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『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

今年のGWは”普段と変わらず過ごす”ことに決めていたので、初夏の明るい日差しが差し込む中、窓を開けて心地よい風を存分に楽しみながら読書をして過ごした。

このところ読書といえば洋書ばかりだったが、久しぶりに手に取った和書。
SNSで話題になっていたのは知っていたが、初めて訪れた新宿の紀伊国屋書店でNo1として陳列されているのに遭遇し、思わず購入してしまった。


特に序盤、トレンドのワードがふんだんに散りばめられていて、新卒から著者と同世代くらいのまさにターゲットとされている層の人は思わず頷いてしまうような内容になっているように思う。
まるでSNSを眺めているような読みごこちで、働きながらでも、通勤電車で読めるような手軽さが良い。

個人的には、年末の大掃除でまさに夏目漱石全集を処分するか家族で検討していた際に、昔は応接間の本棚に全集や百科事典を揃える習慣があって…という話を聞いたばかりだったので、円本への言及は興味深かった。

周りを見渡しても、特に東京では新自由主義的な生き方をしている若者が多いように感じ、胸に刺さるものがあった。

最終章までテンポよく読み進められたが、まとめ方がもう一歩という印象。
半身の働き方は理想かもしれないが、疫病、戦争、円安、物価上昇と、日本経済の雲行きの怪しさを日々体感しているターゲット層は、具体的な方策もない理想像の提言だけでは、絵空事としか思えないのではないだろうか。
ともあれ、30代前半で精力的に執筆活動をしている著者の姿勢に見習うべきものは沢山ある。今後の執筆にも期待したい。



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