なぜ日本は世界的にきれいな国なのか 子育て@オーストラリア

先日、クライアントのご家族が役所広司主演『PERFECT DAYS』を観てきたそうで(私も観ました!)、「日本人はあんな風に鏡を使ってトイレを掃除をするの?」と聞かれて笑ってしまいましたが、「日本はどこへ行っても道もトイレも本当にキレイよね!」と言われて誇らしく思いました。そして、なぜ日本は他の国より公共の場所が綺麗なのだろうと自分なりに考えてみました。

上記の疑問に対する私の個人的な考えとしては、①学校で児童・生徒が自分たちで学校内の掃除をするから、 ②家の掃除を業者に頼む文化があまり浸透しておらず、家族が家を掃除するから、ではないかと思います。

まだ習慣性が身についていない小学生低学年のうちから、自分たちが使った教室を自分たちで掃除するというのはとても良いことだと思っています。オーストラリアに来てとてもビックリしたことは、学校がとーーーっても汚いと言うこと。子どもたちが、ポイポイそこら中にごみを捨ててしまうのです。オーストラリアでは給食はなく、小学校でもお弁当で、おやつの時間もあり、ジュースや小袋のお菓子をスナックに持ってくる子が多いこともありますが、とにかく食べたらポイっとそこらへんに捨ててしまう子が多いこと多いこと。
日本のように、自分たちで掃除をすることになっているあれば、掃除の大変さを身をもって知るでしょう。そして、その辺にごみを捨てたら掃除当番の人が困るだろうなとか、見られたら怒られるだろうなとか、子ども心に思うのではないでしょうか。でもオーストラリアの子にはそういう経験があまりないのです。放課後に業者が掃除をするので、誰かが掃除をしているのを見ておらず、翌日(あるいは翌週)にはきれいになっているから、汚しても気にならないのではないかと思いました。日本人は幼少期からのその感覚が根底にあった上に、周りの目を気にする文化(周りの人の行動を批判しやすい文化とも言える…)も手伝って、どんな場所も衛生を維持できるのではないかと勝手に分析してみました。

オーストラリアでは、裕福な家庭は家の掃除を業者に頼む人も少なくありません。クリーナーの仕事をしているお友達から聞いた話では、子連れ家庭だと、週1回の掃除でも、掃除した翌週にはどうやってここまで汚せるの?というくらい汚い家庭があるそうです。どうせ、掃除の人がやってくれる、と思ったら気にしないのかもしれません。もし、お母さんやお父さん、あるいはお姉ちゃんお兄ちゃんが掃除している姿を日常的に見ていたら、子どもでもある年齢を過ぎたら、汚さないようにしようという気持ちが芽生えるものではないでしょうか。それに、例えば、お母さんが掃除していたら、子どもがトイレとか洗面所とか汚く使ったら注意しますよね、自分の掃除が大変になるから(え?私だけ?)。

個人的にも、今思うと掃除で貴重な経験をしました。私は小学生5年生の時に保健係になり、朝早く学校へ行ってトイレのごみを集めるという仕事を担っていました。当時まだ初潮を迎えておらず、生理というものを良く知らずにいた私。女子トイレのエチケットボックス(各トイレに設置されている使った生理用品が入っているミニごみ箱)のごみを初めて回収した時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。とにかく言葉で言えないほど、捨て方が汚かったのです。片付ける人のことを考えずに無造作に捨てることはこんなに人を不快にさせるのかと思いました。そして、「自分が生理になった時には、絶対にこんなふうに捨てないようにしよう」と心に誓ったのでした。
また、自分も介護士として各ご家庭のトイレを掃除するようになって、汚いトイレを掃除する大変さを味わい、公衆トイレを掃除をしてくださっている方々には日々本当に感謝しています(仕事柄、公衆トイレをよく使うので)。今でも公衆トイレはキレイに使うように心がけていますし、落ちているトイレットペーパーの破片はなるべく拾うようにし、お掃除の方を見かけたら、ありがとうと声をかけたり、心の中でありがとうと呟いてます。

体験と言うものは、何物にも代えがたい学びなのです。
良い習慣は、親や先生が言葉で言うだけではなかなか身につかないもの。国全体がきれいになるには、家庭教育と学校教育の両面から、言葉と体験を通じて幼少期から伝えていく必要があるのかもしれません。あくまでも個人的な意見ですが…。

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