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【詩】夏に触れる

終点まで行くのだから
多少寝ていても大丈夫だろうと
電車に揺られて目を瞑って
意識は少し遠くに浮かんでいる

微かに聞こえる車内のアナウンス
流れていく風景とその影を
薄目でぼんやりと眺めている

のど飴の余韻を水で流して
私はこの冷たい世界から
空気の境界を超えて
あの暑い夏に触れる

もうすこし 

電車が止まってドアが開く

触れる

夏に

触れる