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毎日作成地からの踊り場(上の階はその次で)。

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描綺士がつくる、各ログの下書き醸成中の場です。 下書きの段階で見てくださる方ももちろんwelcomeですが、 もしこちらで見ていただくならばその次の階層もぜひご一読いただければ、…
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#私小説

小説:そんな私の光る刻(とき)

§1:日常

『私にも話させてよ、もうっ、、、。』
初冬の夕日が沈みかける街の下で。
週末土曜にふさわしい程度の
歓楽街のちょっとした雑踏の中を
1人のうら若き女性が
思いつめた感の表情で駆け足で走り抜けている。
暖色系のベージュのジャケットと、同色のスカートとを
ブラウン系のヒールの上で纏ったそのスーツの女性は、
きりっとしながらも優しさがにじむ大きな柔らかな瞳を
飲食店の並ぶ商店街の奥地へ向け

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小説:そんな私の光る刻(とき)③今、そして今の後へ

③今、そして今の後へ

 慶輔的には、オーバーワークの上で人と接することは
自他ともにかなりの危険を伴うことは今回の1件でしっかり経験を積んだ。
 そんな中、曲がりなりにも慶輔への接し方で
ひかりの対人的なバランス感覚の素晴らしさに気づけた点、
また慶輔自身が体調を整えてカムバックしてから、
その後のひかりの件を含めた実情を、
離れた立ち位置で暖かく観ることが出来る環境に対し
感謝の念が絶えること

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小説:そんな私の光る刻(とき)②3か月前

②3か月前

 青野慶輔は、れっきとした洋食居酒屋「縁月の翔」の社員である。
 もともとは、円環ウイルスで疲弊した飲食業界に風穴を開けるべく、
慶輔の高校時代の同級生でもあり、
縁月の翔(えんげつのしょう)社長である赤成の発案で作った、
インターネットショップでのPC管理担当として雇われたのが、
慶輔自身の出自の馴れ初めであったが、
ネットだけでなく実店舗での経験も備えた方が、
より深い業務に精通

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小説:そんな私の光る刻(とき)①日常

①日常

『私にも話させてよ、もうっ、、、。』
初冬の夕日が沈みかける街の下で。
週末土曜にふさわしい程度の
歓楽街のちょっとした雑踏の中を
1人のうら若き女性が
思いつめた感の表情で駆け足で走り抜けている。

暖色系のベージュのジャケットと、同色のスカートとを
ブラウン系のヒールの上で纏ったそのスーツの女性は、
きりっとしながらも優しさがにじむ大きな柔らかな瞳を
飲食店の並ぶ商店街の奥地へ向けて

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