クリニックマネジメントの仕組みづくり②

マネジメントの仕組みづくり、クリニックの風土づくりの肝になるのはミッション、ビジョン、バリューですが、ミッション、ビジョン、バリューを私的に解釈すれば、

①ミッションとは自院の最終ゴール、存在意義・目的

②ビジョンとはミッションの中間ゴールで、例えば、自院が3~5年後にどうなっているかを数字などを使って、具体的に落とし込んだ目標

③バリューは行動指針、価値観のことで、ミッション、ビジョンを達成するための日々の行動指針、方針

です。

まずファーストステップとしてはこのことを理解し、自院のミッション、ビジョン、バリューを作成してください。

しかし、先生にミッション、ビジョン、バリューの話をすると、うちにもそういうのはあるけど、まったくスタッフが良くならないというお話をよく聞きます。

そういう先生のクリニックの場合、だいたい先生がミッション、ビジョン、バリューを作成し、書面に落としてスタッフへ配っただけか、せいぜい、1回か2回ぐらいスタッフへ伝えたぐらいのことしかやっていないことがほとんどです。

それだけで、スタッフへミッション、バリューを浸透させられるか?といえば、普通に考えてできるわけがありません。

ミッション、ビジョン、バリューはツールとして上手く日頃の現場で活用できていなければ、作成してもほとんど意味がないのです。

そこで、ミッション、バリューを作っていてもまったく役に立っていないクリニックの場合、私がスタッフとの面談で、指導するツールとしてミッション、バリューを使うことがよくあります。

例えば、

「正しいスキンケアの指導・治療で日本中の皮膚トラブルで悩んでいる人を救う!」

というミッション、

「患者をHAPPYにするために、いつも最善の努力を心がけよう!」

という、バリューがあった場合、

コース契約が取れない、化粧品を勧めるのに抵抗があるスタッフには、

「クリニックのミッションで、正しいスキンケアと治療法で皮膚トラブルで悩んでいる人を救う!とありますよね?そうしたとき、例えば、この患者は、あなたがお勧めした施術だけで皮膚トラブルを改善して、幸せになることができますか?本当に患者の肌を良くしてあげるためには、コースを勧めてあげた方が良いし、この化粧品だって使っていただいた方が良いんじゃないですか?もちろん、押し売りは駄目ですが、患者の肌を良くするために、ご案内だけはして、あとは患者の選択にまかせれば良いんじゃないですか?あなたはバリューにあるように、患者に幸せになっていただくために最善の努力をやり切っていると言えますか?あなたの価値観やコスト感覚で患者が幸せになる機会を奪っていませんか?」
(実際はもっとやさしいので、あしからず)

みたいな話をします。

クリニックのスタッフは数値や売上を嫌う人が多いので、ミッションやバリューを上手く使って話をしてあげた方が良いのです。

こういう風にミッション、バリューをツールとして現場で使っていない先生は多いのではないでしょうか?

あるいは、研修などもそうです。

よくわからない外部講師の先生を読んで研修をやられているクリニックをよくみかけますが、そんなことをやるより先生が作られたミッション、バリューを使って、研修をする方が効果的です(先生のミッション、バリュー研修がベースであって、その他に新しい風を入れる目的で外部講師の先生に研修を依頼されるのは良いと思います)。

なぜなら、先生の想いがつまったミッション、バリューの話をスタッフに聞かせた方が、先生の想いを理解しますので、先生が期待した行動を自然にスタッフがしてくれるようになるからです。

普通に考えれば当たり前のことです。

あとは、バリューをつくってもその意味を理解していないスタッフが結構いますので、バリューを実践して現場で上手くいった事例をレポートでスタッフに提出させたり、ミーティングで発表させたりすることで、全スタッフに共有。こうすることで、バリューの実践とはこういうことをすれば良いのか!ということをスタッフに理解してもらうことができます。

また、クリニックでミッション、ビジョン、バリューを重要視していることをスタッフに示すために、評価項目にミッション、ビジョン、バリューの達成項目を入れたり、ミッション・バリュー浸透PJ(プロジェクト)を立ち上げても良いでしょう。

もちろん、よく言われる朝礼やミーティングで唱和することも良いと思います。

とにかく、マネジメントはマーケティングと違い、かなりの時間・労力・コストを投入しないと結果が出ません。

途中であきらめてしまう先生の何と多いことか・・・。

そして、クリニックのマネジメントの仕組み、風土をつくるためのミッション、バリューは作っただけでは駄目で、その浸透に関して現場で効果的なツールとして上手く活用できているか?そういうところを見直していただくと良いのではないかと思います。


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