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インフルエンザウイルス感染症について

Take Home Message

◻︎発熱早期の迅速検査はオススメではない
◻︎抗インフルエンザ薬は発熱48時間以内の投与すると発熱期間を1日程度短縮できる
◻︎タミフルと異常行動との間に因果関係はない。
◻︎タミフルは新生児・乳児でも使用可能
◻︎最も注意しなくてはならない合併症は脳症
◻︎生後6カ月からインフルエンザ予防接種を行う事を推奨


1,インフルエンザウイルスってなに?

 インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に大きく分類されます。そのうちヒトに流行を起こすのはA型とB型です。A型・B型インフルエンザの流行には季節性があり、例年12月~3月に流行し、咳・くしゃみなどの飛沫感染や汚染された物を介した接触感染により短期間で多くの人に感染が拡がります。例年の季節性インフルエンザの感染者数は国内で推定約1,000万人とされます。

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2,どんな症状、合併症があるの?

 38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、体のだるさに加え、普通の風邪同様に咽頭痛、鼻汁、咳などの症状があります。最も注意しなくてはならない合併症はインフルエンザ脳症です。インフルエンザ脳症の死亡率は約30%です。また25%に後遺症が残る、とても重篤な合併症です。インフルエンザ脳症の初期症状は①意識障害 ②けいれん ③異常行動・言動があります。しかし小児では発熱時は普段よりもボーっとしたり、またインフルエンザ脳症の異常行動・言動と熱せん妄との区別は難しいことがあります。意識状態が悪いとき、けいれんした時、異常行動・言動がある際は病院に相談・受診をしましょう。

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日経新聞「ヘルスUP 病気・医療 
インフルエンザ脳炎に注意 乳幼児けいれん続けば受診を」

        https://www.nikkeibp.co.jp/cc/rc/sec_use/


3,検査や診断はどうするの?

  インフルエンザウイルスの迅速検査は鼻孔より細い綿棒のようなものを挿入し、採取した分泌物を処理液に浸し検査キットに滴下することで陽性・陰性を判断する検査です。結果が出るまでおよそ10-15分程度かかります。インフルエンザ感染直後はウイルス量が少ないため、本当はインフルエンザに感染しているにも関わらず迅速検査で陰性(偽陰性)と出てしまう可能性が高いため、発熱早期の迅速検査はオススメできません。発熱後12-24時間程度で迅速検査で検出できるまでにウイルス量が増えるとされております。したがって発熱後24時間経過したタイミングでの迅速検査をオススメします。
  

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4,治療はどうするの?

 幼児や持病があるなど重症化のリスクが高いお子さんは抗インフルエンザ薬の投与が推奨されますが、多くは自然に治ってしまうため、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではありません。自然に治すには自身の免疫が重要となりますので、食事・水分摂取・睡眠で体を休めることが大切です。
 現在小児に使用可能な抗インフルエンザ薬は5種類あり剤型も様々です。年齢に応じて適宜選択させていただきます。抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスをやっつける薬ではありません。体内でインフルエンザウイルスの増殖するのを抑える薬であるため、発熱48時間以内(ウイルスが増えきる前)に投与することが望ましいとされます。発熱48時間以内の投与により発熱期間を1日程度短縮する効果はありますが、入院予防効果や重症化予防効果は明らかになっていません。

5,予防はどうするの?

 インフルエンザは飛沫感染・接触感染により感染をひろげます。手洗い、アルコール消毒、うがい、マスク着用などの咳エチケットが予防につながります。またインフルエンザに任意接種にはなりますがワクチンが存在します。接種すればインフルエンザに絶対にかからないというものではありませんが、インフルエンザの発症予防、重症化予防に効果があるとされます。生後6ヵ月以降の乳児から接種を行うことが推奨されております。

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