

    • 拡散、実践されていった時代

    • 『This is Service Design Thinking』『This is Service Design Doing』など、後の教科書になるような書籍も出版されました。また、大手コンサルによるデザイン会社買収も相次ぎ、よりビジネス実践の中にサービスデザインが取り入れられていきました

Day3:デザインの拡張とサービスデザイン

Day2では主にサービスの観点から現代のサービスデザインへの繋がりを見ていきましたが、Day3ではデザインの観点から現代のサービスデザインの位置付けについて見ていきました。

デザインの定義

そもそもデザインとは何か?様々な定義があると思いますが、授業ではHerbert Simonさんの定義が紹介されていました。

Everyone designs who devises courses of action aimed at changing existing situations into preferred ones.

Herbert Simon, 1969

「現在の状態」から「望ましい状態」に変容させる営みがデザインということです。

Nesta(2017)  "What do we mean by design?"

ちなみに、この定義自体は知っていたのですが、改めて「望ましい状態」というのは、つまりそこにデザインする人間の意図が入るという訳で、その状態をどのように定義するか/そこに至る道筋をどのように設計するかがデザインに関わる者の腕の見せ所だなと思いました。

デザイン対象の拡張

さてデザインを定義したところで、私たちは何をデザインするのでしょう?実は近年、その対象領域は大きく拡張していっています。

記号→プロダクト→体験・サービス→システムと、有形から無形へより多元的なものまでデザインの対象に含まれるようになりました。所謂「広義のデザイン」と呼ばれている領域です。

Nesta(2017) "What do we mean by design?" based on Buchanan's four orders of design

広義のデザインはまだ発展途上なこともあり、まとまった理論セットがあるというよりも、様々な切り口で少しずつ理論が出来始めている印象を受けました。
授業でそこまで深入りはなかったですが、自分の興味ど真ん中なので参考文献含めてもう少し学んでいきたいと思っています(以下、自分が特に読みたいと思った記事・本を備忘的に載せておきます)。

Carnegie Mellon School of Design "Transition Design"

その他、Speculative Designデザインアプローチなども紹介されていました。

現代社会におけるデザイン課題

デザイン領域の拡張には現代社会が抱える問題も大きく影響しています。具体的には、気候変動や格差などの解決に貢献するデザインの必要性が叫ばれています。

特に、EUは気候変動の世界的な議論をリードしていることもあり、気候変動を解決するデザインの関心が高い印象を受けました。

ちなみに、最近ではサービスのペルソナを「人」ではなく「自然(〇〇山など)」で考えるアプローチもあるそうです(面白い)。

振り返り

ここままでざっくりDay2・3で学んだことをまとめてみました。とにかくインプット量が膨大でした。笑

ただ、途中でディスカッションもあったので、受け身に聞いているより頭に入りやすかったです(そして、ほんの小さな疑問でもみんな普通に発言するので、ディスカッションが盛り上がり楽しい)。

全体を通して、理論は理論で深めつつやはりどんどん実践していくのが良さそうだなと思いました。特に自分の興味がある広義のデザイン領域は、実践なくしてはなかなか掴めなそう。
余談ですが、System Design, Design for Social Innovationで語られていることはソーシャルセクターにおけるコレクティブ・インパクトの営みとも近接しているなと思いました。違う言葉ではありますが発想は同じ。

それだけ現代社会の問題はどんどん複雑になっていて、個別の力で解決策を提示していくのは難しく、各所で集合知的なアプローチが必要になっているのかなとも感じました。

改めて自分の言葉でアウトプットするのが1番頭に入りますね(書くのに時間はかかりますが…)。

皆さんはどんなデザインに興味がありますか?何か参考になれば幸いです。それではCiao〜!



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