見出し画像

胃腸炎・嘔吐(どうやって水分を取ってもらったらいいの?他)

Take Home Message

◻︎吐いた直後に焦って飲ませなくても大丈夫
◻︎最初はスプーン1杯程度の少量から試していく
◻︎水・お茶はNG。経口補水液、スポーツドリンク、りんごジュースを選択
◻︎尿回数が少ない、嘔吐回数が多い、顔色が悪い、活気不良は受診を

1,どうやって脱水かどうかを判断すれば良いのか

 お子さんは大人と比べて体内を構成する水分の量が多く、簡単に水分を失ってしまう特徴があるため、脱水になりやすいです。しかし、お子さんも身体の中に自分の体格に合わせた水筒(予備のタンク)のようなものをもっている為、1−2回の嘔吐で脱水にはなりません。一方で、顔色が悪い、活気がない、血便が出る、お腹をすごく痛がるなどがなければ、自宅で少し様子を見る必要があります。

 また、高熱、嘔吐、下痢など水分を失いやすい状況では、こまめにお子さんの状態を見てあげることが重要です。下記に、観察のポイントを書いていきます。このような症状が見られる時、またご家族の方が不安に感じたり、普段と何か違うと思ったりする時は、必ず医療機関の受診をしてください。

・嘔吐・下痢の回数が多い 目安として5−6回/日以上
・唇、口腔内の乾燥、目、皮膚の潤いがない
・泣いた時に涙やよだれがでない
・目が落ちくぼんでいる
・唇が真っ青など、顔色が悪い
・活気がない、機嫌が悪い、ボーッとしていて遊ばない
・いつもと尿の状況が違う(回数が少ない、8―12時間程度出ていない、 色が濃い等)

 またクリニックのスタッフも行う簡単な脱水評価として、CRT(Capillary refilling time毛細血管再充満時間)というのがあります。お子さんの親指の爪を5秒ほど圧迫し離してみてください。2秒以内に色が戻れば循環は問題ないということになります。もし分からなければ、クリニックで聞いてみてくださいね。


2,どうやって水分を摂取すれば良いの?

 前述した通り、身体の中に水筒のようなシステムをもっているので、焦ってお子さんに水分を取らせる必要はありません。しかし、1日に必要な最低水分量が摂取できていない場合は、対策をとっていきましょう。胃腸炎の時は腸管の動きが悪く、大量に飲んでも消化できません。胃内に留まってしまうため、すぐに嘔吐してしまいます。そのような点も踏まえて、以下のような対策を取ると良いでしょう。
 ちなみに、大体目安として乳幼児の1日に必要な最低の水分量は、体重1kgあたり50〜100ml程度と考えられます。つまり10kgのお子さんは最低500ml /日程度の水分摂取が必要です。しかし、これもあくまで水分摂取量は目安なので、8-12時間おきぐらいに尿が出ていれば問題がないことが多いです。

①1−2時間程度様子を見る
②ゆっくり水分摂取を始める。最初はスプーン1杯orペットボトルのキャッ  プ1口程度から始める(5ml程度)
③10〜15分おき程度に根気強く飲ませる。
④1時間ほど経っても嘔吐がなければ徐々に水分を増やしていく。

*糖分が入った水分をとっていればそのカロリーで補えるため、食事は1日に必要な水分量がしっかり取れるようになってからで問題ありません。

画像2


3,どんな水分を摂取すれば良いの?

 汗、下痢、嘔吐物から、糖分・塩分の喪失は起こっています。そのため、糖分・塩分を含まない水やお茶などの飲み物は控えてください。水やお茶は、身体の吸収も悪いです。一番のおすすめは、経口補水液です。OS−1、アクアライトなどの名前で市販されています。これらが口に合わず飲めない場合は、自宅で作ることも可能です。

・経口補水液の作り方
湯冷まし(きれいな水)1Lに砂糖 40g(大さじ4杯と半分)と食塩 3g(小さじ半分)を混ぜて良くかき混ぜます。果汁(レモンやグレープフルーツなど)を絞ると飲みやすくなり、カリウムの補給にもなります。

画像1

大正製薬㈱「大正健康ナビ 子供の発熱」

次におすすめなのが、糖分・塩分が入った、スポートドリンクや、イオン飲料などです。これらも多少は糖分や塩分が入っています。

画像3


 このようになるべく自宅でケアをしてあげることが、お子さんの負担が少なく、効果的です。水分補給の対応として点滴という対応方法もありますが、あくまでもその場しのぎで、お子さんの痛みを伴う処置です。しかし、自宅でのケアも大変かと思います。何かお困りなことや心配なことがある場合は、クリニックを受診してくださいね


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?