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鼻水について(どんな時に吸引する?他)

Take Home Message

◻︎鼻水は湿度の調節、異物からのバリアなどの機能がある
◻︎吸引を頻回にやる事で、風邪が早く治るという根拠はない
◻︎吸引が必要な状況は、鼻閉で眠れない、水分が取れないなど
◻︎鼻水が詰まっている状態は、中耳炎、副鼻腔炎などのリスクあり

1,鼻水の役割は?

 鼻は呼吸を行い、嗅いを感じ取る役割があります。空気を吸ったり吐いたりする中で、吸い込んだ空気の温度や、湿度を調節したり、外からの異物(ウイルスや細菌、埃や花粉など)の侵入を防いだりする機能もあります。
 例えば、暖かい飲み物を飲んだ時や、入浴中などに鼻水がでることがあると思います。これは、鼻が温度や湿度を調節しているためです。熱い空気が気道などに入るのを防ぐために、鼻水を出して熱い空気を覚ましているのです。冷たい空気が直接入ってきた際も、鼻水を出し、温度を高くして体温に近い温度にしようとしています。
 他にも、異物を外に出そうとする役割があります。異物に鼻の粘膜が反応すると、大量の粘液を作ることで外に出そうとしているのです。辛い香辛料を嗅いだ時や、花粉症の時などにくしゃみが出るのもこれが原因です。つまり鼻水は、体を守るために大切な働きをしており、体の正常な反応なのです。風邪をひいているときは粘膜が炎症を起こしているので、頻回な吸引を繰り返す事や、鼻をかみすぎる事は、粘膜にさらなる強い刺激を与えることになるので、控えたほうがいいと考えられます。

鼻水しくみ

Kracie薬品(株) 「鼻水はどうして出るの?

2,どんな時に吸引をすればいいの?

 鼻水は体を守る反応の1つです。過度な吸引は必要ありません。過度に吸引をする事で、風邪で炎症を起こした粘膜をさらに刺激し、炎症を悪化させることにもつながります。また病院へ行くたびに吸引をされる事で、病院に行くことに対しお子様が恐怖心を覚えることにつながります。
 しかし、鼻水が多くて眠れない、水分摂取が難しい、鼻閉がひどいなどの場合は吸引をしてあげたほうがいいと、当クリニックでは考えています。吸引をすることで一時的に症状を改善して、水分を取りやすくすることや、呼吸を楽にし、睡眠をよくとれる様にしてあげることができます。
 また、鼻詰まりの状態にも吸引が必要です。鼻詰まりは炎症により腫れた粘膜の部分に、鼻水が溜まることで起こります。この鼻詰まりを放っておくと、耳や副鼻腔へ鼻水が流れ込み、中耳炎や、副鼻腔炎が起こってしまいます。つまり、鼻詰まりの時は外に流出しにくくなっている鼻水を吸引してあげる必要があるのです。

3,おうちでできること

 過度な鼻水の吸引は必要ないということをご理解いただけたでしょうか?鼻水が垂れて出てくるときは問題ありません。一方で、奥にたまっているとき、ドロドロで出せない時などは、対応が必要です。
 頻回に使わないのであれば、自宅で吸引しやすい機械として、電動の機械を推奨します。例えば、メルシーポット コンパクトやピジョン 電動鼻吸い器などがあります。クリニックで使用しているものなども含め、相談に乗りますので遠慮せずに聞いてくださいね。また粘膜の腫れを取ることも大事なので、蒸気を吸って吐く鼻呼吸や、入浴、暖かい蒸しタオルなども効果があります。ドロドロの鼻水が少し柔らかくなるので、吸引もしやすくなります。鼻を自分でかめるお子さんではこのタイミングでかむと、普段より鼻水が出やすいかと思います。




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