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思うところのある季節に(映画「日日是好日」)

ふとしたタイミングで無性にこの映画を観たくなることがある。自分は変化を横目で見る側の人間なんだなと気づいた日、今回はそんなタイミングだ。

初めて武田先生の茶道教室に向かい玄関の前でドギマギしている大学生の典子と美智子。鑑賞する自分自身もまさに二人のような具合で、毎回武田先生のところにお邪魔するような感覚で見てしまう。樹木希林さんはまだここで生きているのだ。

何度か観ているうちに本編再生と同時に涙腺が崩壊するようになった。何の涙なのかよく分からないが、ピーンとした緊張からの弛緩という感じだ。

本編ではさらっとした説明なのだが、(出版社の試験に落ちてバイトを続けることになり)“それでもやがて私みたいな人をフリーライターと呼ぶようになって焦ることは無くなった。”と語られる部分がある。自分がやることは変わっていないのだが、時間の経過によって写り方は変わる。世間というのは所詮そんなものかもしれない。
オードリー若林さんが大事にしている言葉で、”芸が車で雨が時代”というのを思い出した。そこでずっと雨が降っているからブレずに道を走り続けろということらしい。

変化を横目で見る日の夜、映画を観て缶チューハイを開けて乾杯する。



以下余談。
典子の父親が亡くなった時に海岸で典子が極端な大雨の中で父親にありがとうございますと叫ぶシーン。夢の中のようなカットなのだが、なぜあの演出になっているのか腑に落ちる答えが見つかってない。
あと序盤のカラオケでユーミンの真夏の夜の夢を急に歌い出すところで90年代設定だったことに毎回驚いている。


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