姿勢の文化的背景
痛みと姿勢
この相関関係がほぼ否定されているにも関わらず、なぜそこまで姿勢信仰は根強く人々の中に定着しているのだろうか?
人々に強い関心を惹きつける姿勢というものを文化的な側面、民族的な側面から紐解いてみたいと思います。
面白かったらおこずかいください(笑)
姿勢の意味
姿勢
言葉としての意味では
「構え」という意味があるようです。
構えるという言葉には事前の準備や前もって整えておくといった意味が含まれます。
心のあり方や心持ちなども姿勢という言葉が用いられます。
また、体の位置関係、体型、姿位といった体表的な位置情報にも姿勢という言葉を用います。
徒手療法を行うものが姿勢という言葉を用いる場合は、ほとんどが後者ではないかと思います。
解剖学的な姿勢を基準に姿勢の良し悪しを評価することになります。
ただし、このようにひとつの視点だけで姿勢は語りきれません。
体格や性差、年齢、文化、民族性、地域差、生活環境、職業などにおいても姿勢は影響を受けます。
姿勢と一言で言っても収まらない奥の深さを感じます。
ではなぜ、私たちはこんなにも姿勢に対する関心が高いのでしょうか?
現代の姿勢への価値観
今の時代に生きる人で姿勢が良いと言われる人はどんな姿勢をしているのでしょうか?
姿勢をポジティブに表現するにあたって「良い姿勢」と「美しい姿勢」という言葉があります。
良い姿勢は形の良さ(form)として
美しい姿勢はしぐさの流麗さ(posture)
こういった違いがあるような気がします。
腰痛などで治療に来る人が口にする「姿勢が悪い」は前者のことだと思います。
現代の日本人はこのformが悪いことから腰痛になりやすいと考えてしまうようです。
特に座り仕事、歩く、立ちっぱなし、中腰など労働時のformを良くしないといけないそう思いがちです。
そのため、接骨院や整体などでもこのformを良くするためのサービスを提供するところが多く、ただ位置をその場だけ直して数時間後には元通りといったことになっています。
仕事や作業でゆがんだformを直しに整体へ行く
この発想がそもそも理解不能であり、全く無意味なことにお金と時間を浪費していることに気づいてほしいと思います。
しかし、formへの信仰がここまで強くなったのはここ最近のことではないでしょうか?
日本人の姿勢文化
日本人の姿勢文化は作法や武道などに色濃く残っています。それは「構え」であり、体の運びの流麗さ、心身を内包しながらも機能的な微(美)の文化ではないでしょうか?
これらはformというよりはpostureであり、動的な姿勢の中にある静的な姿勢と言えます。
人間は二足歩行になったことで、脊柱を直立させています。そのことで姿勢を保つには重たい頭部と小さな面積の足の裏で重心をコントロールしています。
そこで考えておきたいのが日本の地面です。
日本の地盤は河川の近くはグライ土、灰色低地土、褐色低地土などが多く、関東などは火山灰による黒ボク土です。加えて雨が多く、ぬかるんだ大地であり、農耕民族でもあるため田畑のような柔らかい土壌で暮らすことが多かったと思われます。
ヨーロッパや北米などは乾燥した気候である中で岩石の多い地形で、日本人とは踏みしめていた大地が違うことがわかります。
そのため、足の形状、重心、足の運びなどが欧米人とは大きく異なった発達をしていきます。
日本人は座る-立つ暮らしよりも圧倒的にしゃがむ暮らしが多かったと思われます。
日本人のしゃがむ文化は蹲踞(そんきょ)やなんばという身体文化の基本にもなっています。
日本人の骨格と欧米人との比較
無症状の日本人の脊柱と白人(コーカサス系)268人の立位を脊椎矢状面形状で比較した実験で
❝主要な骨盤骨パラメーターは日本人と白人の集団で同等でした。❞
European Spine Journal 25 (11) ,3630~3637 ,2016
脊柱、骨盤における日本人と白人(コーカサス系)との間には民族的な有意差はないそうです。
しかし、他の文献にはドイツ人と日本人では加齢によって大腿四頭筋と腹部の筋力に低下がみられるのは同じだけど、他の部位では違いがあり、普段の使用頻度に差があることが書かれています。
ということは
脊柱や骨盤の差に民族差はあまりないが、筋の使い方には民族や地域によって使用状況が違いがあり、そのことが姿勢にも影響があるかもしれないということが言えます。
日本人らしい姿勢とは
では、日本人らしい姿勢とはどういう姿勢なのでしょうか?
日常生活の中で私たちは姿勢をどのように意識したら良いのでしょうか?
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